Mooの雑記帳

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4月27日(土) どこも「消滅可能性自治体」にさせてはならない

2024-04-27 20:48:35 | 日記

民間組織「人口戦略会議」が、将来的に「消滅する可能性がある」とみなした全国744市町村の一覧を発表した。「消滅」の根拠は、2020年から2050年の30年間で、子どもを産む中心世代の20~30代女性が半数以下になるとの推計なのだという。
長野県では、市部では大町市と飯山市の2市が、町村では24町村がそれに該当している。
10年前に発表したときは、それなりの大きな衝撃を与えたが、今回はその二番煎じで、またかという感じは否めないし、そもそも国の政策と無関係に人口動態だけを根拠にこうしたデータを発表するのは、自治体間の競争を煽り、移住者の奪い合いを競わせることにつながりかねない。
また、自治体の新たな合併を狙い将来的な道州制への布石にもなりかねない意図的なものだ。

今日の信濃毎日新聞は、わざわざ「消滅自治体公表 浮き足立つ必要はない」との社説をかかげ、次のように主張している。

結婚や出産はその人の選択であり、どう生きるのかという個人の尊厳にかかわる。国力が落ちる、自治体がなくなるからと言われて、「では産もう」と当の女性が思うはずもない。
一人一人が幸せに暮らし続けられるために環境を整えるのが国、自治体の役目だ。それがひっくり返っていないか。
人口増のために、自治体を競い合わせるような仕向け方も、もうやめにしたい。

地方はその方針に沿って移住、定住策に力を入れてきた。しかし、人口減少や東京一極集中はむしろ加速している。国が各自治体に計画を作らせ、交付金や補助金で取り組みをコントロールする政策の失敗は明らかだろう。
東京一極集中の是正は待ったなしだ。国は権限、財源を移譲する地方分権を断行すべきである。
消滅可能性自治体とされた県内26市町村はどこも、人間が生きていく上で欠かせない豊かな自然、文化に恵まれている。浮き足立つ必要などない。

高齢者が圧倒的に多い人口構成の推移を考えれば、今後の人口減少は避けられないし、若い世代の多くが非正規・不安定労働に携わっている現状、子育て環境が劣悪で、しかも教育に法外な費用がかかる日本の実情を考えれば、安心して結婚でき子育てができる条件にはほど遠い。
これらを解決できるかどうかは国の政治がその方向をとれるかどうかにかかっているのであって、地方の多くの自治体が少子化対策に苦心惨憺せざるを得ないのは、まさしく自公政治の貧困がそれをもたらしているからだ。
今回の発表を見る際に、まず第1に、このことを心に留めておかなければならない。

***

しかし、同時に、それぞれの町村には独自の施策が人口構成に反映しているのであって、転入・転出という社会増減や出生者数という自然増減にそれが強く表れることになる。

今回のデータは、社人研が発表した推計に基づいており、下のデータは今回の発表から抜き出したものだ。どのような推計に基づくのかは定かではないが、それなりに直近のデータをもとにして推計しているのだから、私自身の調査に基づく推計とそう変わらない。

    総人口      20~30代女性
池田町 2020年 9,382人   607人
    2050年 6,153人   331人
松川村 2020年 9,599人   774人
    2950年 7,232人   491人
白馬村 2020年 8,575人   689人   
    2950年 6,321人   468人

比較的若い世代の多い松川村、外国や他県からの流入が多い白馬村と比べて、高齢化の相当に進んでいる池田町の落ち込みは著しいことが分かる。
ここには、人口構成から必然的に導かれる将来の構成という部分と、その町村の過去にとってきた子育て・少子化政策による部分と両方が反映している。

池田町の最近の子育て政策1つをとってみても、小学校ではなく、まず2つの保育園を統合し、比較的人口増加率の高い地域の保育園をなくしてしまうという愚策を選択した。
ダブルスコアで勝利した新町長は、南部に民間の保育園を誘致したいという方針を掲げてはいるが、ただ民間の保育園を作ればよいというものではない。
最も根底に、そもそも町全体としてどのように若い世代の労働環境・住環境を整え、子育てしやすい町づくりを行うのかの基本方針がなければならない。池田町は、行政にも議会にもこの認識が全く欠けており、結局現在のようなデータの発表につながってしまったのだといえる。

今からでも遅くない。町民を挙げて、上記を実現する町づくりの方策に智恵を絞り、魅力ある町への一歩を踏み出すことだ。

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