原発でいったん過酷事故が起きれば、
広範囲の住民が中長期的に大きな影響を受ける。
それは東京電力福島第1原発事故から明らかである。
県と九電は、住民の安全を最優先に対策を強化するべきだ
安全対策に終わりはない。
「事故は起きる」という福島事故の教訓を踏まえ、
住民本位の安全論議を地道に続けることが肝心だ
原子力規制委員会が「安全」と判断して稼働中の原発を止める異例の事態となる。
そんな前例ができれば、
原発の再稼働を進める他の電力会社や国の原子力政策に影響を及ぼしかねない。
経営的な観点から、
川内2基で月100億円とされる原発の収支改善効果を損なうとの事情
国民はどっちを選択するか!
無関係ではいられない!
ゲンパツは事故が起れば賠償・除染・廃炉などカネがかかる!地震火山大国ニッポンにゲンパツは要らない! 2016-09-06 | ゲンパツ
川内停止再要請/定検前倒しは不可能か
南日本新聞/2016/9/8 8:05
http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201609&storyid=78596
鹿児島県の三反園訓知事はきのう福岡市の九州電力本店を訪ね、瓜生道明社長に稼働中の川内原発1、2号機(薩摩川内市)の即時一時停止を再要請した。
九電は安全性が確認されているとして、引き続き即時停止には応じない方針だ。九電が知事の2度の申し入れを拒めば、両者の攻防が長期化することは避けられまい。
定期検査の前倒しはできないのか。知事の停止要請は、熊本地震後に高まった原発に対する住民の不安を代弁するものだ。県民を守る責任者として理解できる。知事は8月26日、原発を直ちに停止し、安全性を点検・検証するよう求めた。
これに対し、九電は今月5日、10月からの1号機の定期検査の際に水中カメラで原子炉に異常がないかなど調べる「特別点検」を実施する対策を示したが、即時停止は拒否した。
その際、知事は「極めて遺憾」と反発し、再要請する考えを示していた。知事が九電の回答から2日後の早い時期に再要請に動いたのは、そのまますんなり認めれば、「出来レース」と受け取られかねないという思いもあったろう。一方、知事は「要請で安全対策が強化されたという認識は持っている」とも述べている。特別点検などを九電から引き出したことに手応えを感じているようだ。再要請では、中山間地の住民の避難道路の整備支援など安全対策の強化も求めた。
14日には県議会の9月定例会が始まる。再稼働に同意した県議会から原発に対する姿勢を問われることは必至である。「脱原発」へ向けた今後の政策を進めるうえでも、「実行力のある強い知事」として臨みたいという思いもあるはずだ。
今後は、定期検査で止まる1号機の再稼働に対する県の姿勢が注目される。
法的には運転再開に知事の同意は必要なくても、知事が反対している中で再稼働に踏み切ることは現実的に厳しい。というのも、安全協定を結んでいる県と九電の関係が崩れてしまい、今後の協議がままならない事態に陥るからだ。九電としては、そうした事態は避けたいところだろう。
原発でいったん過酷事故が起きれば、広範囲の住民が中長期的に大きな影響を受ける。それは東京電力福島第1原発事故から明らかである。県と九電は、住民の安全を最優先に対策を強化するべきだ。(引用ここまで)
「川内」停止拒否/安全策強化につなげることが重要だ
南日本新聞/2016/9/6 8:05
http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201609&storyid=78552
九州電力の瓜生道明社長は、鹿児島県庁で三反園訓知事と面会し、要請を受けた川内原発(薩摩川内市)の即時停止に応じないとする回答書を手渡した。
九電は一時停止せず、10月以降に予定する定期検査に合わせ原子炉容器など設備の安全性などを確認する。知事の要請を反映した「特別点検」だとしている。
知事は先月末、熊本地震後に原発への県民の不安が高まっているとして直ちに一時停止し、安全性を点検・検証するよう九電に求めていた。「この回答は極めて遺憾だ」と納得しなかったのは理解できる。
県は九電の回答内容を徹底的に精査すべきだ。不十分だと判断すれば、再度の停止要請も考えられる。
停止には応じられないという九電の姿勢は、予想されていた。
