夫の声を聞けたことが、最近うれしかったことの一つですが、もう一つ、とてもうれしかったことがあります。
夫も私もまだ元気だったころに、私が行っていた美容院の美容師さんのことです。
彼女は、とてもセンスが良くて、いつも あ、素敵、と出来上がったヘアスタイルを見て思うのでした。
神経が細やかなのに、大胆な性格で、話すととても気持ちが豊かになるように思える人です。彼女の家族のお話、私の家族のお話、薔薇のお話、油絵を描いていた頃なので絵のお話など、いろいろなことを話しました。
その美容室が閉鎖になることになり、彼女がどこかで美容師を続けるのだったら、そこに行きたいと思っていました。
でも、美容師はやめて、美容の会社にお勤めすることになったといわれました。
彼女のお勤めした会社はとても忙しく、メールをするのも気を使わなければなりませんでした。彼女とのお付き合いも、だんだん間遠になり、このごろは、もうお付き合いも終わったかなと、思っていました。
それが、先日、1年半ぶりに、メールが届きました。会社を辞めて、今は、自宅でゆっくりしているとのこと、昔、美容院で私とお話したことを懐かしく思い出している、というメールでした。
私は、本当にうれしくて、ちょっと涙がこぼれそうになりました。今の私の周りには、お金に関係のあるつながりしかないからです。
もちろん、私の家族、妹の家族、そしてお友達、ブログを読んでくださる方たちは、違いますけれど。
お金に関係のないつながりは、私に親しみと慰めをくれます。彼女のメールを読んだとき、私は、本当に感激して、少しじっとしていなくては、涙がこぼれそうだ、と思ったのでした。
私のいろいろな選択から、私は今、ほとんど何も持たなくなってしまったのでしょう。でも、それはそれで仕方ないことだったと思います。
持っているものを慈しみながら、自分の人生は、自分で選んだものだから、と思っているこの頃に、こんな風な幸せがふいとやってくることを、人とのかかわりの不思議さだと思っています。