Bar Scotch Cat ~女性バーテンダー日記~

Bar Scotch Catへご来店ありがとうございます。
女性バーテンダーScotch Catの独り言&与太話です。

お祝い×お祝い

2008-08-31 06:14:33 | to the bar



ご無沙汰しております、scotch_catです。かなーり更新をサボっておりました。
みなさんご心配おかけしました?
8月に入ってからというもの、公私共に(主に公。というか、ほとんど公)色々ありまして、PC立ち上げる暇もなかったというか、気力もなかったというか・・・
ブログにアップしようと撮りためておいた写真はたくさんあるのですが。
徐々にアップしていきますのでよろしくお願いします。

さて、だいぶ前になってしまいましたが、去る8月10日、
scotch_catの働くお店の店長、I君の結婚披露パーティーをscotch_catのお店で行いました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

かなりイベント盛りだくさんの盛大なパーティーとなりました。
写真は、シャンパンタワーのもの。scotch_cat、生まれて初めてシャンパンタワーというものを間近で見ました。
今回は業者さんに来ていただいてセットしてもらったのですが、デコレーションも
華やかに、とても可愛らしいシャンパンタワーとなりました。

このほかにも、プレミアムシャンパンのサロンを開けるイベント等、
かなりゴージャスに感動的に式は進みました。
しかし、スピーチしながら感極まって泣き出すI君。よかったね。幸せなのね。
思わずもらい泣きしそうになりました。人の幸せそうな姿って良いものですね。


そして、日付変わって8月11日は実はscotch_catの誕生日。
パーティーは日付またいで深夜まで続きましたので、0時を過ぎて、
scotch_catの誕生日パーティーまで便乗してやってもらいました。
みなさん感謝!
新婦のHさんから、花嫁のブーケをいただきました。
本当ならブーケトスをして女の子みんなで争奪戦になるところなのでしょうが。
いい歳していつまでも嫁にいかないscotch_catを心配してか(笑)
I君のはからいか、ブーケはscotchの手元へ。
いや~、こんなんもらっちゃうと変にプレッシャーだわ~ 笑笑笑。

そうこうするうちに宴もたけなわ。お開きとなりました。
新郎新婦、パーティーの参加者のみなさんがお店を後にし、片付けを終わらせて
さて、どうするか。
仮にも誕生日の夜です。このまままっすぐ帰るわけにはいかない。
あいも変わらず、scotch_catは飲みに出てしまいました。一人きりで。

一人ぼっちで深夜のバーで飲む誕生日祝いのシャンパンとネグローには寂しかったなあ 泣。
なんだか今年一年を象徴するかのような誕生日になりました 笑。

なにはともあれ、I君おめでとう!そして私、おめでとう!笑
参加してくれたみなさん、ありがとう!!
皆に幸あれ!!


Dancing Queen♪

2008-08-08 15:37:12 | 音楽



COTTON CLUB 行って参りました。はい、グレースマーヤのライブです。
COTTON CLUBはブルーノート系列のライブハウス(というか、ナイトクラブ?)ですね。ブルーノートやモーションブルーは散々通いましたが、COTTONは初めてです。
HP見ると、なにやらちょっと大人というかセレブな雰囲気。
NYの大人のジャズナイトクラブをコンセプトに作られているらしいです。

行ってみた~い!と思ったものの、2ndステージを見たら終電がきびしい。
1stステージは、ステージかぶりつきのいい席で見ようと思ったら
17:30にはお店に行かなくちゃならない。
ド平日のこんな早い時間に、誰が付き合えるのさ~!と思ったら、しめしめ。
いい人材がいたじゃないですか。COTTON CLUBから歩いていける?くらいの
距離にお勤めのYさん。しかも酒豪。しかもかなり豪快。相手に不足なし!
ちょっと顔貸しな~♪

さて、いざCOTTON CLUBに入ってみると、案外こじんまり。おや、こんなにステージが近かったのね。ステージ中央、前から3番目に陣取ってライブスタート。
いやあ、ライブは素晴らしかった。だけど、COTTON CLUBの中は撮影禁止。
まさかライブ中に「パシャ!」て音たてて携帯電話を構えるような不躾なこともできず。
悔し紛れに、COTTON CLUBのトイレのドアを撮ってきました 笑。
ちゃんと男女のマークの頭のところが音符になってるのです。
こういう小技が思わず嬉しくなっちゃうのです。


さて、COTTONを出て、どうするか。
豪快Y氏の「行儀良く音楽聴いたから、行儀の悪い見せに行こう!」との提案に
従い(Y氏らしい 笑)銀座のKENTO'Sへ。
ここもいわゆるライブハウス?ていうか、ディスコ?scotch_cat、生まれて初めてこういうところへ行きました。
大音量のオールディーズ&ディスコクラシック。実は、ちょっぴりディスコクラシックファンでもあるscotch_catは、かかる曲全部、大好きなものばかり。
ABBA、KC&THE Sunshine Band、Kool & The Gang・・・かなりご機嫌です。
しかし、周りを見渡すと、明らかにscotch_catが最年少っぽい・・・
男女とも、ディスコ世代?の40代半ばくらいが一番多いような。
そして、ライブが始まるとみなさん一斉にステージの前のダンスフロア?に集まって
まあ、踊る踊る!!圧倒されます。みんな元気だ~!
まけじとscotchチームもちょっぴり踊ってきましたけど 笑。

