本にもTV番組にも、解説ものが目立ちます。
解説というのはおかしなものです。
そのものごとと向かい合う前に、解説を読んだり聞いたりすれば、よくわかるかというとそうでもなさそうです。
解説は聞いてしまえば、その分だけ自分で感じ取り考えることが減ります。
解説はわからせるための説明だから、懇切丁寧、微に入り細に亙るのがよい、などと思うのはとんだ見当違いになることもあります。
ことわざも、意味を先に考えると理解が遠のくような気がします。
ことわざは、どんなとき、どんな場合にそれが使われたか、何度も耳にする機会に恵まれて、だんだんわかってくるものです。
人が集まればすぐゲームを始めたがる世の中になってしまうと、もう優れたことわざは生まれないでしょう。
ことわざの側から言えば、得意げな解説はむしろ邪魔ものなのです。
善人長屋 (新潮文庫) | |
西條 奈加 | |
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