岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

「弘前公園有料化」様々な視点で議論するべきだ・12月議会で承認することは拙速に過ぎる(その6)

2007-11-22 06:07:47 | Weblog
(今日の写真は今年5月末に公園内で咲いていたシソ科オドリコソウ属の多年草「オドリコソウ(踊り子草)」だ。これは、沖縄を除く日本各地の山野の半日陰に群生する。花期は5月~6月。高さは50~60cmだ。
 白または淡紅紫色の花をつける。東日本には白花が多く、西日本ではピンクの花が多いといわれている。茎の断面はシソ科の植物の特徴である四角形である。
名前の由来は「花の形が笠をかぶった踊り子の姿を思わせること」からである。津軽地方では、この花の蜜を子供たちが吸うことから「チチバナ」と呼ぶこともある。若葉はおひたしにして食べることができる。
 別名としては「踊花(おどりばな)」「虚無僧花(こむそうばな)」などがある。その姿形からの連想だろうが、命名はその国の、その国民の民族性や文化を色よく反映しているものだろう。
 「虚無僧」というものは仏教を支持している他の国にも存在するのだろうか。ないと思う。「ものまね」と西欧から蔑視されながらも、多様で多質な文化を柔軟に絡ませながら古来から日本民族は生きてきた。「虚無僧」はまさに「ものまね・模倣」を越えた日本民族が独自に創り出した「文化」である。
 「オドリコソウ」を「虚無僧花」と呼んだ私たち日本民族の祖先・先人の独創的な豊かさ、それから生み出されてきた多様性に満ちた独自の文化、それを継承してきた歴史に私たちは誇りを持とうではないか。「弘前公園」にも多様な価値があるのである。
 ところが、最近は政治と経済がらみで、一方向の文化と一つの価値だけが求められ、多様性と個性は軽んじられている。
 このような柔軟性のない国民や民族の文化や言語は固定して貧しいものになってしまうだろう。 文化が「一つ」の価値に集約・収斂されていくことは豊かな表現を認めなくなることである。
 これと同じように「弘前公園」が持つ自然遺産を含めた豊かな要素や価値を「城址・都市公園」というものにだけ固定しては、「弘前公園」が持つ「豊かさ」は開花しない。

 このように日本人に親しまれてきた「オドリコソウ」を主題にした俳句と短歌を紹介しよう。

・梢からはやす蛙やをどり花 (小林一茶)
『踊子草の茎頂に蛙がいる。まるでそれは下で踊っている踊子たちをはやし立てているかのようだ。』蛙を擬人化しているところがユーモア的で一茶のいいところか。
・袖振って蝶もならふや踊草 (民 古)
『踊子草にやって来る蝶たちもその花に倣って袖を振り踊るようなしぐさをを見せるのである。どちらも美しい。』作者の双方に対する愛情表現が何とも微笑ましい。
・薫風の喝采に舞うオドリコソウ (三浦 奨)
『初夏の明るく優しい風が奏でる喝采を受けながら狂おしく踊っているのは踊子草たちであるよ。』
   
・秋に起き長き雪下のオドリコソウ満を持してや今輪舞する  (三浦 奨)

『 花を咲かせ実をつけたあと休眠状態に入るのがオドリコソウだ。そして秋には目覚めるのだが、春までの長い間、冷たい雪の下でじっとしている。しかし、それは咲くために栄養と力を蓄えているのである。今は初夏である。満を持して歓喜あふれるように輪舞しているではないか。元気な踊り子たちが…。』とでも解釈できそうだ。
 この短歌は「オドリコソウは秋に休眠から目ざめ冬にはフレッシュな葉を展開している」ことを承けてのものである。)


■「弘前公園有料化」継続を議会で承認する前にするべきことがたくさんある■白紙に戻し、多くの視点で議論をすべきだ・12月議会で承認することは拙速に過ぎる■

            ● その他の視点について -2- ●

5)本年4月、弘前市公園緑地課が実施した「弘前公園有料見直しアンケート」の見直しをするという視点。

 「有料化反対」というアンケート項目を記載せず、しかも回収アンケート数が147であれば、この実効性はきわめて薄い。
 アンケート調査は市内の公共施設内に5カ所のアイディアポスト、9カ所のアンケート箱を設け、弘前市民であるなしを問わずに市民から投函してもらうという方法で行われたが、対象者の偏りがあると同時に、同じ人が何回も投票すること自体チェックができないものであった。
 実際4出張所では回答がゼロであり、性別、年代別、職業別の割合を見ても偏ったものであった。とりわけ、1月4日から2月28日までという長期間にわたったものであったにもかかわらず、有効回答が147しかなかった(アイディアポスト49、アンケート箱57、Eメール41)。これでは真剣に意見を集めて分析しようとしたものとは思われない。

6)「弘前公園有料化」が、わずか2回の「有識者」のみの審議会で決定され「市民の合意を得た」上での実施ではなかったことであるから審議会の決定の見直しをするという視点。

 実効性の薄い資料からの審議・決定は絵空事に等しい。「弘前公園有料化」が、わずか2回の「有識者」のみの審議会で決定され市民に審議過程が公表されなかったことや、年間有料入園者は36万9千人で、889万9千円の収益があるとしていた有料入園者数や収益の推計には全く根拠がないことなどから、「市民の合意を得た」上での実施ではなかったことは明らかである。

7)また、弘前市は今年の桜祭り中に実施された「弘前公園有料見直しアンケート」の見直しをするという視点。

 弘前公園有料見直しについての「市民懇談会」が開催され、その場で、桜まつり期間に観光客を対象に実施したアンケート結果を公表した。
 それによると、アンケートの対象は「観光客」で、実数も255人、その内の203人が市外の居住者、言い換えると市民は52人しか含まれていないということである。この結果をもって最も影響を受ける市民に対する「有料見直し」の材料とするのであれば、全くの「市民無視」といわざるを得ない。
 新聞報道では、アンケート調査の対象を「観光客」と明記していたが、市の広報やホームページでは「さくらまつり期間の来園者で、弘前公園有料制に関心があり、回答していただける全ての方が対象です。」とあり、非常に曖昧で、「広く市民の意見を聞く手法」として都市公園審議会に報告していたものとはおよそ違った方向付けで為されたものであるとも言える。

8)後に、弘前公園有料見直しについての「市民懇談会」が開催されたが、その「市民懇談会」の議論や諮問の見直しをするという視点。

実効性と方法性に偏りがあり、その真意を測り知ることは難しいし、とうてい市民の総意を受けたものとは思えない。