今日もジャズ&ロック二本立て。もう免疫ができたので食べ合わせ悪くても
お腹こわしません  笑!
久々に、夜遊び満喫!という感じの夜でした。


真夏の夜に

2008-08-05 11:59:53 | short story



8月。真夏の夜。
よく晴れた昼間の火照った空気を、夜風はまだしっかりと抱え込んでいた。

その火照った空気と共に、女が勢い良くバーの扉を開けて入ってきた。
早足にカウンターのいつもの席に着く。イライラした様子でバッグから煙草を取り出した。
「いつもの。ネグローニ。」
言葉少なくバーテンダーに伝えると、彼女は頬杖をついて窓の外を眺めた。
機嫌の悪そうな彼女の横顔を、初老のバーテンダーが上目遣いにチラリと盗み見て首をすくめる。

気が強そうだが、目鼻立ちのはっきりした、なかなかの美人だ。
男顔負けに仕事もこなす。当然、彼女に声をかける男は多かった。
仕事が一番、という言い訳。つい肩肘を張ってしまう。男の前でも素直になれないのが、彼女の気の強さゆえの悪い癖だった。

しかし、最近彼女には会社の同僚に、気になっている彼がいた。
男たちが一生懸命彼女に声をかけ、ご機嫌をとる中、その彼は自分から彼女を誘うことはなかった。
彼女の方から誘って、何度かこのバーで二人で飲んだことがあったが。
好意を寄せつつも、自分にあまり興味を示さないその彼に、彼女は悔しさを感じていた。

「お待たせしました。」
彼女の前にネグローニのグラスが置かれる。
ネグローニはジンとカンパリ、スイートベルモットの、甘苦いカクテル。
グラマーなカンパリの甘味、苦味。しかしそこに潜むアルコールの強さ。
気の強いイタリア美人のようなこのカクテルは、彼女によく似ているかもしれない。

ネグローニのグラスに口を付け、わずかに眉根を寄せてまた窓の外を眺めた。
いつものカンパリの苦味が、今日は一段ときつく感じる。
彼女の苛立った神経には、少々刺激が強すぎたのか。
「あいつ、本当に腹が立つ」
グラスの中の赤い液体を舐めつつ、彼女はつぶやいた。

本当は今夜、彼と食事をしているはずだった。今回も彼女の方から彼を誘った。
それが、突然のキャンセル。
今夜は、彼女の誕生日なのだ。
誕生日であることは彼には言っていない。彼女のプライドがそうさせた。
誕生日をあなたと二人で過ごしたい、とは言えなかったのだ。
でも、今日会えたら。勇気を出して自分の気持ちを伝えてみるつもりだった。

苛ついた様子の彼女に、バーテンダーが声をかけた。
「今日のネグローニには、オレンジスライスを入れてみませんか?」
「オレンジスライス?なんで?」彼女が怪訝そうな顔を向ける。
「ネグローニは、そのままでも十分美味しいですが。
 オレンジスライスを入れるだけで、ずいぶん優しい味と香りになります。
 今日はその方がいいのでは?」

彼女は、オレンジスライスの加わったネグローニのグラスに唇を付けた。
ふんわりとオレンジの香りがする。カンパリの攻撃的な苦味もほんのり和らぐ。
芯の強さはそのままに、少しだけ素直な味になるのだ。
そのネグローニを舐めるうち、彼女は苛立った気持ちが落ち着いてゆくのを感じていた。

そこへ、バーの扉が開き、男が入ってきた。
彼女が振り返ると、そこにいたのは花束を抱えた彼だった。
「やっぱりここにいた。携帯電話、つながらないんだもんなあ。」額に汗を浮かべて、彼が笑った。
「どうしても終わらせなくちゃいけない仕事があって。仕事を放り出してくると、
男の癖に情けない、って君に叱られるからさ。一旦はキャンセルしたけど。
大急ぎで片付けて、なんとか花屋の閉まる時間に間に合った。
誕生日、おめでとう。」
彼が花束を差し出す。
「何で・・・知ってたの?誕生日だって。そうならそうって・・・!」
いつものようにきつい口調で言いかけて、彼女の言葉が止まった。
「・・・ありがとう・・・。」
彼女の頬を涙が伝っていた。子供のように肩を上下させて泣く彼女を、
彼は驚いた顔で眺めた。いつものように叱られると思っていたのだ。
泣きながら小さく、ありがとう、と繰り返す彼女の頬を、彼は微笑んで指で拭った。

初老のバーテンダーは、背中を向けて、見習いの若いバーテンダーにこっそり呟いた。
「ネグローニのオレンジスライスにはね、気の強い女をほんの少し素直にさせる
魔法がかかってるんだよ。どんなに強い女もずっと強いままじゃ疲れてしまう。
太陽をいっぱい浴びたオレンジスライスを入れれば、カンパリの苦味も少し素直になるんだ。」
「まあ、僕たちバーテンダーが出来るのは、その魔法のかかったネグローニを
作ることだけだがね。最後にその魔法にかかる勇気を出すのは、お客様本人さ。」

やっと泣き止んだ彼女の前で、ネグローニのグラスの氷がカランと小気味の良い音を立てた。

今夜からは、ちょっぴり優しい味のネグローニが飲めそうだ。