65オヤジのスタイルブック

DVD・0.5ミリ

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、安藤姉妹による介護をテーマにした映画「0.5ミリ」です。

 

安藤桃子と安藤サクラ。日本映画界で注目される姉妹で、長女の桃子は監督として次女のサクラは女優として活躍しています。お互いをリスペクトしている二人に加え、父のプロデュース、母の和津の介護体験をもとに、家族がタッグを組んで完成した力作です。

介護ヘルパー山岸サワ(安藤サクラ)は、ある日冥度の土産に父親と寝てほしいと依頼されるのですが、その夜に大事件に巻き込まれ職場も家も失ってしまいます。見知らぬ土地に辿り着いたサワは、ワケアリ老人の弱みにつけこみ、彼らのおしかけ介護ヘルパーとして生活を共にしていくことに。

自転車泥棒を繰り返し、詐欺にひっかりそうになる者。少女マニアで妻が痴呆で寝たきりの元教師を、坂田利夫と津川雅彦が演じてますが、二人の落ちぶれた老人の演技が秀逸で、特に坂田の人を世間への怒りと孤独な老人の哀しみが、ひしひしと伝わって見事です。

今回の作品は3時間を超える大作ながら、先ず小説化したうえに、映画化されたのですが、時間の経過を忘れる独特な魅力があります。内容は、監督自らの祖母の介護体験を通じて豊富な人生経験を持つ年配者へのリスペクトして大半は描かれているのですが、一般生活の中で誰も相手にされない人々を主人公にして、そこに体当たりでぶつかっていく介護ヘルパーとの深い心のつながりの中で、そうした世間の風潮への怒りを感じます。

後半では、巻き込まれた事件で取り残された孫とその親の出会いがあり、二人の過去が明らかになり、新しい旅立ちが鮮烈に描かれ、その部分だけでも十分に作品として成立していました。

姉妹だからこそ作りあげることができた0.5ミリの世界を味わってほしいです。


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