映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、園子温監督の「地獄でなぜ悪い」です。
冷たい熱帯魚、ヒミズ、希望の国など、社会的問題作を発表した監督が、挑んだ初のエンターテーメント作品が「地獄でなぜ悪い」です。
今回の作品は、監督自身が持つ映画へのオマージュのような感じで、映画バカの青年が、ヤクザの抗争の中で、組長の娘を主演にして、本物?!の映画を撮ると言うものです。
かつて僕の前にあった映画館で上映された任侠ものからヤクザもの、そして、その時代誰もがあこがれの存在であったブルース・リーと監督自身の青春時代に感じただろうエンターテーメント映画の要素がふんだんに含まれたスパイスが鼻をくすぐり続けるような楽しさにあふれています。
近年、園監督と仕事をしたい俳優が増えてますが、監督の毒に冒されて新しい役者像が生まれているように思います。そんな中、二階堂ふみの組長の娘のセクシーぶりに悩殺されました。また組長に娘に恋して、抗争映画に巻き込まれる青年を星野源が演じ、主題歌も手掛けています。彼のマルチな才能もこの作品に華を添えているように感じます。
組長を演じた、國村隼や堤真一、映画監督の長谷川博已、極妻の友近など多彩な顔触れにエンターテーメントの園作品を楽しんで演じているようです。
冷たい熱帯魚で全編で繰り広げられるバラバラ死体殺害やヒミズでの暴力シーン、希望の国では見えない恐怖などその衝撃的な世界に見る者が立ち伏すような作品のイメージから一転して、監督自らが飲み食いしながら何も考えずに楽しんでくださいとあるように、全編血の赤に染まりながら、愉快に楽ししめる作品です。
今後も夏にTOKYO TRIBEや来年春には、新宿スワンなど、コミック作品を原作にする映画が公開予定です。園子温監督のエンターテーメントに期待大です。