Mooの雑記帳

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1月17日(水) 農業新法人設立 5つの問題点

2024-01-17 15:27:04 | 日記

先の投稿では、農業振興協議会の設置から答申後に至るまでには、大きな問題点が5点あると書きました。
ここでは、その一つ一つについて、検証をしていきたいと思います。

第1、協議会の人選と協議の進め方の問題です。
ここに、最終答申につけられていた委員のメンバー表があります。県関係者が半数以上です。実際、県関係者は県議も含めて5名。会議に出席しているアドバイザー3名は全員県関係です。では、池田町の農業者はどうかといえば、農業委員会会長1名、農業者代表として1名が入っているのみ。あとは地権者であったり、JAの代表者ですから、稲作を中心として法人経営をしている池田町の農業者の姿はここにはほぼ見てとることができません。池田町では、稲作でも野菜でも小規模経営や有機農業にかかわっている人たちも存在しています。
昨日も指摘したように、県の補助金を受けて実施した中山間地の農地についてどうするかだけを検討するのであれば、あるいは許される構成かもしれませんが、池田町全体の農業を新たに法人を立ち上げて進めようとする事業を提案しているのですから、果たしてこの構成でよかったのかどうか。このチェックが町でも議会でも全く不十分です。

協議の進め方についても重大な問題があります。
私も2度ほど会議を傍聴しましたが、会議の特徴は、示される原案がすべて協議会会長であるM県議と県関係の職員によって作成され、会議の半分以上を会長の話で占められるという一方的で異常な進め方であったことです。
池田町の団体などを代表する人たちがどんな発言をしていたのか、議事録でぜひとも確認していただきたい。疑問を挟む意見を出そうものなら、議長がそれを取り上げて自分の都合の良い方向にもっていく。会長や県職員が主観的にどれほど「池田町の農業のことを考えている」と言おうが、傍聴した人であれば例外なく私と同じように感じるでしょう。議事録を省略せずに、音声とともに公開すべきです。

第2に、町内の農業者の意見が反映されていないこと。
これは昨日も詳しく書いた通りです。確かに審議の途中で、法人関係者や農業者からの意見聴取を行ったことはあったのです。しかし、中心は社口原を新規法人で耕作することであり、既存の農業法人との関係は必ずしも明白ではありませんでした。
実際、中間答申後の協議会でも、会長から突然新たな法人=「既存の農業法人や団体を網羅した法人」=結成の案が提案され、町長に対して「これを認めてもらわなければ先に進めない」として町長の同意をその場で取り付けるという一幕がありました。しかし、次の協議会では、まるでそのような議論がなかったかのように、既存の法人とは無関係の新たな法人を作るとされ最終答申につながっていきました、水田の耕作に携わっている農業者の皆さんに最終答申のような形態が相談されたり周知徹底されたりしていたわけでは全くないのです。

さらに、協議会はあくまで協議会であって、町が答申を受けてこうするという話があって初めてそれに対する意見も言えるでしょうが、町は答申をそのまま町の方針にしてしまっているのですから、昨年末から現在まで、農業者が意見をいう機会さえありませんでした。

現在の農業者が抱く大きな懸念は、既存の農業法人の発展のために補助したり人的対策をとってくれるのではなく、新法人を立ち上げて手広く水田耕作も行うとなれば、当然競合が起こるし、土地の引きはがしすらありうるのではないかということです。まるで、農業者の高齢化が進んで既存の法人や団体が消滅していくのを待つかのようなやり方になっているという不安、町に対する不信感が底流にある。まず、町は農業者のこうした不安や懸念を払しょくしていかなければなりません。その手順が全く欠けている。

第3に、町長が、協議会に諮問しながら事実上その答申の当事者になっている点。
町長は諮問した会議に、求められてかどうかはわかりませんが、毎回出席していました。これでは協議の当事者としか認められません。事実、会長からその都度重要な事項(法人設立やまちの関与など)について同意のみを求められ、それに従ってきたのです。
町が主催する会議ならば、自分がトップですからそのようなことはあってもおかしくはないのかもしれませんが、この協議会は町長からの諮問を受けた協議会です。

私も参加していた行財政改革推進委員会も諮問機関でした。しかし、その委員会が出した答申について、町作成の第6次総合計画後期の原案には何と書かれていたか。
「池田町行財政改革推進委員会の答申のうち、実施すると決めたものについて計画的に進める」
良し悪しは別として、主体的に町が判断すると言っているのですから、満額回答の農振協とは大違いです。行革については実施しないと決めたことの方が多いのではありませんか。

しかし、農振協では毎回出席して同意を与えてきた答申ですから、町がそれを受けて新たに付け加えることは何もない。ただ実施を迫られるだけという構図=諮問した本人が答申しているという構図=ですから、他の自治体からみれば「あり得ない」ことがこの町で起こっているということです。

第4に、町の方針が示されないまま、答申を方針として事業をすすめていること
答申が町に出されたのは12月4日、ホームページで町民に知らされたのが12月26日。その日のホームページでは次のように記されていました。

町では、最終答申の趣旨を重く受け止め、JA、長野県などの協力を得ながら農業の新たな担い手となる法人の設立など、持続可能な農業の振興に向けて取り組んでまいります。

こんなものは、町の方針でも何でもない。
本来、答申を受けた後で町がやらなければならないのは、振興課内での十分な協議と理事者・課長会議等の協議を経て、農業振興の基本方針、具体的展開、庁内での人的配置、スケジュールなどを明文化し、議会・町民に周知することです。そのうえで、農業関係者の理解を得る努力を重ね、そのうえで始めて事業の開始となります。
2月に法人を立ち上げなければ補助金に間に合わないなどと町長は述べているようですが、およそ理由にならない。そうやって失敗してきた歴史から何も学んでいません。

第5に、年末に突然行われた法人設立趣意書や出資金の募集は、行政手続きを無視して行われてきたこと。
まず、年末に配布された設立趣意書はその体をなしていません。つまり趣意書になっていない。
農林水産省の「発起による農業法人(株式会社)設立の流れ」によれば、発起人会の開催、定款の作成・認証を行ったうえで、出資の履行に進みます。
急いで法人を設立しようと焦ったために、準備が整わないまま、偽りの文書を住民に流して見切り発車したということでしょう。

町が出資者となることを答申が求めているのですが、出資金の支出だけではなく、今後社口原の耕地の整備や農業法人の担い手の人件費、耕作に関わる借入金の担保など様々な問題が発生することになります。
農業関係者から、我々の既存の法人への援助はないのかという声があがることは当然ですが、新たな法人にのみ多額の町費をつぎ込むことになる矛盾をどう解決するのか、また、そもそも絵に描いた餅のような計画を誰がどのように実施するのか・・・そうしたことを考えると、農業者の陳情書にあるように一旦立ち止まり、1年くらいの猶予を置いて、慎重に議論を重ねるべきです。

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