映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。元婚約者の殺人事件を自らが裁く判事の法廷劇を描いた作品「ゼウスの法廷」です。
監督は社会派監督して評価の高い高橋玄。判事にパッチギの塩谷瞬、元婚約者に完全なる飼育の小島聖、弁護士には野村宏伸など、かつて映画やテレビで活躍した俳優が出演していて、懐かしく軽い感じで観賞してましたが、この作品、先回の予告犯同様にゼウスのような存在である司法の闇に鋭く刃をはなった、なかなかの問題作でした。
物語は、お見合いで知り合ったエリート判事の加納が多忙な判事の仕事から婚約者の中村恵とギクシャクした関係となり、中村が同窓会で再会した元恋人を事故で死なせてしまったことで、窮地に陥った加納が自らが担当判事となり、元婚約者を裁くと言うものです。
裁判に至る過程を丁寧に描きながら、司法が抱える現状をあからさまにして問題追及しています。
また、映画としての手法もデジタル全盛の中で、ネガフィルムで撮影され、ラスト1分の衝撃に至るトリックや塩谷瞬の判事の声を椙本滋が吹替担当しているのですが、予備知識なく観るとまったく違和感がありません。その点をうまく暴露するトリックもあって、サスペンス作品としても新鮮さをもって観賞できる作品となっています。