Mooの雑記帳

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5月12日(日) 野党共闘と日本共産党

2024-05-12 22:53:35 | 日記

2月11日付け東京新聞に、中北浩爾・中央大教授が語ったとする「野党共闘『期待したが、全くの幻想だった』」との論評が載っていた。
前半ではインタビュー形式で、1月の日本共産党大会後の同党についての一定の評価が書かれ、その後は野党共闘についての見方が載せられている。

前半の問題=共産党の組織問題については、私自身もそれなりの見解は持っているけれど、ここではそれには触れない。
問題は、後半の野党共闘の評価だ。
この記事では、野党共闘全体についての客観的評価を下しているのかと思ったら、実は共産党の対応だけが問題にされており、共産党批判で終わっている。これは一体どういうわけか。

「共産主義に基づいて革命を起こすという方針と矛盾しない範囲での柔軟化にとどまり、日米安保条約の廃棄や民主集中制といったコアを変えなかった」
22年まで野党連合政権樹立の目標を立てて実現しなかったが共産党の誰もその責任をとらない。「私もしれなりに期待したが、全くの幻想だった」というのが野党共闘不発の原因らしい。
そして、かつては共産党が日本政治のゲームチェンジャーになり得るとの指摘もしていたが、共産党の組織体制に問題があるとの指摘だけで、2015年以来野党共闘がどのように進み、どのような問題があるのかについては全く触れていない。

中北氏は、野党統一を求めるなら「日米安保の容認など大胆な政策の柔軟化が必要」であり、共産党が党勢拡大を求めるなら「民主集中制を改めた方がいい。自由で開かれた党組織に転換しなければ、若年層は入ってこない」と述べているが、この論法は、同党から除名された松竹伸幸氏が「シン・日本共産党宣言」で主張している内容と重なるところがある。

要するに、野党共闘が進まず、立憲民主党や国民民主党、労働組合の連合などから日米安保条約や自衛隊への同党の方針が障害になっていると言うのだが、本当にそうか。
中北氏が、仮に市民連合の一員として野党共闘の実現に奮闘してきた経歴をお持ちであるのであれば、聞くほどのこともあるかもしれないが、どうもそうではないらしい。日本共産党は一度たりとも、野党共闘だけを問題にしてきてはいないことを知ってこのような発言をしているのだろうか。

野党共闘という場合には、市民団体がつなぎとなり、政策協定を結び、「市民と野党の共闘」として候補者を決定しその当選のために努力してきた。長野県での衆議院、参議院ともに全く同じ構図で勝利してきたのだ。
そこでは、日本共産党の「硬直した体質」だとか「綱領上の問題」が野党共闘の妨げになったことは一度もなく、あくまで一致する政策での共闘であったことを確認しておきたい。

最近の東京での補選では、立憲民主党の酒井なつみ氏は「市民と野党の共同候補」であり、共産党は「例外的な措置」として当初予定していた候補者を下ろしてまで統一候補の擁立に努力した。
当選の一報が入った事務所では事務所入りした酒井氏が「共同候補として、市民の皆さんに支えられた」と語っている。また、長崎、島根での補選では、自主投票で立憲候補者の勝利に貢献している。

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「日米安保の容認」に転換し、一路政党消滅に向かっていったのはかつての社会党だ。
沖縄の現状を見れば、事実上の軍事的植民地状態に陥れているのは日米安保条約とそのもとでの地位協定なのであって、日米安保条約廃棄を掲げる政党がこの日本に存在することは日本の政治において誇りうることだと私は考えている。

日本共産党の立場は、安保条約に対する態度や自衛隊違憲論を野党共闘の前提とはしないことを明言しているが、中北氏はそれが目に入っていないのか、お気に召さないのか、全国のすみずみでどのように野党共闘を追及して努力されているのかは全く視野に入っていないようだ。共産党への注文があるのであれば、もう少し事実に即して問題点や改善点を求めるべきだろう。
「世の中はリベラル化しており、社会のさまざまな組織の形も軍隊調ではなく、フラットなネットワーク型に変わってきている。自由で開かれた党組織に転換しなければ、若年層は入ってこない」などと、まるで共産党を軍隊でもあるかのように描くのは、為にする論評と言われても仕方がないのではないか。

共産党が安保・自衛隊容認に転換し、社会民主主義政党に「脱皮」すれば、党勢は拡大し、未来への展望が開けるのか、それこそ支配階級が欣喜雀躍、狂喜乱舞することであって、国民の側からいえば共産党消滅への階段を転げ落ちることになるだろう。

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私自身は、外から日本共産党の発展を願っているだけなので、組織的な問題については触れられる程度で意見を述べることは今後あり得るが、中北氏のような傍観者的でマスコミ受けするような見方とは相容れない。日本共産党への意見を述べるのであれば、もっと別の<実践的かつ建設的な>言い方があるはずだ。
自民党をここまで追い詰めた端緒を切り開いたのは日本共産党の告発であるし、3補選での勝利に大きく貢献した一端を日本共産党が担っていたことを忘れてはならない。一部メディアや中北氏のような「評論家」的論評に惑わされることなく、政治の深部の変化をしっかり見据えていきたいと思う。

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