「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

              TPP参加と攻めの農業

2013-02-28 06:45:32 | Weblog
北海道産のお米「ほしのゆめ」「きらら」「ななつぼし」が東京、大阪などの消費地で味のよさで従来の「こしひかり」「ササニシキ」を押さえて販売量は上位三位を独占しているという。わが家は1971年から約10年間、札幌に住んでいたが当時では考えられなかったことだ。東京からの転勤で、東京と同じようにお米屋さんから価格の安い「標準米」を注文したら道内産米でまずくて食べられなかった。40年前はそれほど道内産米は品質が悪くおいしくなかった。

TPP(環太平洋経済連携協定)参加で日本の農業の対応策で揺れている。安倍内閣は農業を成長分野と位置づけ、国際競争力に耐える産業に成長させるため攻めの農業を目指している。この攻めの農業で将来農林水産業の輸出額を1兆円に倍増しようと目論んでいる。具体的な案はまだ明示されていないが、方向としては誰でもが賛成である。

日本の農業の現状を見ると、どん詰まりである。農業従事人口は全人口の3%、260万人にすぎない。それも高齢化が進み平均年齢は65,8歳、35歳以下の従事者は僅か5%だという。その結果全国での耕地放置面積は年々増え、埼玉県の面積にあたる40万haもある。それにほとんどの農家が小規模の農地を耕す兼業農家である。この農家が国からの補助金に依存し細々と守りの農業をしているのが現状である。

TPP参加については全国の都道府県議会の8割が反対している。全国のJA(農協)の中核である全中は、赤いユニフォームに鉢巻姿で反対の気勢を上げている。JAにとっては死活の問題であり、よく理解できるが、この姿は”ノーキョウ”全盛の米価審議会時代から見慣れている。今、日本の農業が直面しているのは国際時代を迎え、いかにして農業を構造改革して攻めの農業にするかである。40年の歳月がかかったが、北海道産のコメが証明している、道産米の政府買い上げはゼロだとのこと。

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11 コメント

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企業化 (chobimame)
2013-02-28 15:51:51
TPPは、参加することになるでしょうね。経団連が押していますから。
農家の人の心配も分かりますし、訳のわからない外国野菜ばかりがスーパーに並ぶのもいかがなものかと思います。
しかし日本の農業は、衰退しているのも事実です。この部分をどうするか考える事が先決のような気もします。
農業は、今まで個人でやるに家業ですから、跡継ぎがいるかいないかで後が決まってしまう。
同じ家業でも歌舞伎役などの華やかなものとは違いますから、農業は現代の若者にとって厳しい職業だと思います。
いっそ農業を企業化してしまうのが良いかと思います。聞こえと見栄えが良ければ、やる若者が増えるかもしれません。
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第二の農業革命 (kakek)
2013-02-28 16:44:30
chobimame さん
専業農家はほんの一部だけで、大部分は第一種兼業農家で、他に収入源があって、ほそぼそと農業をやっている方です。JAは昔ながらのつながりから、この方々を中心に組合活動をしています。怒られるかもしれませんが、こういった組織の中での農業では世界の農業には立ちうけできません。専業農家を中心に、外国並みに農地を拡大し、企業化しなければやっていけません。
ここは国をあげて農業改革をしてTPPに立ち向かうべきです。ちまちまと農産物ごとに補償する従来のやりかたではダメですね。戦後の占領下で、わが国は革命的ともいえる農地改革を経験しています。これに次ぐ第二の革命を覚悟すべきです。
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JAと農林水産省とがボトルネック (lordyupa)
2013-03-01 11:31:21
農業の専門家ではないので、雑感にとどまります。

