黄紙に注意! 鳶ブログ

サッカーに魅せられて全国行脚。
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なでしこリーグ凋落の兆し 女子サッカーの未来に暗雲漂う

2010-12-20 06:31:19 | 女子サッカー
第32回全日本女子サッカー選手権 3回戦 2010年12月19日 14:00K.O
宮城県・宮城スタジアム(568人)晴 風無し 芝良 主審 鮎貝志保

日テレ・ベレーザ 0-0(0-0、2-0、延長0-0、0-0、PK4-5) 常盤木学園高校


PK 日テレ・ベレーザ(大野○伊藤○小林×近賀○須藤○原×) 常盤木学園高校(斉藤○仲田○京川○坂本○小野田×児玉○)


[常盤木学園高校(チャレンジリーグE)]

-------青柳-------
-繁浪--坂本--木下-小野田-
-------斉藤-------
-仲田--道上--児玉--松山-
-------京川-------

SUB:GK林崎、DF永井、MF鈴木、MF二宮、FW権野
監督:阿部由晴

76分 道上→鈴木
110分 青柳→林崎


[日テレ・ベレーザ]

-----大野--木龍-----
---伊藤------岩渕---
------澤--原------
-須藤--豊田--岩清水-近賀-
-------松林-------

SUB:GK曽山、DF中地、MF小林、FW永里、FW山口
監督:野田朱美

62分 岩渕→小林
87分 木龍→中地



せっかくの公式戦という真剣勝負の場をスコアレスドロー狙いだなんて。
常盤木にとってはこの貴重な時間は結果的に勿体無いものに終ったと思う。
同年代と戦う高校サッカーの戦い方としては褒められるのだろうが、宮城県の女子サッカーの方向性を担っている日本女子サッカーリーグのチームとしては如何なものか?
この試合は宮城県のサッカーチームに勝てれば何でも有りという印象を植え込んだような気がする。
実力のある選手が数多く抱えているわけで、奇襲戦法は悪くはないけれど、正攻法で行っても良い試合になったのではないだろうか。
最初から最後まで弱者のサッカーを演じた常盤木学園高校は全くらしくないと感じた。
高校生だからと言ってゴール前だけを固める9バック+GKは残念でならない。
最初から京川を残してドン引きでは、観戦に来場していた佐々木監督も個々を評価するのは難しいだろう。
まあ、それ以上にトーナメントだから勝ちたかったのだろうけど、日本女子サッカーリーグ所属チーム同士の対戦にしてはこの試合に観客目線が余りも感じられない。
女子サッカーを競技として魅せるという面で宮城県の観衆に認めてもらえただろうか?(まあ、やっている場所が場所なんで大半は常盤木関係者だったから勝てば喜ぶだろうけど。)

日テレ・ベレーザは後半からかなりイラついているのが感じられたが、さすがに高校生相手にラフプレーをするわけにもいかず、かなりやりづらかったはずだ。
無邪気で無防備にサッカーボールに向かっていく京川がいづれ松葉杖姿になるのではないかと冷や冷やしていたが、この試合のベレーザはダークあるいはグレーな部分を封印していた。
リーグ戦並みに相手選手を削れば結果は違ったと思う。まあ、その削りをかわす技術がなでしこリーグの選手にはあるが女子の高校生だと無理かな。

日テレ・ベレーザはほとんどの時間をゴール前に放り込んでこぼれ球狙いで行っていたけど、野田JFA理事兼任監督の志向はパスよりもゴール前の個人でのアタックなのかな。
まあ、これほど枠に行かない日テレ・ベレーザも珍しかったので、戦術云々っていることだけではないけれど、試合中にピッチサイド脇で指示を送るシーンが一度も無かったのは高校生相手だったら監督の力なんて必要ないという自信の表れだったのかな。
岩渕が小野田を中心とした常盤木左サイドに押さえ込まれてさらに味方との連動ができなかったので、もっと早くに代えると思ったけど、予想以上に引っ張った。
まあ、岩渕・木龍を下げて小林・中地にしたことで、最後の最後、PK戦に影響が出たのだからサッカーは奥深い。


常盤木はボランチの斉藤と左SBの小野田のデカイ選手が守備を頑張っていた。
仲田も守備に参加せざるをえないので、攻撃面での評価はPK戦でしっかり決めたことくらいかな。戦術的にしょうがない。
後半は常盤木のCBはほとんど崩壊寸前だったのだけど、京川も戻って何とか決壊を間逃れていた。
児玉がその間は前線に残りこぼれ球を拾っていたが、この選手はベレーザ相手でも倒れないな。さらに鬼パスがビュンビュン飛び出した。(残念ながら受け手の味方がいないのでそのまま通り抜けてしまっちゃうのだが。)なでしこリーグであのパスを出したら届く選手が一杯いるので面白い選手になるだろうな。

PK戦になって、5人目の小野田になった時にこれは止められるかなとは思った。この選手、パワーのあるキックをするのだけど、振りが大き過ぎてたぶんなでしこリーグのGKぐらいになると読まれる。FKは魅力的なんだけど。なでしこリーグに行って、さらにU-20日本女子代表を目指して欲しいのだけど大学に行っちゃうのかな?
最後に決めた児玉はおそらくゴールを決めた後のポーズとかどうやって自陣に戻ろうとか、蹴る前にイメージできていたね。
トーナメント戦慣れしている高体連のチームはPK戦絡みになると強いね。




ゼビオスポーツの本拠地である福島の隣、宮城での開催。
日テレ・ベレーザにしてみれば、スポンサーに新生ヴェルディをアピールできるチャンスだったのだろうけど、残念な結果に終った。
なでしこリーグの他のチームが何度やっても勝てないチームに高校生が勝ってしまったのだから、ベレーザだけでなく、なでしこリーグ10チームの敗北でもある。
お互いにスポンサー集めが苦しい最中、国からの多額の税金で施設整備や指導者を確保してもらっている高校や大学に負けてしまうのは、実はお金の面ではしょうがないことなのかもしれない。
けれど、無料試合の段階でマスコミもまだ揃わない地方で負けてしまうと数少ないスポンサーが離れていってしまうのでますますその高校生や大学生の受け皿がなくなってしまう。
おそらく高校や大学よりはプレー環境が劣悪で貧乏であろう各民間クラブ(企業チームの東京電力は除く)はやせ我慢でもここは歯を食いしばって、女子サッカーの未来を維持するために学校系のチームに負けてはならない。


年明けには日本女子代表チームの合宿や海外遠征が予定されているので、日本女子代表の本体チームである日テレ・ベレーザは今年一年の疲れを十分に取って参加できよう。怪我の選手は治療に当たれよう。代表チーム目線的には悪くない結果なのかな。


ということで、この選手も来シーズンまでおわずけだ。日本にいればの話だけど。