妄想による愉快な国際時事ネタ解釈
四生の盲者日記
【妄言】防衛省改革―解体的出直しを考えよ【和文/朝日社説】
http://www.asahi.com/paper/editorial20071204.html#syasetu1
汚職や情報隠しなど一連の不祥事を受けた防衛省の改革論議がスタートした。首相官邸の主導で発足した有識者会議が来年2月にも中間報告をまとめる。
論議のテーマとして挙げられているのは(1)文民統制の徹底(2)厳格な情報保全体制の確立(3)防衛調達の透明性確保の三つだ。いずれもこれまでに指摘されてきたことばかりだ。問題の体質が一向に改まっていなかったということだろう。
安全保障は、国の存亡にかかわることである。それを理由に、多くのことが秘密扱いとされてきた。だが、守屋武昌前事務次官の収賄事件や、インド洋での海上給油の情報隠しでわかったのは、安全保障という看板の裏で、利権の構造ができあがり、文民統制を軽んじる風潮がまかり通っていたということである。
もはやこの役所に自浄能力があるとは思えない。防衛省は今年1月に庁から省に昇格したばかりだが、「省」にふさわしい組織や人材を備えていなかった。「庁」に戻して出直しさせるぐらいの覚悟で、改革に取り組む必要がある。
何よりも考えなければならないのは、政治の役割だ。守屋前次官は4年間も次官を務めた。自分の意に沿わない人は飛ばし、「防衛省の天皇」とささやかれるほど権勢を振るった。こんなことができたのも、歴代の首相や防衛庁長官が重用していたからこそである。
軍部が暴走した戦前の歴史を持ち出すまでもなく、実力組織である軍隊をどうコントロールするかは政治に課せられた重い責任だ。
ところが、守屋前次官が官房長、防衛局長、次官を務めた9年間に、防衛庁長官と防衛相は延べ10人以上だ。これでは政治による統制は期待できないし、中には適格性を疑いたくなる人もいた。
防衛相には、人格に優れ識見に富む人物を選ぶことが大切だ。そのうえで、少なくとも3年ぐらいは任せることを考えてみてはどうだろうか。
組織改革にあたり、透明性を高めなければならないのは当然のことだ。有識者会議は「防衛調達の透明性確保」を論議するというが、問題は武器や装備品などの買い方に限らない。防衛政策全般に風通しを良くしなければならない。
それには、情報を囲いこむ体質を改めさせる必要がある。安全保障を理由に公開できないものは、あくまでも例外であることを徹底させなければならない。
有識者会議の論議の項目で気になるのは、「厳格な情報保全体制の確立」だ。これは必要なことではあるが、だからといって透明性という原則がなおざりにされてはいけない。
こうした大きな構えで、防衛省の組織のあり方にメスを入れるべきだ。それにしては、有識者会議のメンバーに政府の懇談会の常連や防衛庁・自衛隊のOBばかりが目立つのは心配だ。役所に痛みを求めない提案に終わっては、防衛省だけでなく日本の政治の危機である。
相変わらず文学的な表現しか目立たない社説だが、文中で「政治による統制」という表現をわざわざ使っている。
「文民統制」とは敢えて別に使っているので、論説委員は別の語意だと思い込んでいるようだが。
「軍に対する政治による統制」がすなわち「文民統制」に他ならない。
そのあたりの基本的な概念を誤解した上で「防衛相には、人格に優れ識見に富む人物を選ぶことが大切だ。」などと抽象的な提案をされても、妄言としか呼べない。
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