chobimameさんやkakekさんのご意見:「零細から企業的規模」に、大賛成です。果実・作物の種類の特徴にあわせて、戦略を練る必要があると思います。カロリー基準の国内自給率を重視しないことがポイントだと思います。金額ベースでは、野菜や果物も含めて、世界規模で比較すると、日本農業は総出荷金額ベースでは、Top10の中に位置しており、日本は農業大国(金額ベース)です。福島原発事故の直後では、中国人研修生が全員帰国してしまい、人手不足でイチゴが収穫できなくなったという笑い話のようなこともあります(日本の農業を下支えているのは中国研修生???)。農産物のお客さんも日本人だけではなく、世界中の消費者を意識した造り分けがいると思います。高級ブランド米は、富裕層向けとし国内だけでなく輸出を大幅促進、日本の庶民層向けには、米国のカリフォルニア産ジャポニカ米などを無関税で大量輸入してはどうでしょうか?安全保障との関係では、農産物の輸・出入においても、米国、カナダ、豪州などとの連携強化の方向、かつ中国依存を削減する整合性を取った方が良いと思います。エネルギー政策とも連動させて、石炭、シェールガス(天然ガス)の安定供給国として、米国、カナダ、豪州を大事な同盟国と考えるのが良いと思います。米国、カナダ、豪州からは長期的に大量の穀物などを輸入し続けること。
日本の農業は、トラクター、耕作刈り入れ機、トラック、乗用車、肥料生産、農薬生産など「地方の農家の暮らし」は、石油(化石燃料)が停止したら、一貫の終わりです。今は、戦争の火薬庫といわれる中東に生命を預けています。


兼業農家がほとんどを占める農村では、あわよくば農地(税金が極めて低廉)を宅地や商業地として転用しようと農家が、農地の既得権を他人に譲ろうとせず耕作放棄地としたりしながら農業補助金漬け。兼業農家には、農業に熱心な若者が農村に入ってくるのは、かえって迷惑。生産者の顔写真が載っていれば、それだけで安心して高い金を払う「国産安全神話や地産地消神話」の消費者を馬鹿にしつつ。

これに反対阻止しようとする勢力は、専業農家ではなく、既得権益のかたまりであるJAと農林水産省だと思
います。

日本は、国土面積が広い割には、残念ながら平地が少ないのが、大規模農業ができない一つの弱点のようです。最近、このような耕作放棄地に、メガソーラーを設置する嘆かわしい動きが地方でみられます。日本の農業の競争力アップには、耕作放棄地は、太陽電池ではなく、TPPに勝てる農地として再生復活させる必要があると思います。



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中国米は不買 (lordyupa)
2013-03-01 12:16:15
西友などで、「安かろう、まずかろう」ということで中国米を3割安く売り始めたようですが、水質汚染・土壌汚染・農薬汚染・反日意識による毒物挿入など、今後ますます、貧富の差が拡大し、地方官僚と共産党幹部の腐敗が進展する中国での環境が、著しく悪化するのは、目に見えており、とめようがないと思います。
幼児が呑む粉ミルクに毒物メラミンを混ぜて販売する守銭奴が闊歩する国家の食品は、できる限り避けた方が良いと思います。

まず、輸入するなら、品質管理、まずまずの味の点では、米国産カリフォルニア米(ジャポニカ種)が、適切だと思います。

毛沢東神話が打倒され、共産党独裁政権が倒れるまでは、中国米は不買が、良いと思います。


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Unknown (kakek)
2013-03-01 17:58:12
lordyupa さん
僕は都会育ちで農業には疎いのですが、JA全中のTPP反対の論拠には首をかしげたくなります。安倍総理がまだ加盟交渉参加を正式に表明もしていないのに官邸へ押しかけ文句をつけています。全中の萬歳章会長は新潟県五泉市出身ですが、地元の農業がすでに壊滅状態で農業よりはニット産業に依存しているのをよく承知しているはずです。コメの消費額が年々減り、パンのそれよりも低くなっている現状認識をしているのでしょうか。
食糧安保の観点かから食糧自給率を確保しなければなりませんが、昔のように日本人の主食がコメ一辺倒ではなくなってきています。にもかかわらず、TPP交渉でコメを聖域に残せといっても理解できません。JAの意見の中には、TPP参加で棚田が破壊されるといっていますが、生産性の低い棚田がまだあることに日本の農業の問題点があります。伝統的な農村を残すのなら棚田を観光農園としてしたらよいのです。
1960年代の米価審査会でよく見られたは赤シャツに鉢巻姿はやめてほしいものです。万歳会長、どうぞ日本全体の大局を見てほしいです。
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日本人の若者が夢をもてる農業を (lordyupa)
2013-03-02 13:54:58
kakekさん
私は、農家でないので、実情がよくわかりませんが、
農地を所有する既得権益者として、敗戦後には「不在地主」が主だったと思うのですが、現在の利権の構図(兼業農家や都市近郊農家)の実情が、TV報道などでもよく、見えません。どうやら、米や穀物・酪農は高齢化で補助金漬け、新規参入者(企業法人など)の農地購入には農業委員会の許可必須など、参入障壁が強固。一方で、都市部近郊農家は、農地独占により固定資産税、相続税、転売益、賃貸不動産業などで、実質、合法的な脱税に近い状態では??(目黒の生産緑地でとれる野菜が経済合理性をもつはずがありません)

