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ゲッティング男の退職日記2

2006-11-30 23:39:51 | 転職日記
今日は辞意を部長に伝えなければならなかった。

昼休みに入る30分前に意を決し、部長のところへ行った。

『部長、少しよろしいですか?』
『ああ』

近くの椅子を部長のデスクまで引っぱっていき、オレは座った。
座って、深呼吸をしてからゆっくり言葉を発した。

『私は、、会社を、辞めます。』

子音と母音と句読点までがわかるように、ゆっくり言葉を発した。

部長はPCを操作していたが、キーボードを打つ手を休め、目を閉じた。
10秒か、20秒の沈黙があった。

部長は口をゆっくり開けた。

『男が決めたことだから、俺が止めるべきことではないな。
お前がハッピーになれる選択なら、それでいいんじゃないかな。』

肝心な会話はそれだけで終わった。

その後、少し会話をしたが、
部長はオレに二つの話をしてれた。

一つめ
魚はきれいな水を好みそうだが、きれいな水では全部死ぬ。
少し濁りのある水のほうが魚たちはバランスよく生存するものだ。

二つめ
仮にお前が船の船頭だとしよう。
舵を少しだけ切った状態で、客には真っ直ぐ進んでると錯覚させろ。
実際はお前の行きたいほうへ船は進んでいるのだ。
モーターボートに客を乗せていきなり舵を取ってしまうとボートは速いスピードで目的地へ向かうが、
客はお前の操縦に不安を隠せない。

オレの心にずっしり響いた。
まだまだ理想を求めるオレに対し、次の会社でがんばるための贈る言葉だ。


オレは昼食後、デスクへ戻った。
灯りを消し、暗く静かな事務所で部長が椅子に座り空を眺め煙草の煙を燻らせていた。

人生は重い。

生きなくてはいけない。
答えを出さなくてはいけない。
笑わなくてはいけない。
泣かなくてはいけない。
怒らなくてはいけない。
波に乗らなくてはいけない。
無にならなくてはいけない。
考えなくてはいけない。
風に乗らなくてはいけない。
愛さなくてはいけない。

人生はなかなか忙しくてしんどい。
重くてときどき倒れそうになる。

そういうときは頭の中で、夏の眩しい海でのプレーニングを思い出してみる。
それとシャワーの後のうまいビールだ。
あの言葉とね!

ゲッティング男の退職日記1

2006-11-30 00:45:06 | 転職日記


内定をいただき入社を決意した会社での役員面接のときの話だ。

役員面接が終わり、控え室に戻ったオイラに人事のオバチャンが
『たぶん内定だいじょぶですよ』
と言ってくれた。
オバチャンは人事開発室長だから、採用に関しては大ベテランだ。
役職付く人事の人が『内定だいじょぶ』なんて無責任なことは言わない。
おそらく役員面接が終わった直後、
オバチャンは取締役との会話ですでにオイラの採用決定を確信したんだろう。

オイラはオバチャンに見送られその会社を後にするときこう言った。
『またお会いできるように祈ってます。』

今日、オイラはその入社する会社に電話し、オバチャンを呼び出してもらった。
入社日の連絡と、給与の話だ。
オバチャンは給与の額に対して、
『だいじょうぶでしょうか?少なくないでしょうか?』と聞いた。
もっとください!と言える訳が無く、素直に了承した。
提示額に、おおよその残業手当と海外出張の手当てを加算して再計算してもらった。
中小企業で働くオイラにとっては夢のような金額だった。
(でも年齢考えると一般的かも)

オバチャンは役職手当のことについて触れた。
オイラはいきなり役職をもらってしまった。
残業代のつく管理職だ。

いきさつはこうだ。
採用はすでに決まっていたけど、管理職にするか否か決着が付かず保留の時間があったようだ。
会社文化に慣れるまでは管理職はきつい。でもすぐ管理職になれる役職を用意してくれたのだ。
オイラがもらった役職は昇級試験を何度も受けなくてはならないポジションのようだ。

何かが間違ってる。
オイラは風が吹いて波がサイズアップすると腹が痛くなる不良社員なのだ。
万年主任でもいいと思ってる出世願望ゼロの男なのだ。
給料を全てウインドに注ぎ込もうと思ってる将来設計ゼロの男なのだ。

『本当にまたお会いできることになりましたね』オバチャンはそう言って、
オイラの入社意思にお礼をしてくれて電話を切った。

オイラはしばらく不思議な気持ちになった。
オイラは正当な評価をしてもらったのだろうか?誇大ではなかったのか??
外で携帯で電話を終えたオイラはデスクに戻り、しばらくの間、不思議世界の住人になった。

デスクでPCの画面を見るふりして宙を眺めていた。
徐々にパワーが出てきた。エネルギーがみなぎってきた。
オバチャンに暗示をかけられた様にオイラは一瞬にして強くなった。
少なからず評価をしてもらったことに対し、人間はこんなにパワーが出てくるものなのか?
自信を与えられると、底力が出てくるのかな?
生命力とは自信と希望のかたまりなのだ、きっと。

思えば、長きに渡りオイラは我慢してきたのだ。
サラリーマンという長いものに巻かれ、自分を殺し、さらに自分を隠す生活をしてきた自分が走馬灯のように走り回っていた。
ウインドサーフィンや波乗りのおかげでストレスが溜まらなかっただけなのだ。

オイラのみなぎるエネルギーは、悦びとともに怒りも引き起こした。

オイラは購買の部長に電話をした。
トラブルの原因であるバーコード部長だ。
そのバーコーダーは責任逃れをいつもする。
オイラはそれを許さないことにしたのだ。
『あんたは自分の責務をわかってねえのか!!』
『誰に向かって言ってるんだ!!自分の言ってることがわかるのか!』
バーコーダーはおそらくハゲの毛穴から湯気を出して目を三角にしてるはずだ。
『今行くから待ってろ!』電話を切ったバーコーダーがオイラのところへ飛んできた。

謝れとか、主任のくせにとか、頭の悪いところを大披露した。
バーコーダーはオイラの部長の悪口を言った。
オイラの部長は面倒見がよく正しい判断をする信頼の置ける人なのだ。
『謝れ??男はなあ、プライドで生きてるんだよ。あんたには無いプライドで生きてるんだよ。
オレのプライドがあんたに屈するなと言ってるんだよ。』

オレはバーコーダーを睨みつけて言った。
バーコーダーはぶつぶつ言いながら部屋を出て行った。
まわりには結構人がいた。耳が聞こえないふりをする奴がほとんどだった。
でも何人かはオイラにピースサインをしてくれた。

オイラはやってみたかったのだ。サラリーマン金太郎を!
オイラは『サラリーマン波太郎』だぜい!

さあ、明日オイラは自慰じゃなく辞意を表明する。
円満退社できるのか???
いきなり問題を作っちゃったぜい!
どうするよ??