岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

「弘前公園有料化」という囲いを作る前に様々な視点で議論するべきだ(その2)

2007-11-18 06:14:29 | Weblog
(今日の写真は弘前公園の杉の大橋を渡り、南内門をくぐり、左に曲がって西壕の方に降りて行く途中の右側、つまり城址の南端下部にある流水わきに咲いていたアブラナ科タネツケバナ属の二年草である「オオバタネツケバナ(大葉種漬け花)」である。北海道から九州の山地の渓流沿いなどに生え、高さは20~40cmだ。
 数年前の7月である。岩木山の沢沿いを少し登ったり、下ったりしていた。
 その年は積雪が多く、沢の水は澄んでいたが融雪水を加えてかなり多い上に冷たくもあった。その冷たい水しぶきをシャワーのように浴びながら全身を濡らしている白い小花が目についた。それが「オオバタネツケバナ」であった。「オオバタネツケバナ」は山地の渓流沿いなどに生える植物なのである。ここにも、弘前公園が自然的に見て、「里山」であることの証拠があるのだ。
 稲の種籾(たねもみ)を水に漬けるころに、白花を一面につけることから、タネツケバナの名がついたのである。
 また、果実が熟すと種子を覆っていた皮が反転して、勢いよく種子を四方に飛ばすことから、繁殖力の強さを馬に見立てて、「種付け馬」が転訛して、タネツケバナになったとも言われている。別名はテイレギ(葶藶)、コメナズナ、タガラシなどがある。
 タネツケバナの仲間ははるか昔に稲作の伝播に伴って日本に入って来たと言われている。史前帰化植物かと思えば何となく愛おしい。昔から野菜として利用してきたのだから一層愛おしい。 
 また、日本人にはよく親しまれた植物で俳句にも多く詠まれている。

・種漬花の花の首まで雨後の水      (内山 宏)
・ていれぎの下葉浅黄に秋の風      (正岡子規)

 子規の句は『ていれぎの下葉も浅黄色になってきた。ああ、すっかり季節は秋になってきているのだなあ。風も何となく冷たいよ。』とでも解釈されようか。
「テイレギ」は全体に辛子油を含み辛味があって浸し物や刺身の「つま」に用いてもいいそうだ。愛媛県の松山市附近ではこれを「葶藶(ていれぎ)」と呼び、近くの高井産のものは「高井の葶藶」と呼ばれ、その地の名物となっているという。子規にはなつかしい故郷の味なのだ。)

        ☆ 1. 弘前公園は歴史的遺産である ☆

(2)風水説から読み解くと「弘前公園天守閣や本丸」は町並みから区切られ「隔絶」された場所ではないという視点

 弘前公園は歴史的・文化遺産であると同時に、自然的遺産でもある。有料化の議論には、この視点が必要である。だが、どうも、「都市公園」的な視点が中心にあり過ぎて、しかも「観光開発」と「集客」という方向に傾斜し過ぎているように思える。

 まず、歴史的・文化的遺産という面で、「風水」(山川・水流などの様子を考え合せて、都城・住宅・墳墓の位置などを定める術。特に、中国や李朝朝鮮では墓地の選定などに重視され、現在も普及。風水説。岩波・広辞苑から)に関して見てみよう。

 天守閣が立つ弘前公園は、風水をうつしとっている。風水では東北の方向が鬼門なので、天守閣周辺の堀は西、南、北の方角で「角」になっている。それに対して、東の方角だけは「角」がなく五角形のような「角」があまり目立たない構造になっている。
 これを「鬼門くずし」と言うそうだ。更にその東北には鬼門くずしの神社が祭られている。「有料化の是非」と「有料化による隔絶化」を考える時、次のことが非常に重要になってくるだろう。
 「鬼門くずし」のさらに、東北には「茶畑町」(現在は野田地区「コープあおもり」周辺)がある。事実、この場所では茶が栽培されていたのである。
 その昔、「茶」(ちゃ)が転訛して「邪」(じゃ)と読まれていた。そして、「茶を摘む」は「邪を摘む」に転じ、「邪悪なものを摘み取ってしまう」という意味を持っていたのである。
 この「風水説」からも「弘前公園天守閣や本丸」は町並みから区切られ「隔絶」された場所ではないことは明らかである。

 弘前市の旧市街は「弘前公園天守閣や本丸」を含んだ「同一区画」と捉えられるものだ。ここに立脚して考えると、精神的にも物理的都市構成性からも「有料化」という「鬼門」で区切られるものではない。
 有料化を撤廃して、自由に出入りが出来るようにしておかないと「邪を摘み取る」ことが出来なくなって、「弘前公園天守閣や本丸」に災いが起きるかも知れない。
 有料化していなかった時に戻して、以前同様を維持して開放すべきである。

             ●●●お 知 ら せ●●●

☆「公園有料化」に関する情報の報告と今後の在り方などを考えるための集会を今日開催します ☆
      多くの方々に、参加してもらいたいと思っています。

   ■日 時: 11月18日(日)午後1時30分~■

   ■会 場: 津軽保健生協本部会議室(弘前市野田:コープあおもり2階)■

    これをお読みの方はよろしくお願いします。会員、一般を問いません。