アカデミー賞脚本賞を受賞の話題作、映画her/世界でひとつの彼女を観賞。
かなり遅い公開で劇場も限られたいる本作品は、ジョン・マルコビッツの穴のスパイクジョーンズ監督作品で、今は亡きリバーフェニックスの弟のホアキン・フェニックスが主演で、ひとつの彼女であるAIの声をスカーレット・ヨハンソンが演じています。
代筆会社に勤め、妻と別居中のセオドアが、ある日AI(人口知能)の彼女サマンサを手にしたことから、摩訶不思議な恋に落ちるという内容です。
近未来は舞台でありながら、近い将来ありうるシチュエーションにあふれた世界で、ポケットのスマホに収まったサマンサが、情報を取り込んでくほどに魅力的な女性に進化していく様がとても楽しく、セオドアでなくても彼女の虜になってしまいます。映像も柔らかな光があふれ、ロサンゼルスの街を舞台にしながら、車がなく、現代建築が重なる情景や雪山の日帰り登山など、現実的な夢の世界もセオドアの過去を振りかえりつつ近未来の印象をリアルに感じられ心地よさを感じます。そしてラストの思わぬ方向に進んでいく一人の男と一つの彼女の結末にも注目してみてください。
某携帯会社のロボット販売により現実的になってきたロボットもしくは人口知能と人間との共存。今までのSF映画では支配的であったり壁のような隔たりをもって描かれていたように思います。
今回の作品は、そんな壁を取り払って一人の人間と一つのAIが等しい関係で描かれいて二人の関係に不思議と違和感を持ちませんでした。それは、今を生きる人々への優しい警鐘のように感じました。彼と彼女のラブストーリーに涙する間違いなしの素敵な作品でした。