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第10回 道志村トレイルレース レポ Thanks On & Montrail 第二関門~フィニッシュ 

2018-05-17 00:34:56 | ランニング

(水田トレイル。with バハダⅢ)

 

第二関門に続く長い砂利道のロード。

茅ヶ崎3人組は横に3人並んで走った。

そこそこのペースで前に行く人を抜きながら雨の中を無言でひた走る。

後ろから一人のランナーが迫ってくる。

オレらの後ろについて、こう話しかけてきた。

「まるで信号っすね!」

 

オレはイエロー、大介はブルー、ミドリちゃんはレッド。

確かに信号ですやん(^o^)

 

そのランナーも今回初めての参加らしく、あまりのきつさにメゲそうだけど、

こうやって話をするだけで救われると言ってくれた。

お互い様ですね~と返したよ。

 

ロードの途中自販機があり彼と一緒に4人でコーラを飲んだ。

「うめー!」と絶叫してたもんだから、

さっき抜いた選手がオレらに手を振りながら笑って通り過ぎた。

ガンバレー!第二関門もう少しだよ!と声援した。沿道応援かい(笑)

 

こうやって知らない者同士励まし合うのだ。

 

第二関門は制限時間の25分前に到着。

 

走りながらつくづく痛感したよ。

みんなが完走目標と言っているのは、タイムアタックっていうことだ。

 

でもね。最後のパート、ラスボスが待っている。

そこでの力を残しとかなくちゃいけない。

小休止のあと、第二関門スタート。歩いて(笑)

 

ここで初めてウィンドブレーカーを着る。

On ウエザージャケット。

グチャグチャに濡れたTシャツに羽織るも通気性が良いので快適。

しかも雨の冷たさを完全にシャットアウトしてくれる。

何も着ていないように軽い。

ラン用に開発されたものは悪コンディションで良さが初めて分かるね。

ウエザージャケット、ネーミングの意味は過酷な現場でしかわからない。

登りの林道が続く。余分な力を使わない。むしろ充電する。

もう燃料計はEMPTYに差し掛かっているから。

 

林道を曲がり終えると突如目の前に壁が現れた。

鳥ノ胸山(とんのむね)急登壁である。

 

 

シューズのことに触れてなかったな。

今回履いたのはモントレイル バハダⅢ

モントレイルからテスト用に支給されたシューズ。

っていうとプロランナーみたいだけど、モニター当選っす。

 

とにかく今回試されるのは泥沼大雨での信頼性、特にグリップ力。

 

鳥ノ胸の最大斜度はいくつあったろうか、、

精神的には御正体山よりきつかった。実際50度くらいあったのかな。

もとスキーヤーが言うので間違いない!

 

とにかく、1歩足を上げることがこんなに大変か、

後ろの足を1歩引き上げるのがいかに困難か。。

あまり急なのでところどころロープがある。

ロープがないところは木に手を添え、枝を掴み、岩を掴み、泥に手を突っ込む。

とても重みのある1歩。その1歩の積み重ねはきっとフィニッシュに近づいているはず。

 

嘔吐してる選手がいる。すすり泣きをしている選手がいる。

きっとオレらは錘のついた鎖を足首に巻かれて強制労働を強いられても耐えられるんだろう。

そんなこと思ってたら、急に笑いがこみ上げてきた。可笑しくてたまらなくなった。

 

ハイになったわけじゃないよ。

幸福だと感じたんだ。このコースを登れていること。同じ辛さで後ろからくる友人のこと。

そしてこの素晴らしいトレイルランに出会えたこと。

瞬間にいろんな思いがバームクーヘンのように重なった。

ビーチに寝転んでビールを飲んでいるような安らかな気持ちなった。

マウイ島で大きな波でウインドサーフィンした日と比べて遜色のない素晴らしい瞬間。

この瞬間を生きている、と実感したんだな。

しかし、現実は足は乳酸がオーバーフローして、心拍が上がり眼の前が霞んでいる。

心の持ちようなのだ。力は振り絞ることができる。溜めるためにあるのではない。発揮するためだ。

 

力を振り絞れる者だけがこの山のピークに立てる。

そしてオレらはピークに達した。

 

さあ、これからダウンヒルだ。

気持ちを入れ替えて走りだす。

雨は一向に弱くはならない。むしろ強くなっているのか?

ダウンヒルのコースはまるで泥の滑り台。泥の下には鉄板があるのか?というくらい滑った。

後ろからはミドリちゃんの悲鳴みたいな絶叫が断続的に聞こえる。

ヤマビコで絶叫が返ってくる。スリリングに輪をかけてる(笑)

 

足が思うように動かない。

でも爪先は絶対下に向ける。落下して滑るギリギリのところで次の足を前に出す。

一旦滑り始めると身体が回って山側を向いてしまう。そのくらいスピンする。

それでもだ、バハダⅢは泥に抵抗してくれた。

行きたい方向に足を向けてくれた。

泥水をたっぷり吸い込んでも重くはなかった。

こういうコンディションではソールの硬さとか、オフセットとか、クッションとか微塵も関係しない。

ホールド性だ。これに尽きる。他のところはテクニックでカバーできるけど、ホールド性だけはカバーできない。

ホールド性=信頼性だ。 このコンディションで頼るのはシューズだけだからね。

バハダは満点だったよ。

 

燃料計は空を指した。

でもリザーブタンクには1L入ってる。

残すは下りのロード7キロ。

オレの燃費はリッター7キロ。ギリギリだな。。。

 

