昔はよかった、今を嫌う人の言葉です。
もちろん若い人はそう言いません。
昔を知らなければよかったこともわかるはずがないからで、あたりまえです。
昔はよかったという言葉には、食べものの味のこともあります。
言葉にも好い言葉と嫌な言葉があるように、味にも好い味と嫌な味があります。
好い味は、みな美味い味かというと、そうでもなさそうです。
いまの味より不味くても、それが懐かしいこともあります。
懐かしい味には、その食べものが元来持っていた素材の味もあれば、添加された味もあります。
懐かしい味が、調理の過程から生まれたものでない場合は、自分で作り出すことはできません。
ソーセージのような加工食品にしても、昔の味を懐かしがられても、そんな味しかつけられなかったのをいまさらということもあります。
また巡り会えることを望んで、待っていても、探し歩いても、たぶんその機会はもう来ないでしょう。
これが本当の味だなどと粋がっても、それに値段がつくのは、もの好きが生きている間のことで、それほど長く続かないかもしれません。