@新宿ピカデリー
ドラマ版の1クール目を毎回楽しみに観ていました。
が、2クール目は若干の惰性で。
正直、映画への熱もかなり冷め気味でしたが、
これで完結ならば観ないとね、と早々に観にいきました。
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妻子の死をめぐる謎を追い、その果てに警察内部に存在する闇を暴いた
公安警察官の倉木(西島秀俊)。
それから半年、ペナム大使館襲撃と高層ビル占拠爆破というテロが同時に勃発。
これらの事件は、犯罪プランナーの高柳(伊勢谷友介)と
暗殺のプロフェッショナルである権藤(松坂桃李)が率いるグループによるものだった。
彼らは、戦後犯罪史に残る組織的犯罪や経済事件に関与しているとうわさされる人物、
ダルマ(ビートたけし)の名のもとに、さらなる規模の計画を進めており……。
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うーーーーーーーーーーーーん。
一言、『そこじゃない。』という感想です。
これについては、後述。
まず役者陣について、結構固めて来ていた印象です。
既存の役者さん達は言わずもがなですが、
初登場の面々も非常に豪華で、穴が無いといいますか。
それでも言いたいことはありますよ。
役者というよりは、主に演出についてですが。
私は長谷川博己のファンなので擁護したい気持ちは重々ありますが、
とは言え、ちょっとはしゃぎ過ぎ。いや、はしゃいだ演出をつけ過ぎ。
正直、もう飽き飽きでした。
重要な役割だったので締めるところは締めて欲しかったなと。
初登場の中で、すごく頑張っていた松坂桃李君然り。
最近、どの作品でも非常に真摯に演技に向き合っている印象なので、
個人的に好感度が高いのですが、
彼に対する演出もまた、過剰過ぎやしないかと。
池松壮亮君演じる新谷との、静と動の対比を表したかったのは理解できるけど、
既に一人、イカれた役がいるので、ちょっとしつこいし画面上クドイ。
上記、役者さんに非は無いものと理解しています。
が、どうしても言いたかった。
アクションシーンは悪くないです。
無理矢理、外国の設定にしたところはどうかなあ、とは思いますが、
日本でロケが出来ない事情があるんでしょうね。
(だから邦画は伸び悩んでいるんじゃないのか・・・という独り言はさておき。)
血とかの描写も、思い切っていて、
その辺は、ドラマ版からの流れも含めてよかったです。
とはいえ。
護衛3人もいて、簡単に誘拐され過ぎだよ、とか、
物語展開上のツッコミが多々あり、非常に目に余りました。
後述する一番大きなツッコミどころも含め、
正直、脚本は穴だらけです。
それも含めて。
最初に書いた『そこじゃない』は、ダルマの位置づけについて。
これがどうしても納得いかないために、
私の中で、この作品の評価が上がりませんでした。
正直なところ、ドラマ本編における「ダルマ」の謎って、
"「ダルマ」って誰なの???"というよりも、
"「ダルマ」って何なの???"という部分だと、私は思っていたのです。
人々の夢の中に現れる謎の存在であり、
ちょっとした都市伝説的なもの、というか。
しかしながら。
これが実在の人物として登場してしまったことにより、
物語の本筋であるところが、非常に陳腐に、
そして、かなり小さくまとまってしまった印象です。
ダルマを実体化させて、無理やり娘の死との関連性を作るよりも、、
ダルマという存在そのものを、
実体でなく、陰謀論としておいた方が
「MOZU」という作品の持つ重い雰囲気や、
底知れない闇を壊さなかったんじゃないのかなあ。
原作がこうなのか、それとも映画オリジナルなのかは分からないので、
原作小説のままだったとしたら申し訳ないのですが、
正直、"ダルマ=ビートたけし"という案ありきで進んだ企画に見えるので、
何だかなあ、と思ってしまいました。
ダルマの正体がはっきりして、そして倉木が少しでも救われて良かった!
という感想の人もいるとは思います。
まあ、その辺は人それぞれですから。
あくまでも個人的な感想として、
映画としては正直ガッカリした、というだけです。
これから楽しみに観にいく人は、私のレビューなんぞ気にせずに、
倉木の物語の完結を、大いに楽しんで欲しいと思います。
ただ、私は、ドラマ版がすごく面白かったこの作品が、
映画化によって、ちょっと小さくまとまってしまい、
ただただ、残念だなあと思ってしまいました。
それでも一応の完結を見れたので、
とりあえずは、良かったです。