彼女は、うっすらとした気だるさで目を覚ました。
男の腕の中から、わずかに身体を起こして、窓辺のテーブルに置き去りになっている飲みかけのグラスを視線の端に捉えた。
久しぶりに海風にあたってはしゃいだせいだろうか。アルコールも手伝ってか、まだほんのりと身体が火照る。夏の湿り気を帯びた気だるさが纏わり付いていた。
横で目を覚ました男が、無意識のように彼女の頭を抱えなおし、抱き寄せた。
彼女はまだぼんやりとアルコールの残る頭で、男の髪を指で弄んでいる。
彼女の頭を抱えたまま、男がぽつりと言った。
「何なのだろう、君のその寂しさ。君の中にある、絶対に消えることの無い寂しさ。」
ふいを突かれた。胸の中がカタリと音を立てて痛む。ふいに涙がこぼれた。
何かが悲しかったわけではない。ただ、心のほんの隙間に男の言葉が流れ込んできた。
「ナマイキよ！」彼女は、照れ隠しのようにそう言うと、涙をぬぐった。
「最初に会った時から気付いてたさ。」男の言葉に、止まらない涙に、彼女は戸惑っていた。
一人で平気だと思っていた。いや、今だって思っている。
いつかはこの人も私の前から消える。だけどせめて今だけは。お互いの持つ寂しさがリンクした今だけは。
そう思いながら、彼女は男の肩に頭を預けたまま窓辺のコルコヴァードのグラスを眺めた。
遠く、コルコヴァードの空を想った。
いつか、遠くへ・・・
窓の外はコルコヴァードと同じ深い蒼。
夜の明けかかった海と空の蒼。
もうすぐ夏が明ける。
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それに鮮やかなブルーのコルコバード。
甘酸っぱい思い出とともに過ぎ去ろうとしている”一瞬の夏”をこのブルーで語るとは、お見事！
いや、村上春樹か。
もしかしてデジカメ買いました？
ぜーったい写真の才能ありますよ。
お店の照明下で撮るなら、１００円ショップで懐中電灯をお買い求め下さい。
例えばこの写真の場合、左真横から照らしてシルバーを光らせることができます。
ありがとうございます。お褒めに預かり、くすぐったし。
短くこのボリュームに言いたいことを詰め込むのは苦労します。
もうすぐ夏が明けます。コルコヴァードは夏の残り香がするうちにどうぞ・・・
>ayaさん
昔、大藪春彦といわれたこともあります笑
たまにショートストーリー書いているのです。
short storyのカテゴリ見ていただければ。
モヒートの巻が、自分では一番のお気に入り。
デジカメ買ってないです。この写真もレンズの割れた携帯で撮りました汗；
もういい加減デジカメ買ったほうがいいですかね～。そうすればもうちょっといい写真撮れますよね。懐中電灯、今度試してみます。
では明日お待ちしてます～。
・・・もうここまで撮れるんでしたら、徹底的に携帯で撮りましょう！
僕と同じ機種のコンパクトデジカメで日常を撮り始めた、一般の方ですが、感性がすばらしく好きなサイトになってます。
http://www.flickr.com/photos/openarms/
でもやっぱりデジカメ欲しいかも、と思ったりもするんですがね。
この人の写真、素敵ですね。
やっぱりこういうの撮ろうと思ったら携帯じゃ無理～。
カウンター上の接写だけだから何とかなるのよ。
今回も私の話？なんて思っちゃったりしてみたり
綺麗なブルー。
飲んでみたいです
どちらにしろ、素敵なストーリーですね。
久々のショートストーリですね。
青二歳の私でも少しドキリとしちゃいます。
ふふふ あくあさんの話かもね？
こんな色っぽいエピソードあるなら羨ましいですわん。
>ラマゾッティさん
この物語はフィクションであり、登場する人物
、団体、名称等はすべて架空のものです。笑
コルコヴァード以外は。
>Wacallanさん
青二才という歳ではないでしょう～笑
少しは大人になれるといいですねｗｗ
久々書きましたが、やっぱり文章書くの好きです。