@TOHOシネマズ新宿
M・ナイト・シャマランは実力ある監督だとは思いますが、
毎度観る作品において、恐怖を感じるよりも笑ってしまうことが多く、
それってちょっとどうなのよ、と思ってました。
が、ちょっと見直しました。
最高でした。
何で評価振るわないんだろう。
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休暇を過ごすため田舎にある母方の祖父母の家を訪れた姉弟は、
優しく穏やかな二人に歓迎されるが、三つの奇妙な約束を伝えられる。
楽しい時間を過ごす、
好きなものは遠慮なく食べる、
そして夜9時半以降は部屋から出てはいけないという内容だった。
しかし、夜に変な気配を察知し起きてしまった姉弟は、
恐怖のあまり約束を破ってドアを開けてしまい……。
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ホラー映画において、
恐怖と笑いは表裏一体だと、本作を観て再認識しました。
B級ホラーに定評のあるサム・ライミ監督の「スペル」がまさにそうでしたが、
観客に恐怖を与える演出は、時として、物凄く笑えることがあります。
そういう意味では、本作も同類。
良いんだよね、ホラーで笑ったって。
本作では、主人公の姉弟が恐怖を感じるシーンが、
悉く、笑える演出になっています。
もはや、コントのレベルです。しかも結構質の高いやつ。
おじいちゃん・おばあちゃんを笑いものにするのは気が引けますが、
子供から見た、老人の姿って、時としてこうだよね、という過去の共感も相まって、
得も言われぬ不快感、不信感を非常に上手く出していると思います。
不可解な行動にもっともらしい理由をつけて笑顔で押し通す老人と、
大好きな母の両親ということで、おかしいと思いながら必死で納得しようとする子供たち。
ちぐはぐで、噛み合ってないからこそ、どこまでも不穏な空気感が無くならない。
ドアとかさー。開けなきゃいいのに、開けちゃうんだよね、子供ってね。
来るぞ来るぞ、と分かっているのに、
実際開けての衝撃映像!とか、まさにネタ見せの如し。
それと、この恐怖体験の多様ぶりも中々悪くない。
毎度自分に向かって来るのも芸がないし、
ちょっと遠目に、不可解な行動してるの観てるのって怖くない??
まあ、どれも全部、ベタではあるのだけど、
驚いた次の瞬間には笑ってしまうので、観客としては飽きないわけですよ。
何というか、アトラクション的な感覚ですね。
こういうのは、さすがシャマランというべきか。
終始感じる不穏な空気感も、観客を不快にさせる映像も、驚かせる演出も、音の使い方も、
王道ながら手慣れている感じがして、安心して観れます。
加えて。
主人公の姉弟、2人の個性が、物語の展開とリンクしているのも上手いです。
2人の持つトラウマは、彼らが感じる恐怖に影響していたり、
展開と共に2人が成長してるのが分かるのも、素晴らしい。
脚本も非常に良く出来ていると思います。
ちなみに。
私は、結構早い段階で、オチに気づきました。
相方は、素直に見ていてづかなかったらしい。
私達の中では、珍しいパターンですが。
しかしながら、本作の素晴らしいところは、
そのオチに気づいた後でも、物語が最後までつまらなくならなかったこと。
別に、特段意外なことは起きないんだけど、
ホラー特有の力技もありつつ、
ラストに向かって畳みかける展開と演出は、やはり流石というか。
そこそこテンポも良いし、笑いも驚きもありで、
娯楽作品として最高に楽しめました。
往年のシャマラン映画で煽られた"衝撃のオチ"的な要素を期待したり、
純粋なホラー作品を観たいという方には、物足りないというより、
期待しているのとは違うということで、評価が低くなるかもしれません。
あと、抜群に趣味が悪い映像が所々にあるので、
そういうのが苦手な人も、止めた方がいいかも。
反面、B級ホラーであることを認識していれば、
本作は批判する要素はあまり無い映画だと思うので、
その類の作品が好きな方には、全力でオススメです。
DVDよりも劇場が良いです。絶対に。
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