RADIO RADIO RADIO

　硬い痛さだ。この季節に外に出るといつもそう感じる。
　形を持たないこの硬質な風はいとも簡単に体を征服してしまう…


そんなわけで夜まで時間があるあっしは時間まで寝ているわけにもいかず、あるところに向かいました。

　向かった先は九段下。
おい、また靖国かいって思った人はたんぽぽたん！
　毎回同じところに行くわけないでしょ
どこに向かったと聞かれたら、あっしはこう答えるでせう

志半ば、海外で尊い命を失った名もない英霊が眠る千鳥ヶ淵です。

靖国神社と比べ、こちらは閑散とした雰囲気。
土曜の午後だと言うのに、人っ子一人居ない。

「国のため　いのちささげし人々の　ことを思えば　むねせまりくる」
あっしはこの「御製の碑」の前で深々と頭を垂れた。

顕花を捧げます。
アーリントン国立墓地は多宗教でこちらは無宗教です。

言葉などいらないです。というか失います。

また参ります。
そう告げると、踵を返し、歩き始めました。
革靴の乾いた音だけが辺りに響き渡りました。