自分史 物怖じしない国際人を育てるヒント集

近現代史に触れつつ自分の生涯を追体験的に語ることによって環境、体験、教育がいかに一個人の自己形成に影響したか跡付ける。

戦争法/シールズSEALDs/デモ暮らし

2015-09-20 | 体験>知識

現代的教養の更新を迫られているのは他ならぬわたしだった。
憲法9条の平和主義を浅薄な内閣の裁量で変更するという、立憲主義をないがしろに
するヒットラーばりのやり方、無法に対して、老若男女の怒りが爆発し、連日国会では
デモ暮らしが続いた。
インターネットの普及は民主主義に別の回路を開いた、という識者の見解を天声人語
で知った。
カウンターデモクラシー!
ことば、概念よりもリアルなイメージが先に脳裡に焼きついた。
60年安保闘争とは戦いの主役、やり方がぜんぜん違う。
あのときは、学生が耳目衝動的戦術で先駆的に戦い、既成の政党と組合によって国民
会議に囲い込まれている労働者、市民のエネルギーを解放する、という方向性で特徴
づけられる。
当時としてはきわめて新鮮だったが、急進化に先鋭化を重ね、その後の若者の政治的
アパシー、無関心を招いた。
自由と民主主義!
手垢がついて陳腐化した言葉なのにあのデモの中の人たちが叫ぶとなんと新鮮に響く
ことか!
自由、今日の日本のどこに自由があるか? 
いずこも大政翼賛会化した組織ばかりではないか。
民意を代表する反対派のいない自由民主党。任命者総理の意に沿う法制長官。
同じく最高裁判所長官。同じくNHK会長食事会と裏金でジャーナリズムを捨てた評論
とメディア・・・

かつてのわたしは議会制民主主義を民意を裏切る茶番として軽蔑していた。
しかし代議制とはそういうもので、何時の世にもうまく働かない点では右も左もない。
だから既成政党は議会内闘争で民主主義の最善に向かって奮闘したらよい。
カウンターデモクラシーは議会内に呼応して外で別の民主主義を追求してほしい。

来るべき最高裁の違憲裁判に向けて真っ向勝負を準備しよう。
なお長官は総理が任命するから、かつての田中耕太郎長官*と同じく、高度の統治行
為は裁判に「なじまない」から政府が積み重ねた既成事実はすべて合憲、という判決を
下すことが分かっていても、分かっているからこそ、勉強してほしい。

ピンチはチャンス。
わが国では変革は外圧のたびに起こる。
そして外圧が来るとピンチはかならず起きる。
ピンチを体制変革のチャンスにしよう。

明治維新の変革が成功裡におわったのは、体制側、反体制側に、和漢洋の古典に通
じていた教養人が中央にも地方にも民衆の中にも多数いたからである。
国学国史、中国古典(哲学・歴史・文学)と清国内外の事情、蘭学とロシア・西洋列強事
情、宗教書と坐禅。
今必要な教養とは何か真剣に考えてチャンスに備えよう。

明治の変革は近代化を目指したものだった。
富国強兵。それは今も続いている。
これからの世代がめざす変革は何だろうか。
大政翼賛会的日本型全体主義との戦いのなかで、経済戦争もおこなわない平和なくに
を創ることではないだろうか?
ほどほどに働きほどほどに稼ぎほどほどに消費する、みなが人並み幸福な生活ができ
る共同体、ヴィジョンを若者の新鮮な感覚で描けないだろうか。

*1959年砂川判決。安倍内閣が集団的自衛権合憲の根拠として古文書保管所の中
から引っ張り出して来て、またしても牽強付会、無知と無理をさらけ出して、あらためて
脚光を浴びている最高裁判決。
なお田中長官が公判の成り行きをたびたび米国の駐日大使に流していたことが米国の
公文書公開によって一昨年明らかになった。
「砂川事件」が載っている朝日新聞長期連載「新聞と9条」は出版に値する記事である。