「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

           庭上一寒梅 春の足音

2008-01-16 05:45:04 | Weblog
首都圏はここへ来て寒い日が続いているが、正直なものだ。隣家の寒梅が早くも
ほころび始めた。これに負けじとわが家のベランダの小枝の寒梅も花を咲かせた。
昨年1月18日のブログでも僕は、この寒梅について書いたが、植物には季節の移
りを感じ取る不思議な能力があるみたいだ。”もうすぐ春ですよ”の歌声も近い。

                  庭上一寒梅(新島襄)
                 庭上一寒梅  笑侵風雪開
                 不争又不力  自占百花魁 
      (庭先の寒梅が咲いた。風雪に耐え笑うように、争わず無理もせずにどの
       花よりも先に花を咲かす)

同志社大学の創始者で教育学者だった新島襄が明治24年元旦、病気で療養先の
神奈川県大磯で詠んだ、辞世の五言絶句である。時に新島46歳である。46歳といえ
ば、今ならまだ”若造”の部類に入る世代だ。とても「庭上一寒梅」の新島の心境に
いたらない。新島には寒梅を詠んだ別の句もあり、同志社大学のキャンパスに碑が
建っている。
                真理似寒梅 敢侵風雪間

新島は明治24年1月23日、白梅が咲き誇る大磯で夫人や弟子達に見守られ天国に 
旅たった。遺言は「平和喜び天国」だった。年々歳々、寒梅が咲き出すと、僕も”冬
来たりなば春遠からじ”の気持ちになる。