農業については、何かきな臭い感じがぬぐえません。
1980年代あたりから、農家の嫁不足が始まり、JAは「アジア農産物の輸入は反対だが、フィリピン人妻などアジアから嫁人材の輸入は促進」と言い出しました。
2000年代あたりから、米麦作・酪農から現金収入の得られる「野菜・果実・花などの園芸農業」へと転換が進むと、JAは「アジアからの農業移民には反対だが、首切りしやすく低賃金の中国人農業研修生は促進」の音頭をとり、まるで山谷の手配師のようなことも開始。

補助金が少なくても、嫁さんがちゃんと貰え、低い関税でも国際競争ができるような健全な農業へと脱皮してもらいたいと思います。農地の税制・移転促進に関しても、GHQなみの剛腕で、構造改革を進めるのが必須と感じます。

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抜本的な改革 (kakek)
2013-03-02 16:42:18
lordyupa さん
戦後の連合軍(米国)の政策で最も評価されるのは農地改革だといわれています。占領軍でもなければ、あんなに大がかりなことはできなかったでしょうね、北海道に約10年勤務、この間多少”内地”からの移民史に興味を持ったことがあります。明治以後の移民の中には屯田兵もありましたが、圧倒的に多いのは全国各地からの貧農からの移民です。数で多いのは東北と新潟県からの移民です。新潟県の場合は、調べると一握りの大地主による土地支配からの貧困からのもので、他県とは事情が違っていました。
戦後の地主からの土地解放のあと、昭和30年代までは農地改良が進み、収穫高も上がりましたが、同時に機械化が進み、農家は各種の農機具を買うため農協からの借金づけになっているようです。新しく農業に参入したくても、かなりのおカネを用意しなくてはならないようですね。
TPP参加を機会に抜本的な農業改革が必要な気が素人なりにします。
「南京米」という言葉を聞いたことがあります。最下等米だったと思いますが、昔多少も輸入していたのですね。
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先祖代々の土地 (lordyupa)
2013-03-02 17:57:10
kakekさん
私の知人の事業家がいますが、彼が茨城県で農業起業法人を企業組織ではじめようとして、農地を購入しようとしたところ、「土地代の他に、農業起業には、まず3千万円を用意してください」と言われたそうです。「お金は心配ありません」と回答したら、「ムニャムニャ・・・」といわれて結局、農地購入はできなかったそうです。
よく、TVで見ていると「先祖代々の土地だから譲れない」
と言われていますが、kakekさんが書かれたように、戦後のGHQの農地解放で入手した農地が多く、たかだか70年程度の所有であり、自分の先祖代々の土地ではなかったのではないかと思いますが?
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JAバンク預金残高は過去最高の90兆円 (lordyupa)
2013-03-03 13:23:04
ブロガーさま
このテーマは、これで最後のコメントといたします。長々と申し訳けありませんでした。

JAバンクのホームページによると、2006年12月末から2012年12月末までの6年間で、リーマンショックの金融危機の大不況をはさんでいるのに、なんと80兆円から90兆円へと、10兆円もの預金残高を増やしています。
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最高の組織だが (kakek)
2013-03-03 17:43:50
lordyupa さん
日本の農協は世界でも誇れる組織だと思います。それだけにTPP参加を機会に、抜本的に改組し国益にそった組織に発展して頂きたいと切に望みます。
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