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かながわハーブナーセリー園主のブログ ハーブと暮らす365日

横浜市泉区のハーブ専門のナーセリーです。ハーブ苗、食用ハーブの生産をしています。kanaherb.web.fc2.com

「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」 万城目 学(まきめまなぶ)

2007年10月02日 22時00分57秒 | 
どちらも少し前に読み終えた本。
本屋さんでのジャケ買いで「鴨川~」を手に取り、おもしろさにハマリ2冊目の「鹿男~」も即購入
2作品とも、軽妙な文体に民俗学などのエッセンスを加えたサクサク読める良作です
荒唐無稽な設定に慣れるまで若干??状態になるも、それは物語の主人公も同じで、ストーリー展開とともに読者も??が!!になる仕掛けで面白いのです。

評価: 

「光の帝国」 恩田陸

2007年09月22日 00時54分25秒 | 
タイトルだけみると宗教関係?と不審に思われるかもしれませんが、そんなことはないので安心下さい

恩田陸は「ドミノ」くらいしか読んだことがなかったのだけれど、カバー裏の紹介文に惹かれて購入。
この物語、「常野」と呼ばれるところから来た特殊な能力(予知や千里眼といったもの)を持つ人々を主人公にした短編集からなる。
といっても、アニメや映画のヒーロー物のように特殊な力をつかって悪に挑む!的なストーリーではなく、むしろ能力を持つことを隠しながら日常の中でひっそりと暮らす「常野」の人々の姿を描いている。
この「常野」一族を軸に時代や場所をかえながら物語は展開するのだが、それぞれの短編が絶妙にリンクしていておもしろい
やわらかい文体にのせて人の業や善と悪といったものを織り交ぜて紡がれていく素晴らしいストーリー(嗚呼うまく表現できなくてもどかしい・・・
大好物です

評価:(5点満点)


「正義のミカタ」 本多孝好

2007年09月21日 21時36分09秒 | 
本屋さんをふらふら歩いていてジャケ買いした本。
本のタイトルと表紙デザイン(子供がヒーロー風の格好でキメてます。)から、松本大洋の「ピンポン」主人公の一人、ペコを勝手に想像して中身もろくに確認せずに購入。
うむうむ、きっと熱血系主人公が肉体的・精神的に成長しながら悪にたちむかっていくのだな(このへんの安易な想像力は年ジャンプの正義!友情!勇気!の刷り込みによるものと思われる)と読み始めるが、いきなり主人公のダメっぷりに腰砕けになる

しかし、文章のテンポがよくサクサク読み進む
序盤~中盤は予想通り?の主人公の成長物語としてストーリーが進むも、中盤以降主人公が慕う間(はざま)という人物が登場してから物語の展開が変わってくる。
それまでは表面的(勧善懲悪的)な行動をともなう「正義」に憧れていた主人公が、間との出会いを機に「正義とはなんぞや?」という内面的・観念的な葛藤にゆれるようになる。そしてそれは、それまで信じていた「正義」への疑問へとなり・・・

この本で作者が意図したのは、単純な勧善懲悪ストーリーで読後感すっきり♪というものではなくて「正義ってナンだ?」と読み手に疑問を投げかけ、考えさせる、そこにあるのでなないかと思う。

評価:(5点満点)

「青の炎」 貴志祐介

2007年09月15日 00時45分23秒 | 
たしか数年前に嵐の二宮くん主演で映画化されていたように思う。
友人から借りたので今さらながら読む。

冒頭の、傍若無人なふるまいを繰り返す母親の元再婚相手に暗い怒りの炎を燃やす主人公、その姿に大小の差はあれども改善しがたい理不尽にさらされているような人間は一気に感情移入してしまうことだろうと思う。
物語の序盤から中盤までは淡々と殺人計画を練りそれを実行に移す主人公の姿が描かれるが、そこから物語の結末に向かうまではうってかわって罪悪感や後悔にさいなまれ警察の捜査の手に怯え苦悩する主人公の姿が描かれている。
そうだろうと思うし、そうあるべきだろう。
この悲しく切ない物語の落としどころは、使い古された言い方だが「どんなに困難な現実でもその解決策として暴力を用いてはならない」「罪を犯せば必ず罰(報い)を受ける」それしかなかったのだと思う。

目の前の問題を一人で解決しようとすると、選択肢はぐっと少なくなってしまう。
この主人公の周りに腹を割って相談できたり解決策を提案できるような人間が存在していたら、物語はどう変わっていたのだろうか。