今朝のブルックナー8。
ムラヴィンスキー&レニングラード・フィル 旧ソ連メロディア盤。
古い盤ゆえに、バックグラウンドに針音がするのだけど、オーケストラのサウンド自体には味があって堪えられない。
ムラヴィンスキーならでは、透徹した眼差しによるブルックナー。
銀糸を思わせる弦の響きが、聴く者の心を彼岸へと連れ去る。
気高く美しい。
個人的には、テンポ設定や、ちょっとした楽器の浮き上がらせ方など、たいへんに刺激を受けた。
聴衆として、というよりも、10月26日(日)の本番指揮に備える身として、「ああ、そういう光の当て方もあったのか!」という感動である。
今の時期に聴いておいたことは良かった。
間際に知ると自分の表現にブレがでるかもしれないが、今からなら十分に咀嚼して、自分の演奏に自然に溶け込ませることができるだろう。
ムラヴィンスキー&レンイングラード・フィルのブルックナー録音は、ほかに7番と9番のみ。
しかも、ステレオ録音が9番のみというのが惜しまれる。
まずは、未聴の7番のメロディア盤を探さなくては!
さて、ステレオカートリッジに付け替えるのも面倒と言うことで、つづけてムラヴィンスキーのチャイコフスキー「悲愴」の旧録音を聴く。
旧ソ連 メロディア・レーベルの56年プレス。もちろん、モノーラル録音。
赤くてSP盤のように直径の小さいレーベルだ。
想像通り、後年の盤に較べて針音は多い。
しかし、こちらも、オーケストラの音は魅力的で、手放そうとは思えない。
デジタル録音しか知らない世代には、こんな雑音だらけの音のどこが良いのか?
と訝られてしまうかも知れないが、なぜか心が惹き付けられてしまう。
不思議なものである。