「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

決断ができない”断捨離”世代の嘆き

2016-02-06 05:28:53 | 2012・1・1
昨日朝のNHKの情報番組!アサイチ」に女優の山本陽子さんが出演”断捨離”について体験を語っていた。美しい着物姿、とても”断捨離”世代とはお見受けできなかったが、昭和17年生まれの73歳、やはり戦中から戦後すぐの、あの物のない時代の体験をそれなりにお持ちのようだ.

昭和1ケタの僕ら夫婦は、”断捨離”世代の申し子である。少年、少女時代にナイナイづくしを体験している、食料難からいつも空腹だったし、着るものも配給制度でなく、おしゃれなどできなかった。だから、絶えず心の中には”もったいない”の心があり、今でそれが残っている。ウィキぺディアによると、「断」とは入ってくる要らないもくのを絶つこと「捨」は家にずっとある要らない物を捨てること「離}とはものへの執着心から離れないーとある。まさにその通りなのである。

山本陽子さんは”断捨離”とは、決断力一つだという。僕もその通りだと思う。80歳半ばになって、「断」の心は何とか捨てられるようになったが、「捨」と「離」の心はまだ立ちきれない。なかなか決断できないのだ。たまたま、昨日住んでいる町会の主催で、中古衣料の回収があった。夫婦して二階の物置に上がり、不要な衣類をビニールに入れたが捨てきれないのだ。結婚生活60年の想い出があったり、一つ一つに未練があるのだ。

僕ら世代にとっては”断捨離”は一種の業のようなものかもしれない。どうせ、死ねば次の世代が思い切って処分してくれるとは知りながら、それができないのである。着るものがなく、亡父の古背広を裏返しにして着たあの時代が忘れられないのだ。