たんぽぽの心の旅のアルバム

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井村君江著『ケルト妖精学』より_フェアリーランドへの道(1)

2014年02月08日 14時00分51秒 | 井村君江著『ケルト妖精学』
 それまでにケルト民族が、先史時代から持っていた土着の信仰は、ドルイド教であった。ジュリアス・シーザーがこの古代信仰について書いた記録が残っているが、その中で彼は「ドルイドたちは、霊魂は滅びず、一つの体から他の体へと移っていくことを信じている」と言っている。

 これはすなわち、ドルイドたちが「霊魂不滅の思想」と、生命は「転生」し再生しめぐっていくという考えを持っていたことを示していよう。彼らの信仰は太陽崇拝であり、占星術を重んじ、自然は霊的な力を持つという汎神論であった。自然すなわち太陽・星など天体の軌道の上の運行、四季の移ろい、そうした悠久の円環の動きを崇拝し、すべての霊はこの軌道と同じサイクルを迎えるとドルイドたちは信じていたのである。こうした霊魂不滅・転生思想が、今日までケルト民族の根元に流れており、彼らの死生観や自然観を形成しているのである。

 ケルト民族たちは死というものを終わりとは見ず、もう一つの生への入口とし、また死は永い生の中心であるとする。従って人間の生命と自然や動植物の生命には、密接な関係があり、さらに眼に見えぬ力が生命のすべてを支配し、動かしているという考えが生まれてくる。われわれが死んだとみなす魂も、それは次の転生を待つ間の休息状態にあるのだと考えた。

(講談社学術文庫 1996年発行39頁より引用)

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