雨の日も風の日も ららる~♪

気ままな毎日を綴ります。

パンソリ~沈静歌

2020-11-06 | 日々
パンソリのチャン・サイクさんを検索していたら、2012年に書いた、ららる~♪が出てきました。驚きました~こんなところに・・・。読んでいるとあの時の感動が甦って来た。2014年にブログをライブドアからgoo blogに変えました。パンソリのことを書いています。長いですが、パンソリを知って頂きたいのでもう一度ここに載せますね。この番組再放送してほしい。今も心に残っています。

       
    ***     ***     ***
   
素晴らしい番組を見ました。BSプレミアムの「旅のチカラ」。
ジャズシンガーの綾戸智恵さんがパンソリを求めて韓国の南原(ナムウオン)に旅をしました。2年前、母親の介護で生きる力を失っていた時、ある歌に出会い感動したという。韓国の歌手チャン・サイク(62歳男性)さんの歌。言葉も分からない歌に今まで涙が出るほど切ない思いをしたことは1回も無かったと。
彼の歌の原点であるパンソリを知りたいと6日間の旅に出たのです。
韓国ドラマが好きで見ているうちに日常会話を覚えてしまったという綾戸。
さすが音感のよさ。弟子入りしたのはアン・スクソンさん(やはり62歳女性)。韓国でこの人の右に出る人はいないらしい。実は以前、この人の歌を聞いたことがあった。芸文のキム・ドクスのサムルノリに行った時、パンソリを歌ったのが彼女でした。偶然みつけたコンサートだったけど最高の人の歌が聞けたのですね。この時の演目はは「沈静歌」(シムチョンガ)だった。

パンソリは口伝で楽譜はない。日本語の歌詞を見ながらの猛練習。何とか歌えるだろうと思っていたのは大も違いだったと綾戸。曲目は沈静歌。この間PANで聞いて来た歌だ。盲目の父のために海の神に身をささげる娘の物語だ。太鼓ひとつに合わせて歌う。リズムが違うとアン先生から何度もダメ押し。一生懸命挑戦する綾戸。

翌日、会いたかったチャン・サイクさんと再会。習ったばかりのシムチョンガを歌って見せる綾戸。チャンさんは一日でここまで歌えるのはさすが。でも形は出来ているけど表現が出来ていないと。綾戸は「分かった!表現する音楽を間違うと心が出ないんや」と気付く。ゴスペルを聞かせてとチャンさん。そこで綾戸がアメージング・グレイスを熱唱。「そうなんです。それが西洋のパンソリ」とチャンさん。綾戸がチャンさんの一言ひとことにうなずき積年の「恨」を流すかのように滂沱の涙。

温かく包み込むようなチャンさんの笑顔と言葉。パンソリは人々の喜び哀しみを表現するもの。心の中の「恨を」を出す。韓国人は泣きながらも「恨」表現しているでしょう。音楽で噴出させて拭い去ることが人生の智恵と思う。それがパンソリなんですと。

表現過多な綾戸にアンさんは押さえて表に出さない。品格が落ちますと「節制の美学」も話す。滝に連れて行き、パンソリの歌い手はここで100日修業をする。滝の音にまけない声を出し喉を潰してしまうのだと。89歳になるおばあさんにも会わせる。杖を捨てて踊るおばあさん(写真)。まるで鳥が舞うように。

終りの日、綾戸がみなさんの前で歌を披露。チョゴリをつけ、アンさんの太鼓に合わせ歌う綾戸。前日は徹夜だった。歌う綾戸に観客から合の手が入る。今までの綾戸の思いを込めたかのような歌だ。口上も入る。すべてハングルだ。扇をぱっと投げ捨てて終わった。ブラボーすばらしい~本当に見事でした。ジャンルの違うパンソリに体当たりでぶつかる6日間は、まるで苦しみの答えを探すかのように。

アンさんは理想の音を追い求め、絶え間なく苦しみの道を進み、完成させられずに死んでゆく。蜃気楼のようなもの。綾戸が「ミステリーですね」という。そうミステリー。人生は自分で悟ることができない。パンソリも同じ。どうしょうもない悲しみを乗り越えた人がやさしく喜びを感じる時間が増える・・・。綾戸さんは、アンさんの言葉にあふれる涙をぬぐうことも忘れていた。

旅を終えて、「まだまだ私は小さいですね」。そんな言葉を残しながら家族の元へ帰って行った。綾戸の笑顔~晴れやかなひまわりのような笑顔でした。

そうそうアン・スクソンさんが野外ステージで歌うのですがこの間行ってきた、全州のソリ会館でした。アンさんの歌が聞いてみたくなった。
この記事についてブログを書く
« 出会い | トップ | 今の目標 »

日々」カテゴリの最新記事