知事の要請を受け入れた場合、原子力規制委員会が「安全」と判断して稼働中の原発を止める異例の事態となる。そんな前例ができれば、原発の再稼働を進める他の電力会社や国の原子力政策に影響を及ぼしかねない。
経営的な観点から、川内2基で月100億円とされる原発の収支改善効果を損なうとの事情もあったとみられる。
知事が受け入れなかったことで、県と九電の間は厳しい局面が続こう。何より安全強化につながる緊張関係でなければならない。
県は課題を洗い出せ
知事には稼働中の原発を止める法的権限はない。それでも知事選の公約に一時停止と再点検を掲げ、川内の再稼働を容認した前知事を破って当選した経緯がある。九電は、民意を背景にした知事の要請と正面から向き合っているかが問われよう。
川内原発1号機は10月から、2号機は12月から定期検査に入る。それぞれ約2カ月にわたって運転が停止する予定だ。
瓜生社長は今回の知事との面会で「県民の不安を軽減するため新たな対策を実施する」と述べた。
九電は「特別点検」で、約40人の点検チームを設置する。原発周辺の活断層調査は行わないが、地震観測点を30カ所程度に増やす。要支援者避難用の福祉車両10数台も追加配備する-などとした。
一時停止以外の要請には前向きに応じる姿勢だ。九電が探る「落としどころ」だろう。
知事は「九電は、県民の不安の声に真摯(しんし)に向き合い、その思いに応える責務がある」とも述べている。九電はこうした責務の重さこそ、肝に銘じるべきである。
今後の焦点は、九電からボールを投げ返された知事側の対応だ。
福島の原発事故後、再稼働して定検に入り、再び運転再開するのは全国初のケースになる。地元の意思に反しての運転再開は現実的に難しいだろう。知事の判断が注目される。
川内原発を取り巻く課題は山積している。
九電は避難態勢充実への支援や適切な情報発信を求められており、改善を約束した。だが、九電の対応を待つだけでは問題は解決しそうにない。県は自ら課題を洗い出してほしい。中でも避難計画の見直しは急務である。国の原子力災害対策指針では5~30キロ圏内の住民は原則屋内に退避し、放射線量が上がれば避難する「段階避難」が前提だ。だが、原発事故と地震が連動する複合災害時に、屋内退避は可能なのか疑念は尽きない。建物の倒壊が相次いだ熊本地震クラスの揺れを想定すれば、段階避難が機能しないのは明らかだ。知事は8月末の川内原発周辺の視察で、避難道路の不備などを訴える現場の不安を聞き取り、前知事時代に作られた避難計画を見直す考えを示している。避難計画は30キロ圏の自治体に国が策定を義務づけており、県内は9市町が対象だ。実効性のある計画作りにどう取り組むか、知事はリーダーシップを発揮してもらいたい。
県民の視点で議論を
原発が立地する12道県のうち、10道県には原発の安全性や防災面を独自にチェックするための組織や制度がある。こうした議論の場がないのは、九電の原発がある鹿児島と佐賀だけだ。
川内原発の課題を検討するための委員会の設置は、知事の公約でもある。開かれた議論の場として人選を急ぎ、できるだけ早く発足してほしい。県民の視点で考える専門家をそろえたい。
折しもフランスの原発で強度不足の疑いが指摘されたメーカーが、川内原発を含む国内8原発13基の原子炉圧力容器を製造していたことが分かった。日本のメーカーは、問題は確認されていないというが、規制委への報告だけではなく地元への速やかな情報公開を求めたい。
国の新規制基準施行後、知事が稼働中の原発停止を要請したのは全国で初めてだ。
国の原子力政策に理解を示してきた前知事の時代とは違い、避難のあり方などさまざまな問題があらためてクローズアップされた。
安全対策に終わりはない。「事故は起きる」という福島事故の教訓を踏まえ、住民本位の安全論議を地道に続けることが肝心だ。(引用ここまで)
「川内」停止要請/民意受けた知事の判断は極めて重い
南日本新聞/2016/8/27 8:05
http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201608&storyid=78277
