美しい夕焼け

美しい晩年を目指して

胃瘻の交換の日に

2021-11-27 14:55:52 | 
夫は胃瘻で液体の食料をとっています。胃瘻は、6か月ごとに交換しなくてはならず、それはとても痛いようです。

24日に交換をしました。私も、その日は付き添いに行きます。夫に会えるので、私は嬉しいのですが、夫は、痛いと難しい顔をしています。終わるとすぐにもう痛くないといいますが。

胃瘻にしたのは、家に帰るためでした。その時には、大きな病院で、胃婁を作りましたが、耳鼻科で、内視鏡を使って、のどの検査をしてもらいました。

食べ物が、気管か食道かどちらに入るかという検査です。夫の場合は、プリン状のものは、食道に入り、ヨーグルトは、砕けて気管に入る可能性があるので、食べてはいけないという結果でした。私も内視鏡を見せてもらいながらでしたから、とても納得がいく検査でした。

だからその頃は、プリン状のものを食べさせていました。胃瘻が主な食事でしたが、おやつのような感じで、食べさせていました。少しずつ、好みのものを食べられるようになって、カタログを見るのが楽しみだったころです。

家に帰って、4か月たったころ、私が看病疲れで病気になりました。それで家にいることはできなくなり、夫は、ショートステイに入所しました。妹は、施設の方たちに、何度も、こういうものを食べていたといい、食品を持っていってくれましたが、施設の方では、口からは食べさせられないといわれました。

私が退院しても、もう家でずっと夫の面倒を見ることは難しいということになり、ショートステイに入所することになりました。それで、夫は、口から食べることを止めさせられることになりました。

私は、どうにかして食べさせたいと思い、退院してからの主治医にのどの検査をしてもらいたいと頼みました。

主治医は、すぐに系列の大きな病院で検査をしてもらいましょうといってくれ、検査を受けました。でも、その検査は、食べ物を口に入れて飲み込ませ、そののどの様子を外側から見る(どんな機械か忘れましたが、内視鏡で中を見るのではありませんでした。)ということでした。

夫は、久しく口から食べていませんでしたから、むせて、食べられませんでした。それで検査は終わりです。そして、こんなにむせるのだから、食べられません、ということでした。それから、今はもう5年たっています。

ただ唾液は通るので、口に何か食べ物を入れて、その汁を吸わせるのはいいと言われました。それから、私は、夫が家に帰ってくると、ステーキを焼いて、ワインソースに絡めて、口に入れやすい大きさに切り、お茶パックに入れて、タコ糸で縛り、夫にかませました。ステーキを食べることはできませんが、それをかむことで、肉汁が吸えます。

夫はそれがとても美味しいといい、私もせめてのことだとそれを食べさせていました。

今、夫は、特別養護老人ホームに入所しています。そこでは家に帰ることをあまり勧められません。今はコロナ禍のせいで、特に面会も面会室でのみですから、ステーキを持っていくこともできません。

コロナが治まったら、夫の部屋で、食べさせてもよいといわれています。それを楽しみにしているのですが、この頃は、夫の口元もあまり良い状態には見えません。

食べられたはずなのに、施設や病院の簡単な方針で、一人の人間の食を奪ったということを、私は、本当に無残で、恐ろしいことだと思います。

夫に、何か美味しいものを味わわせてあげたいと切に望んでいます。


コメント (2)
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