たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2000年宙組全国ツアー公演『うたかたの恋』

2023年01月01日 16時15分54秒 | 宝塚
ルドルフ皇太子          和央ようか

マリー・ヴェッツェラ男爵令嬢   花總まり

ジャン・サルヴァドル大公
(ルドルフのいとこ、自由主義者)  湖月わたる

ジェシカ(マリーの乳母)      鈴鹿照

ロシェック(ルドルフの従僕)    未沙のえる

ヨゼフ皇帝(ルドルフの父)     大峯麻友

エリザベート(ルドルフの母)      陵あきの

ステファニー(ルドルフの妃)      彩苑ゆき

ブラッドフィッシュ(ルドルフ付の御者) 朝比奈慶

マリンカ(ボヘミアの歌姫)       久路あかり


(全国ツアー公演プログラムより)

「『うたかたの恋』について-柴田侑宏(脚本・演出)

「うたかたの恋」の初演は17年前の昭和58年5月~6月、雪組の当時ゴールデン・コンビと言われた麻実れい・遥くららの主演で行われた。

 平成5年6月~8月、星組で再演したが、その折り、主演の紫苑ゆうが稽古中に負傷して宝塚公演は麻路さきがずっと代役をつとめた。(紫苑は11月の東京公演には出演できた)このことはまだ記憶に新しいところである。

 この「うたかたの恋」の物語は、約百十年ばかり前1889年1月30日、オーストリーのウィーン郊外マイヤーリンクで、実際に起こった事件である。

 有能な皇太子、それもヨーロッパの名家ハプスブルク家の御曹子の心中事件という当時ヨーロッパではセンセーションな事件であったが、我が国では、フランス映画アナトール・リトヴァック監督、シャルル・ボワイエとダニエル・ダリュー主演の映画が封切られたことによって有名になった。

 オーストリーでは皇太子の不慮の死を隠密裡に収拾しようとし、この事件の報道を最小限に止めた。何年か後フランスの作家クロード・アネが「マイヤーリンク」というタイトルの小説を発表し、映画もたいていはこの小説をベースとして作られているようだ。

 最近宝塚で上演したウィーンミュージカル「エリザベート」には、ルドルフ役が登場しているが、マリーの姿はないのは、ある意味興味深い。

 事件後宮廷は皇太子の遺骸をひそかに運び去り、マリーの遺体だけをマイヤーリンクに置き去りにした。マリーの身寄りの人々がそれを悼んで、その近くのハイリゲン・クロイツにある修道院に葬った。のちに墓石を建て、その墓碑名に「花の如く萌え出でて、花の如く散りぬ」と刻んだ。マリーの短いが激しく美しく燃えた生涯になんとふさわしい言葉であることか。再演の終幕にこの墓碑名の言葉をコーラスに入れてもらった。


 昨年、春と秋の二回、月組の全国ツアー公演として東北から九州までの各地で公演した。

 真琴つばさと壇れいの新コンビ誕生に「うたかたの恋」を演じさせてみようという企画で、力をつけて大きくなった真琴が初主演の壇をカバーして、各地で好評をいただいたようだ。

 本年、やはり新コンビ結成の宙組の全国ツアーでこの作品が持ち出された。和央ようかと花總まりのルドルフとマリーならば間違いはなかろうという意図だと聞いている。多くの役〃をこなして二枚目としての実績を積み上げた和央にハプスブルクの軍服を、そしてこれもキャリア十分の名花、花總との共演は見ものであろうと思われる。

 宙組の新コンビがどのように誕生するか楽しみである。」