福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

ヤルヴィのフィデリオなのだ!

2013-11-29 00:59:12 | コンサート
ヤルヴィのフィデリオ。 僕の席は1階の通路後ろの正面。
序曲が始まったとたん「ありゃ、オケが聴こえない・・・」。
パーヴォ・ヤルヴィの指揮には力が漲っている割に音が来ないなあ、
これは座席のせいで2階席ならよかったのに、と思いました。
(切符を買うときに、すでに2階の良席が埋まっていたためですが・・・)
しかし、休憩後、なぜだか音響が一変し、聞こえなかった低音のラインが見えてくるなど、オケの存在感がグンと増しました。
以後は、まるでドイツ・カンマーフィルがひとつの生き物のように呼吸しているのが伝わってきて大いに驚嘆した次第。客席後方から聞こえてきたラッパも上手かったなあ。

歌手の皆さん、概ね良かったと思いますが、特に良かったのがフロレスタンを歌い演ずるフリッツで、オケの好調と共に、彼の存在によって2幕が生き生きしたものとなったように思います。
反対に、レオノーレ役のマギーは、肝心要の役どころなのに、ひとりだけ楽譜を持っての歌唱。他の歌手に較べ、歌い切れていなかったり、演技が薄くなるのが惜しまれました。

今回は、オリジナルの台詞をカットして語りで繋ぐ、という独自のスタイル。
いかにもドイツ人の好きそうな趣味ですね。これはこれで良かったので文句はないけれど、原作と別のものが入り込んでいる違和感はほんの少しだけあったかな。本当に少しだけ。

東京音楽大学のコーラスはブラヴィッシモ!
声もアンサンブルも抜群で、よく練習されたなあ、と感嘆しました。
昨年、一度だけ、井上道義先生の代役で、彼らの「第九」コーラスを指導しましたが、
そのときも、礼儀正しく、練習態度も真面目で、しかも音楽的反応も素晴らしく、
実に清々しい思いをしたものです。

その感動を思い出させてくれたことにも感謝します。
また、機会があれば、彼らを振りたいものです。
天はその機会を与えてくれるでしょうか?

パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)
ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団
フロレスタン:ブルクハルト・フリッツ(Ten)
レオノーレ:エミリー・マギー(Sop)
ロッコ:ディミトリー・イヴァシュチェンコ(Bass)
マルツェリーネ:ゴルダ・シュルツ(Sop)
ヤッキーノ:ユリアン・プレガルディエン(Ten)
ドン・ピツァロ:トム・フォックス(Bar)
大臣:デトレフ・ロート(Bar)
ヴォルフ・カーラー(語り)
東京音楽大学合唱団(合唱)
Paavo Järvi(Conductor)、Deutsche Kammerphilharmonie Bremen
Burkhard Fritz(Tenor),Emily Magee( Soprano), Dimitry Ivashchenko ( Bass ), Golda Schultz(Soprano), Julian Prégardien(Tenor), Tom Fox(Baritone), Detlef Roth (Baritone), Wolf Kahler(Narration),TOKYO COLLEGE OF MUSIC(Chor)


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