たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『果樹園のセレナーデ』-ルウシイ・モンゴメリおぼえがきより

2021年11月17日 00時50分17秒 | 本あれこれ


「(1911年の冬)祖母の死とともに、古い郵便局の家も閉ざされ、ルウシイはパーク・コーナーのジョン・キャムベル叔父の家に移っていった。そして、その年の7月、長い長いあいだの愛人マクドナルド牧師と結婚した。この時、ルウシイは37歳、マクドナルドは4つ年上だった。

 彼はそれまでに各方面の一流教会から牧師として招聘されたのだが、ルウシイの近くにいたいばかりに、それら有利なポストは全部辞退して、ささやかな教会を牧することで満足していた。

 37歳の花嫁は年よりもはるかに若々しくういういしかった。エワン・マクドナルドの眼には初めてキャベンデッシの郵便局へ切手を買いに行った日に見た黒い髪の毛で青い眼をした若い娘と少しも変わっていなかった。年月も名声も彼女をそこなわなかった。

 ルウシイ・モンゴメリの人生観が彼女の青春を保つ原動力だったのだ。なにが一番貴いかをルウシイはいつでも精神的の評価できめていた。

 ある時こんなことを書いていたー

「小さい時から私は理想美というようなものにあこがれを持っていました。毎日毎日の雑事雑用にかこまれながらも、私は自分が肉眼では見えない理想の美しい世界に、非常に近く住んでいるような気がしてならなかったのです。
 
 その世界と私のあいだには薄いヴェールがかかっていました。けれど、折々ふっと風がそのヴェールをゆすぶって、私に美しい国をちらりと見せてくれるのですーほんの一目だけですーけれど、その美しい世界をかいま見るだけで、生きていることが嬉しくなるのです」

 新婚旅行には夫妻の先祖の故郷スコットランドへ行った。観光気分を満喫した夫妻はやがて、9月にカナダへ帰って来た。」












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