そこで眠りそこで目覚め、泣いたり笑ったり怒ったり、今の今まで生活のありさまが息づいていたその場所。 けれど施設で暮らす老人が亡くなると、殆どの家族は最後に暮らしたその場所を空白にする。 一昔前は、自分の親を施設に預ける事に何かしら後ろめたさを感じる社会的な風潮があった様に思うけど、今そんな時代ではない。 けれど、葬儀の挨拶では以前同様長期入院とされて見送る事で納める様だ。 一度だけ、施設で暮らした親の晩年をごく普通に話された家族があって、そのありのままが故人を偲ぶに相応しい良い葬儀だったと感じたことがあった。 葬儀と言うのは故人の為のものであるけれど、生きている家族の為のものでもあるようだ。 だけど、故人が生きて暮らした最後の居場所は、日陰に追いやらず陽だまりに置いて欲しいと思う。
様々に
人生模様織りなして
歳月巡る 苑の食卓