ナオミは次々とゾンビたちを倒していった。
しかし、生体エネルギーを相手に打ち込むには多量のエネルギーを消費した。
いくらゾンビたちを救済しようと思っていても、すでに思考や判断能力を失った彼らの攻撃が止むことはなかった。負のエネルギーをはじき飛ばされたゾンビはもう再生しなかったが、ナオミと孔明はすでに多くのゾンビを作り過ぎていた。
アクアソードが切れ味を失い始め、真珠の戦闘服もだんだん攻撃をはじき返せなくなってきた。戦闘服はあくまで思念が形を持っただけであり、アクアソードも水を思念によって刀の形状にしただけで気力と体力が衰えれば戦闘能力は衰えてしまう。
ナオミは武器をあきらめて正拳突きと蹴りに生体エネルギーを込めてゾンビに直接打ち込み始めた。だが、ゾンビたちの攻撃をだんだんとかわせなくなってくる。
ケネスの、体力勝負は不利だ。相手の攻撃は受け流せ。ディフェンスにみがきをかけたら、次はカウンターを覚えるんだというアドバイスが甦ってきた。
ナオミはゆらりと波のような動きで相手をかわすとカウンターのパンチとキックでゾンビたちに生体エネルギーを打ち込んでいく。
がんばるんだ、残りのゾンビはあと六体。
あと六体、倒せばこっちの勝ちだ。
「雨が・・・・・・」マクミラは気づいた。
自らの意志を持つかのように雨がゾンビたちの足を滑らせナオミを助けるように動きだした。一撃を受けたゾンビは数メートルも飛ばされたかと思うと地面に落ちる前にバラバラになって消えていった。
「さすが雨中なら無類の強さね。じゃあ、こちらも母上の能力を使わせてもらうわ」
闘いは、 “最終ラウンド”に入ったようだった。
マクミラの両手にあやしい炎が点った。
摂氏千度・・・二千度・・・三千度。
熱が高くなるにしたがって赤い炎が青白く変わっていく。マクミラはニヤリと笑うと火の玉を六体のゾンビたちに投げつけた。声を出せないはずの彼らが苦悶の叫びを上げたように見えた。
ゾンビたちの怒りが数倍にもなった。同時に彼らの負のエネルギーも数倍になった。肉体をめらめら燃やしながらその間も変態を続けるゾンビたちがナオミに近づいてきた。
拳や蹴りが決まっても今度は炎にじゃまされてそれまでのようには効かない。逆にゾンビの身体に触れるたびに、ナオミの手足がやけどをおこす。あと一歩のところまで行きながらナオミは絶望しかけた。
「勝負ありね」マクミラが不敵に笑う。
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