知事の直接の申し入れは極めて重い。鹿児島県の三反園訓知事が稼働中の川内原発1、2号機(薩摩川内市)の一時停止と再点検を、九州電力の瓜生道明社長に求めた。一時停止と再点検は4月の熊本地震を受け、知事選の公約に掲げていたものだ。就任から約1カ月。知事は「県民の不安を解消するのがトップの役割」と語ってきた。知事に稼働中の原発を止める法的権限はないが、公約の実現へ向けた具体的な動きとして前向きに受け止めたい。
九電は、来月初めにも知事に回答する見通しだ。要請に応じるのか。自社の経営問題だけでなく、国内の他の原発にも影響が予想され、全国で注目されている。対応の仕方によっては、県との関係がぎくしゃくすることも考えられ、難しい判断を迫られよう。九電は真摯(しんし)に対応すべきだ。
知事にも注文したい。
日本の原発事業は「国策民営」で進められてきた。そこに東京電力福島第1原発事故が起き、「安全神話」は吹き飛んだ。
知事は「原発に頼らない社会を目指す」としているが、理想を語るだけでは前進しない。具体的な工程表を示すべきだ。公約にうたった避難計画の見直しや、原発の諸課題を検討する委員会設置も急いでほしい。
問われる九電の対応
知事と瓜生社長が会うのは初めてで、要請は県庁で行われた。知事は「原発を直ちに一時停止し、施設の安全性を点検・検証するよう求める」とした要請書を手渡した。
これに対し、瓜生社長は「しっかり検討したい」と応じ、即答は避けた。今後、社内で論議し対応を決める見込みだ。
要請書で原発周辺の活断層の調査も求めたのは、活断層が動いた熊本地震を踏まえたものだろう。
川内原発は、福島原発事故後にできた新規制基準の下、全国で初めて1号機が昨年8月、2号機は10月に再稼働した。1号機は再稼働からまる1年になる。
知事が要請した背景には2つの要因があろう。
まず熊本地震だ。4月14、16日に発生した2度の震度7の揺れは熊本県を中心に甚大な被害をもたらした。川内原発は自動停止するほどの揺れはなく安全も確認できたとして、運転を続けてきた。この対応に理解を示す住民がいる一方で、原発に不安を抱く住民に動揺が広がったのは間違いない。
もう一つが知事選で交わした政策合意だ。選挙には反原発グループも出馬を予定していたが、現職に対抗するために三反園氏への一本化でまとまり、公約に川内原発の停止などを盛り込んだ。
しかし、九電は停止要請を容易に受け入れられまい。停止すれば経営が厳しくなるからだ。さらに、原子力規制委員会が安全に問題はない、とした川内原発を電力会社独自の判断で停止すれば前例ができてしまい、他の原発に波及する恐れもある。ただ、停止要請とは関係なく、川内原発1号機は10月6日、2号機は12月16日に定期検査に入り、運転がそれぞれ2カ月以上にわたって一時的に止まる予定だ。九電としては要請に応じられなくても、定期検査の前倒しで知事の理解を求めることも考えられる。その場合、知事が受け入れるかどうかが焦点になる。
避難計画をどう見直す
川内原発で重大事故が起きた際の避難計画への懸念は根強い。5キロ圏の住民が先に避難し、5~30キロ圏の住民は、屋内退避を原則に空間放射線量に応じて避難することになっている。だが、段階的に避難できるのか。一斉避難の混乱を防ぐための情報をどう住民に伝えるのか。さまざまな懸念や疑問がある。在宅の高齢者や入院患者、施設入所者らの移動手段も十分確保されていないのが現状だ。
知事は先日、川内原発周辺の道路や医療・福祉施設など34カ所を視察した。現場に知事自ら足を運んで、住民の不安の声や要望を聞くことは重要である。
熊本地震は、いざという時の事故対応の難しさを想像させた。
川内原発周辺の道路は山や海、川が迫り、大型車の離合もままならない箇所も少なくない。熊本のように橋の崩落や土砂崩れで道路が寸断されれば、逃げられなくなる恐れがある。現在の避難計画は、県と30キロ圏の9市町が策定し、政府の原子力防災会議で了承されたものだ。
知事は視察後、「早急に対応が必要なことが分かった」と述べている。現状では不十分ということだろう。今後、関係自治体との協議が必要だ。特に薩摩川内市との密接な話し合いは欠かせない。
解せないのは、知事が岩切秀雄市長といまだに会談していないことである。再稼働に同意した岩切市長は一時停止は現実的に難しいという立場だ。たとえ考えは違っても、市長に会うのが筋ではないか。県、薩摩川内市、九電は安全協定を結んでいる。今後の原発対応で連携が不可欠であることを忘れないでもらいたい。(引用ここまで)