今回の映画レビューは、ジョーダン・ピール監督の三作目の長編映画「NOPE/ノープ」です。
ゲットアウトでは白人家族が黒人の脳を移植し、アスではクローン人間と人間が地上と地下で交錯するという摩訶不思議で斬新なホラーを展開して話題となりました。三作目のノープでは、どんな展開が待ち受けるか恐る恐る鑑賞しました。
テーマは空を見てはいけない。牧場を経営し映画に馬を提供しているヘイウッド一家。ある日空から異物が降り注ぐ現象の中で父が謎の事故死を遂げます。息子のOJは死の直前に空に謎の飛行物体を目撃したと妹に打ち明け妹は飛行物体を映像に収め一儲けしようと企てます。
口八丁の妹と撮影機材を購入したホームセンターのオタク従業員に、ドキュメンタリー映画のプロカメラマンが加わって飛行物体をカメラに収めようとするまでの過程にいたるストーリーも独特で面白く、前二作に比べてゾクゾクさせるホラーではないですが、スケールの大きさと飛行物体の美しさに魅力を感じる作品でした。
今回のような未確認飛行物体が出てくる作品は、対決ムードや宇宙人の登場が中心ですがノープでは目的はあくまでも映像に収めること。この主題があってこその映画だと感じました。そこが今の時代らしいし、ピールらしいなと思います。