下りのパートに入ると、すぐ後ろにミドリちゃんがついてきた。

いやいやスゲー走力だよ。まだまだフォームに余裕がある。

 

延々続く下りで、爪先に負担がかかり小指除いて全部痛い・ω・

下り始めて1キロ。ここ多分限界。脚がもつれてスーパーマン飛行になった。

一瞬だった。砂利の路面が目の前に迫ってきた。

咄嗟に右手が前に出る。手のひらが砂利道に引きずられる。

無意識に身体を左に捻って背中のザックをクッションにした。

すぐには立ち上がれなかった。

腰を強打し、右腕を伸ばしたままスライドしたので肘から手までも強く打った。

ウエザージャケットはボロ雑巾のように破れたと覚悟した。

ただ泥と細かい小石が付着していて破損状態は確認できなかった。

手のひらは擦過して細かい砂が傷口に入り込んでいる。

砂を出さなくてはと思い口で何度も吸った。

これを走りながらやった。止まっているわけにはいかないのだ。

ミドリちゃんは心配してくれたけど、オレが立ち上がったのを見届けて先に行った。

転んだことでモチベーションが下がったけど、気持ちをもとに戻すことが先決。

フォームが崩れないように走り続け、少しづつペースを取り戻してきた。

たぶんアレドナリンを再分泌できた。転んだ痛みは感じない。

フィニッシュまで5キロくらい。

前に選手を見つけたら抜く。もう最後だ。攻めよう。そう決心した。

 

前行くミドリちゃんをなんとか抜いた。

鳥ノ胸のドロ下りで颯爽とオレを抜いた若者を抜き返した。

とぼとぼ諦めて歩いている選手を抜く。

全身全霊で走っている選手を抜く。

あと3キロの表示。

アスファルトに変わった。下界に帰ってきたのだ。

 

自分に負けるな。自分に負けるな。がんばれオレ!

 

今行きたいのはどこだ?

南の島のリゾートか? ヨーロッパアルプスのリゾートか?

今一番行きたいのは、道志中学校だよ。

黄色い、ダサい(笑)フィニッシュゲートだよ。

大雨の中、ランナーを迎えてくれる中学生たちがいる。そこへ帰るのだ。

 

あと2キロ。

さきにフィニッシュして駐車場へ戻る選手たちが、声援を送ってくれる。

ボロボロになった選手たちが脚を引きずりながら、

「がんばれ!」「もう少しだ!」「ナイスラン!」とガッツポーズで応援してくれる。

 

フィニッシュはまだまだ見えないけど、このレースを走れて本当に良かったと思ったよ。

どこでも助けられる。一人だけど独りではない。

 

 

コース誘導係のおじさんたちが見え始める。

中学校がやっと見えてきた。

最後の最後のいやらしい登りを誘導された。

その後下って水田と化した校庭に入る。

水田ストレート。水しぶきを上げてラストラン。 フィニッシュ。

45.08キロ。累積標高3285m。9時間17分。実質走行時間8時間10分(渋滞除く) 【ガーミンGPS情報】

 

 

フィニッシュ後、水田と化した校庭に佇むテントでクレソンウドンを頂いた。

ボランティアのおばちゃんたちがこの大雨の中作ってくれたウドンだ。

ウドンを受け取り、休憩テントに移動する。

土砂降りでツユが薄くなるほど。

口に入れる。思わず胸が熱くなる。安堵&うどん。あんどあんどうどん(笑)

 

 

フィニッシュテープの先にあるものは今までよくわからなかった。

でも、一つ確かに言えるのは、そこでは大切なものが見つかるよ。

 

あとね、こういうこともはっきりした。

悲しいこととか辛いこと、不幸なことは無くすことはとても難しい。

それらは望んでいないのに勝手にやってくる。

でも、喜びや達成感はこちらが望めば必ず手にすることができる。努力いるけどね。

幸せは、不幸を減らすことではなく、幸せを増やすことなんだね。

単純なことかも知れないけど、そういうことが分かった。

この鉄人レースで。

 

大雨の中、運営を支えてくれたスタッフの皆さん、ありがとうございました。

シューズを提供してくれた株式会社コロンビアスポーツウエアジャパンの関係者の方々、

そして、あの大転倒でまったく破れることなく、最後まで快適だったウエザージャケットを

提供してくれたOnジャパンの駒田さん、皆さん (提供じゃなく買ったんだけど(笑))

ありがとうございました。

 

道志村トレールレース あまりにもエゲツないレースでした。

完走した選手、皆さん勝者です。

 

また来年。

Relive '道志村トレイルレース軌跡動画'

 

 

The End。 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2018-05-19 17:54:44
幸せは、不幸を減らすことじゃなく、
幸せを、増やすこと。
名言。
返信する
Unknown (aio)
2018-05-22 16:44:43
名言ですか。。ありがとうございます!
座右の銘にします。
返信する
ひとりのランナーです (くりっち)
2018-05-25 01:48:15
道志お疲れ様でした。

まるで信号ですね。と言ったひとりのランナーです。

キツすぎていつやめようかと思っていたので、気が紛れて前に進む事が出来ました。コーラも美味しかったですねー^ ^ありがとうございました!
返信する
Unknown (aio)
2018-05-25 08:52:56
くりっちさん!お疲れ様でした!
& ご連絡ありがとうございます!
すごい!よくたどり着きましたね~(^o^)

FBご連絡ください!!
https://www.facebook.com/aiowaver

またご一緒しましょう!!!(^^)
本日5/25白馬エントリー始まりますよ!
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