岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

「第28回東北自然保護の集い」の報告(3)

2007-11-25 06:15:13 | Weblog
(今日の写真は「第28回東北自然保護の集い」2日目第1分科会の様子である。)

 第二日目は、3つの分科会(「野生動植物との共生を考える」「環境と教育」「公共事業を考える」)のうち、第1分科会でも、これも時間不足で90分の時間は岩手の5人のレポートで終わってしまい、各県からの報告もできなかった。
岩手からは、課題を緊急度に応じて4ランクにわけて報告された。Aランクから課題を列記すると、① 六ヵ所村からの放射能排出 ② 雫石町での貴重種生育地開発 ③ 緑資源機構による大規模林道開発 ④ 梁川ダム建設⑤津付ダム建設⑥野生動物との軋蝶 ⑦ 早池峰のトイレ問題 ⑧ 岩手県版レッドデータブックの改正 ⑨ イヌワシの繁殖率の低下 ⑩子供たちの理科離れ ⑪ 里山・里地の適切な利用と再生 ⑫ 限界集落 ⑬ 財政逼迫による環境関連予算の削減。などである。

 なお、本会からは阿部会長が「環境と教育」分科会に、三浦事務局長が「公共事業を考える」分科会に、他の8名は「野生動植物との共生を考える」分科会に参加した。
「公共事業を考える」分科会では「岩木山の赤倉沢堰堤敷設に関する問題点」として「堰堤の実効性と無駄、敷設工事の自然破壊、堰堤工事後の自然破壊」を説明した。
 この「赤倉沢堰堤」については「敷設・建設の目的」「実効性」「工事計画」「工事計画と完成した実物」「工事にともなう自然破壊」「工事後の自然の変異」等の整合性や矛盾について、林野庁に「開示請求」をして、私たちが調査した結果と照合しながら、経費を含めた問題点を再確認した上で、矛盾や無駄、破壊が計画段階から予期されていた、あるいは未必の故意的なことがあれば「訴訟」に持ち込む必要があるだろう。
 「自然保護」運動の選択肢の中に、今後は「訴訟」ということを据えていくことが求められている。

 第2日目の最後に、「東北自然保護の集い」もあと2年で30周年をむかえる、いろいろ問題はあるが、どうすべきかの問題提起があった。あまり発言がなかったのは意味深長である。
 自然保護や環境保護をめぐる問題は、今後ますます深刻化していくと予想される。取り組むべき問題をザッとあげても、原発、森林保護、植林、環境教育、生態系保護、遺伝子工学、地球温暖化、野生動物保護などなど枚挙にいとまがない。もちろんこれらの問題はすべて絡み合っているから、その問題への取り組みは自分たちの問題の解決にもプラスに作用していく。上にあげた問題への取り組みをする組織は、問題ごとに全国的に結成されており、活発に活動している。その組織に加わって活動するのがベストである。
最後に、「東北自然保護の集い」名で、青森県と岩手県、それに北海道を含む東北各県の知事あてに、「六ヵ所村」からの放射能排出に除去装置を付加する誓願要請をすることを採択した。

(お断り:以上の報告は「秋田県自然保護団体連合」代表理事奥村清明さんがまとめ、連絡報に掲載したものをベースにして、三浦が一部削除・加筆したものです。奥村さん有り難うございました。)


■先日、上述した「第28回東北自然保護の集い」事務局から「大会」で決定した各県知事にあてた要望書が送られてきた。27日付で各県知事に送られる。それを次に掲げる。■

  2007年11月27日
青森県知事 三村申吾
岩手県知事 達曽拓也
宮城県知事 村井嘉浩
秋田県知事 寺田典城
山形県知事 斎藤 弘
福島県知事 佐藤雄平
北海道知事  高橋はるみ

           第28回東北自然保護の集い岩手大会
                           会長  永田 京子
                要 望 書

日頃より、市民の健康な生活と、その環境作りにご尽力されている貴殿に敬意を表します。
 さて、さる11月10、11日の2日間、岩手県花巻市において東北6県の25団体の代表ほか延べ1 3 3名が集まり、「第28回東北自然保護の集い岩手大会」が開催されした。この集いの中で、六ケ所村の核燃料再処理工場からの放射能排出について検討したところ、*海洋生態系は未知の分野が多く、見切り発車ではなく、慎重な行動が必要。*生命は海から生まれ出でた、その母体をいたずらに汚すべきではない。*東北地方に暮らしながら自然環境を守って来た、ここで放射能によって海と大地を壊されたくない。などの意見が出されました。
 これらを受けて、以下の2項目について要望を行うことになりました。
 お忙しいところ恐縮ですが、熟慮の上、文書にてのご返答を12月20日までにお願いいたします。

○要望

1、 青森県六ケ所村の核燃料再処理工場から、海や空に放出する放射性物質は、原子力発電所なみに抑えるよう関係機関に求めること。
2、 青森県六ケ所村の核燃再処理工場からの放射性物質は、放射能除去装置で放射能を取り除いたのちに放出するよう関係機関に求めること。
                                以上。

 賛同団体/岩木山を考える会、秋田県自然保護連合、白神NGO、カタクリの会、早池峰の自然を考える会、早池峰クマタカ研究会、和賀川水系の自然を考える会、花巻のブナ原生林に守られる市民の会、早池峰にゴミは似合わない実行委員会、いわて野生動物保護ネットワーク、遠野エコネット、船形山のブナを守る会、仙台のブナと水・自然を考える会、神室山系の自然を守る会、鳥海山の自然を守る会、出羽三山の自然を守る会、高山の自然を守る会、博士山のブナ林を守る会、三陸の海を放射能から守る会
                        (この稿は明日に続く。)