母は98才です。年にしては元気です。高齢による物忘れをします。でも、自分の名前や住所は書けるし、私たち家族のことはみんなよくわかっていますし、新聞や雑誌も読むことができるし、この前は朝日新聞の土曜日のクイズ数独をやっていました。
そんなですから、私は、母が認知症だとは思いません。社会的なことは、もうできませんし、日常的にもちょっと難しくなったこともあります。でも、やっぱり認知症だとは思えません。病気の私が一緒に暮らすことができるのは、母が自分のことをよくわかっているからだと思うのです。
私も母もいろいろな人と付き合うことが好きではなく、どこかに出かけるということは少なく、病院と美容院、と笑っています。
ただ、毎週1度リハビリに来てもらいます。その人は多分理学療法士だと思います。そして、3か月に1度看護師が来ます。
してもらうのは、体のマッサージ、そして、庭を一緒に歩くこと。私の病院に行く日に頼んでいるので、長い留守番が苦にならないようにと思っています。
その理学療法士が、看護師と一緒に来て、国の政策で、毎月看護師が来ることになるというのです。でも、看護師がすることといえば、血圧を測り、熱を測り、体調を聞くことだけなのに、それを毎月しなくてはならないというのです。
でも、毎月内科を受診しているし、元気だから大丈夫といわれているのだし、毎月看護師に来てもらう必要はないといったのですが、国からそういう風にするようにといわれているので、と押し切られました。
そして、それには、費用が掛かるのです。必要もないことにお金を出してやらなければならないというのは、とても理不尽な気がします。
そういう高齢者の健康にかかる費用を、無理やり徴取するというのは、どうしても納得できません。
国は、高齢者を大事にしなくてはならないと思います。生きてきて、年を取り、何も自分の思うようにならなくなった高齢者が、どんなに多いことでしょう。年金では、暮らせない高齢者が、たくさんいるという国は、貧しい国だと思います。
また、それを伝えるリハビリ担当者や看護師の態度は、とても不愉快なものでした。国からのお達しなのだからと、強引に認めさせようとするのは、自分たちのことだけしか頭にないように思います。
そのうち、リハビリはやめようかと思いますが、母が会う人があまりにも少なくなるのが、ちょっと心配です。外に出かける気持ちはないようだし、マッサージをしてもらうと気持ちがいいと言うものですから。
夫のことでいろいろな思うようにならないことがなくなったと思えば、今度は母のことです。生きているうちには、いつも心配事や思うようにならないことばかりがあふれているなあと痛感しています。