脳のミステリー

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248.若者からの大感激の手紙

2008-03-05 17:08:01 | Weblog
手話交流会代表のSさんから突然手紙を戴いた。
思えば、Sさんとの初顔合わせは2006年暮の第一土曜日だった。手話交流会「ボヌール」の代表を務めるSさんは素敵な熟年女性。彼女は左に視覚障害者の青年を、そして更にその左には聴覚障害者の若い女性が手を繋いで登場した。ボヌールBonheirの目的は視聴覚障害者や知的障害者と共に手話を使って心の交流をモットーに、手話で歌い、ステップを踏み、ダンスをしながら障害者の人達への協力と理解を深めるのだと語った。手話は日米手話、触手話、更に触ローマ字を使うという事だった。
聴覚障害を持つ人が手話を操るのは分かる。だが、視覚障害の若者が独特なスタイルで手話を道具にする姿にはビックリした記憶が私には鮮やかに残っているが、何とその若者から手紙が届いたのである。Sさんが差出人だったが、封筒の中にはもうひとつ封書が入っていた。送り主はあの若者だった。これにはビックリ! 
初めて会ったあの日、私は彼に遠慮せずに聞いた。
「どうやって手話が分かるの?」
私の質問に彼は笑って答えてくれた。先ず、50音の決められた形を覚える。特に「あいうえお」は真っ先に覚えるのだそうだ。指の感覚は自分には分かるので形をやってみせる。返事は当然、声で分かるが敢えて手話でやって貰って胸に押し付けて貰う。なるほど、触手話である。勿論、50音が分かっていれば、掌に指で書いて貰う事も可能になるだろう。
今回手紙を開いた私は、もし若者が傍にいたら、きっと「どうやって?」と聞いただろう。
だって、手紙には鉛筆でこう書いてあったのだから。
「ご著書を読・・・それぞれの犬に対する・・・あふれて・・・とくにドックに対する深い想いを感じました。阪田さんの目の前で自ら死を知り、お別れをするばめんには強く心を打たれました。(~省略~)まだまだ寒い時節がらどうかご自愛ください」
・・・の部分は鉛筆の色がなく、うっすらと字の傷がついているのだが、彼が私に伝えたい事は十分に理解できた。
私は胸が熱くなり、何度も何度も紙を捲った。
アメリカ生まれの若者は3歳まで英語の社会にいたのに英語が苦手だと笑っていたっけ!優秀!優秀!これだけ丁寧な日本語が書けて、あの時知ったけどあれだけ話せれば、最高よ!
私が知る有識人の御子息もアメリカ生まれで日本育ちだが、車椅子で動き回っているらしい。アメリカという大陸がノーマライゼーションを彼らに自然と吹き込むのかしらん!実に素晴しい!
かのJFK大統領が尊敬したと言われる日本人が唱えた言葉「成せば成る、成さねば成らぬ何事も、成らぬは人の成さぬなりけり」だが、これはしっかりと逆輸入したいフレーズである。