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●30年目の松本サリン事件、《捜査や報道の罪深さ》…(2011年)《河野義行さん…自身が受けた報道被害…「…いまも当時と変わっていない…」》

2024年07月05日 00時00分59秒 | Weblog

// (2024年07月02日[火])
2011年11月22日の東京新聞の記事を読み直してみた…山内悠記子記者による記事【再発防止策 見いだせない 松本サリン被害 河野義行さん】。

   『●河野義行さん、死刑制度廃止を

 記事を、以下に再掲してみます。

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https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/5a446bb501f4fdb34b71de9a6eded9d9

再発防止策 見いだせない 松本サリン被害 河野義行さん
2011年11月22日 朝刊

 「事件前に戻ることはできない。ならば死刑囚らを恨み続けるような人生の無駄はせず、残された者として平穏に生きる」。一九九四年の松本サリン事件の被害者でありながら当初、警察の家宅捜索を受けるなど二重三重の苦しみを味わった河野義行さん(61)は、十七年の思いをかみしめた。日本を恐怖に陥れたオウム真理教の一連の事件の公判は終結したが、真相はいまだ見えないままだ。 

 「私にとってのオウム事件は、妻が亡くなった二〇〇八年八月に終わっています」。河野さんの妻澄子さんは、サリンの後遺症で寝たきりになり、六十歳で亡くなった。河野さんにとって、事件が起きた最初の一年は、犯人視する警察の捜査とマスコミの報道被害との戦いだった。「冤罪(えんざい)」が晴れてからは、三人の子どもへの親としての責任を果たし、妻の回復を願い続けて生きてきた。

 ただ、首謀者とされる麻原彰晃死刑囚(56)=本名・松本智津夫=の二審で実質審理がなかったことには「なぜ国家転覆を狙ったテロが起きたのか、本当に首謀者だったのかなど真相が分からず消化不良。再発防止策が見いだせない」と残念そうな表情を見せた。

 一方で、「裁判が終わったことで口を開く人が出てくるかもしれない。テーマを持ったジャーナリストに真相究明を期待したい」と望んでいる。

 今後は麻原死刑囚ら死刑確定者の執行に世間の関心が移る死刑制度については「現行法では合法で正義だが、個人的には、どの命もかけがえがなく、冤罪防止のためにも廃止すべきだと考えている」と話す。

 松本サリン事件で使われたサリン噴霧車の製造にかかわり懲役十年の刑を受け、出所後に自宅を訪れた元信者とは友人になった。刑務所で覚えた技術を生かし、自宅の庭木の手入れを任せ、今でも温泉や釣りを共にする。「社会的に罪もつぐない、反省もしている。友人になりたいと思った相手だから」

 一昨年と昨年には東京拘置所で、二十一日に上告棄却となった遠藤誠一被告(51)=一、二審死刑=ら教団元幹部四人とも面会。死生観や入信の動機などを聞く中で、「ごく普通の人。むしろ他の人より真面目」という印象を持ったという。

 自身が受けた報道被害については「事件報道で、マスコミが警察からの非公式情報を基に危うい橋を渡るシステムは、いまも当時と変わっていないようにみえる」と話す。

 澄子さんの三回忌と還暦を迎えた昨年、人生をリセットしようと鹿児島に移住した。講演活動も減らす予定でスローな生活を送る。「今後は隠居生活。いかに心地よく死ぬかがテーマです」。穏やかに語った。

 (山内悠記子
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 当時のブログ…:

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●河野義行さん、死刑制度廃止を2011年11月29日 00時00分57秒

