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横山大観展 名都美術館



 
横山大観と言えば、富士の大観として名を馳せる近代日本画の巨匠として知られています。業界でも大観の富士は名品としてもっとも評価が高いですが、今回の展覧会は、横山大観の画業を様々な作品を通して振り返る回顧展でもあります。作品の構成は、横山大観記念館の名品を中心に全国各地から選りすぐりの作品を集め、日本画コレクションでは有数の個人美術館のひとつである当館の35周年記念する展覧会となっています。
 
今回訪れた日は、前期展示の最終日で仏画や歴史画などの作品も展示されており、東京国立近代美術館所蔵の白衣観音や美人画作品の阿やめなどあまりなじみのない作品を鑑賞でき個人的は収穫でした。後期展示では、パンフレットを飾る或る日の太平洋など戦前、戦中に描かれた富士山の作品や初期に描かれた花鳥画の数多く見受けられます。
 
横山大観と富士については戦中の国威掲揚の意味合いを強く、戦後には負のイメージが強くありますが、大観自身が水戸藩士の家に生まれ勤皇思想の中で育ったことに一因し当時の時代背景を考えられば至極当然のことではないかと感じます。また、違う側面で観れば、師匠である岡倉天心が「アジアはひとつである」と謳った不二一元の東洋的な思想の象徴として描かれていることから、平和的な一面もあると考えます。
 
ともあれ自然愛し、富士を愛し技術を磨く以上に人間としての素養を高める「唯だ何処までも心で描かねばならぬという一事を忘れてはならぬ。心よりて筆生ずだ」の言葉通り、どの作品にも巨匠の気概を感じることができる回顧展であると感じます。


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