夢のあと

釣りには夢があります。夢を釣っていると言っても過言ではありません。よって、ここに掲載する総ては僕の夢のあとです。

釣りは素晴らしい!

2017年09月07日 18時46分51秒 | 釣行報告
奥山文弥という名前を聞き、釣りをする人ならピンっ!と来るでしょうが、釣りをされない方のためにちょっと彼のプロフィールを書かせていただきます。彼のBlogによると『「釣りを魚類学するフィッシングジャーナリスト。魚類研究家。東京海洋大学客員教授。専門はサケ科魚類。また、「おさかなコンサルタント」としても活躍。東京海洋大学で月1回、フィッシング・カレッジという公開行事を行っている。』とあります。また彼は日本人初のIGFAローヤルスラムクラブ入り(トラウト・サーモンのダブルゲット)。幅広く海外の釣りを経験した上で、身近な河川や海の魅力を再発見し、ビギナー指導、セミナーを開催している。著書は「サケマス・イワナのわかる本」などをはじめ多数。・・・です。
 難しいことはさておき、現在の釣り業界の第一戦で活躍されている方です。ひょんな事から彼と知り合い、それからJGFAを通しても(彼はJGFAのアンバサダーです)懇意にさせていただいております。
 そんな彼が最近僕が釣っているソウギョを釣りたいといらっしゃいました。実は彼のソウギョ釣りは今回で3回目なのですが、過去の2回は共に条件が良くなくてソウギョに出合うことはありませんでした(鯉は釣りましたが)。ソウギョは大きくなる魚なので餌を沢山食べなくてはなりません。ということは、一ヶ所に何匹も居られません。その場に餌がなくなってしまうからです。要は数が少ないのです。その少ない魚を釣ろうというのですからそう簡単には釣れないのです。最も難しいのは出会いです。出会いがなければ絶対に釣れません。要は魚が居ることが大切です。そして次に難しいのは餌に食いつかせることです。魚が居たとしても餌に食いつかなければ鈎は掛かりません。そして餌に仕込まれた鈎を餌を食ったと同時に口に掛けなければなりません。そして最期に糸が切れないようにタモ網まで連れてくる必要があります。以前彼がニジマスの日本記録を取った時に同行させていただいた事があるのですが、掛けた後の彼と魚のやり取りはまるで芸術を見ているように素晴らしいものでした。今まで沢山の大物と対峙して来た彼だからこそ出来る技です。ですから今回も掛けてしまえば捕れるという確信を持っていました。とはいうものの、今日の彼は8Lbという細い糸を使うとのこと。8Lbとは4Kgで切れる糸ということです。4Kgで切れる糸で15~場合によっては20Kgを超える魚と釣るのですから、並大抵の釣り技術では釣れないのです。かなり上級な釣技が必要になるわけですが、彼なら充分と思えていました。要は彼の案内役である僕が彼に掛けさせることさえできればいいだけなのです。責任重大です。前述したように過去2回失敗していますので今回は失敗できません。しかも今日は午後から天気がくずれる可能性があります。
 釣り場について早い朝食を摂り、最近実績が上がっている場所からスタート。しかしさっぱり魚信がありません。それどころか気配すらありません。一匹だけ姿を見せてくれましたが餌の位置とはまったく別の所。ここでしばらく頑張ってもらったのですが状況に変化はありませんでした。最期に釣って一週間しか経っていないのにこんな大きな変化をするなんて。。。仕方なく場所を移りました。ここは今釣った場所のすぐ上流で、僕が一度も釣った事がない、いわゆる処女地。こちらでは時折餌を食む音が聞こえています。期待は充分。しかし結果は鯉が一匹連れただけ。ソウギョは完全に沈黙を守っていました。そしてどんどん場所を移しているうちに結局元の場所に戻ってしまいました。先程やって釣れなかった場所なので彼のモチベーションも落ち気味。しかし、朝一匹確認していますので頑張ってもらいたいところです。しかしながら時間的にもお昼になってしまったので「ここを釣ったら昼食に行きましょう。午前中の最期の場所だからもう少し頑張って!」と。普通ソウギョは岸近くを泳いでいるのですが、時折移動したりします。朝見た時は川の真ん中でしたので、数投岸辺を釣った後真ん中を狙ってみて下さいと。彼のキャスティングは至極性格ですから、指示した場所に見事にピタッと入れてくれました。しかし魚信はなく、どんどん仕掛けが流されて行きます。どんどん仕掛けが遠くなって、そろそろ100mくらいになった時でした。ウキの回りの水面がわずかに揺れ、ウキがフラフラと安定を欠いて。その直後ウキのところで飛沫が上がりました。・・・ソウギョです!その後の彼は僕が想像していたよりもずっと素晴らしいやり取りをしてくれました。過去スレを見てもらって判るように僕も何匹かソウギョを捕っていますが、掛かってから上げるまでにはそれなりの時間が掛かります。相手が大きいですから。しかし彼はあっと言う間に足元まで連れて来てしまったのです。しかも、もうタモですくえるくらいの状態まで魚は疲れています。タモを催促されて始めてまだタモの用意が出来ていない事に気が付きました。まだまだだと安心していたのです。とんでもなく間抜けなアシスタントです。しかし彼はそれさえも容認して僕を焦らせる事もなく、僕がタモの用意が出来るまで魚を遊ばせてくれていました。僕も釣り師ですからこんな時の釣り師側は本当にイライラします。場合にってはこの遅れがとんでもない事態を引き起こす事があるからです。しかし、彼にそんなそぶりはまったくなく、タモの用意を終えた僕に的確な指示をして見事にランディング。まさに極上のファイトを見せてくれました。
 タモに入ったソウギョを二人で岸に引きずり上げ(重いので)作戦大成功!安堵の気持ちが僕を支配しました。しばし魚を見つめた彼は最初に「ソウギョ・・・始めて釣ったよ。ありがとう!」と。“何がありがとうダョ!”“こっちが「ありがとう」って言いたいよ(某CM風に)”って感じでした。
 釣りはこうして一匹の魚を釣っただけで釣った本人は勿論、周囲の人たちも幸せを感じる事が出来ます。本当に素晴らしい娯楽であることを再確認することができました。
 計測したあとリリースして釣り完了!(画像はリリースする奥山氏)

 その後二人で食事に行きました。僕の案内ですからろくなお店ではありません。それでも今日はとても美味しく感じられました。彼は「お礼です」と言って僕の分までお金を払ってくれました。ありがとうございました。そして何より釣ってくれてありがとうございました。僕も役目を終えてホッとしております。しかしちょっとだけ後悔があるのです。それは・・・こんな事なら最高級レストランに行くべきでした(笑。

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