 …「事件前に戻ることはできない。ならば死刑囚らを恨み続けるような人生の無駄はせず、残された者として平穏に生きる」、「個人的には、どの命もかけがえがなく、冤罪防止のためにも廃止すべきだと考えている」、「社会的に罪もつぐない、反省もしている。友人になりたいと思った相手」、「いかに心地よく死ぬかがテーマ」。あの河野義行さんだからこその重い言葉。酷い冤罪被害者として、また、奥様を殺された河野義行さんの重い言葉である。被害者であるにもかかわらず、おどろおどろしくプライベートを暴きたてた当時のあのマスコミのバカ騒ぎ、あれを経験されても、こういう言葉が出てくるのだから、すごい人だと思う。
 もちろん私は被害者ではない。だからこそ、被害者感情を過剰に忖度しての死刑制度存置を支持する方々にも噛みしめてもらいたい、と思った。……
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   『●飯塚事件…《DNA鑑定などを根拠に逮捕された久間三千年は、06年最高
     裁で死刑が確定し、08年に急ぐように執行された。だが...》(政界地獄耳)
   『●目隠ししているヨーロッパの法律の女神、一方、ニッポンの法律の女神
      は《目隠ししておりません》…冤罪で死刑執行されてしまった飯塚事件

 《被害者でありながら当初、警察の家宅捜索を受けるなど二重三重の苦しみを味わった河野義行さん》…何か変化の兆しはあっただろうか? 事件から7年程の2011年当時、《自身が受けた報道被害については「事件報道で、マスコミが警察からの非公式情報を基に危うい橋を渡るシステムは、いまも当時と変わっていないようにみえる」と話す》河野さん。それから十数年経って、何か変化の兆しはあっただろうか? (東京新聞社説)《死刑執行後、再審が請求された福岡県の「飯塚事件」(92年)を取り上げたドキュメンタリー映画「正義の行方」(今年公開)に、当時、事件を取材し特ダネを連発した地元紙記者が悔恨とともに、こう述懐する場面がある。「自分はペンを持ったお巡りさんになっていた」》。
 東京新聞の【<社説>松本サリン30年 「ペンを持つ警官」の悔恨】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/336223)。《松本サリン事件から27日で30年になる。長野県松本市の住宅街で1994年6月、オウム真理教幹部らが猛毒のサリンをまいて8人が死亡、約600人が重軽症を負った大惨事。報道機関としては、県警の捜査に沿って、第1通報者の河野義行さん(74)を容疑者扱いしてしまった、悔やんでも悔やみきれない事件だその反省を忘れず、事件報道のあり方を常に問い直していかねばならない》。

   『●『野中広務 差別と権力』読了(2/3)
    《松本サリン事件で警察とマスコミに犯人扱いされた河野義行に、
     国家公安委員長として率直に謝罪したのも野中だった》

   『●『創 (11月号)』読了(2/2)
    《浅野健一さんの「松本サリン事件から14年、河野義行さんの妻、
     澄子さん逝く」。犠牲者であり入院し、ずっと意識不明であり
     ながら、「家族を支えた」澄子さん》

   『●『月刊誌3冊』読了(4/4)
    「森達也さんの「極私的メディア論/第40回 死刑制度について」」
    「松本サリン事件の河野義行さんについて、服役を終えて出所した
     ある信者は庭木の剪定など河野さんの家を訪れており、親しく
     両者は接している。「ありえない想像だけど、もしも麻原死刑囚が
     家を訪ねてきたとしても、河野さんはきっと、よくいらっしゃい
     ましたと迎え入れるに違いない」」

   『●『貧困なる精神U集』読了(2/2)
    「インタビュー「加害報道 ―河野義行さんをめぐる松本サリン事件
     の誤認捜査と誤報」。「許せぬ『週刊新潮』」」

   『●『官僚とメディア』読了(2/3)
    《客観報道主義無責任主義の別名…。…河野義行さんのケース…》
    《地下鉄サリン事件和歌山カレー事件など重大事件が起きるたびに
     メディア・スクラム集団過熱取材)が繰り返される…》
    《…記者クラブ制度…。…記者たちはいつのまにか権力との距離感を
     見失い最も大事な批判精神をなくしてしまう

   『●『A2』読了
   『●『A3(エー・スリー)』読了
   『●河野義行さん、死刑制度廃止を
   『●「災害に便乗する「巨大復興」」
     『週刊金曜日』(2014年3月14日、983号)について
    「浅野健一さん【被逮捕者に肖像権はないのか 柏連続殺傷事件】
     《メディアは行き帰りで、男性の顔を撮影し報道した。
     引き回し写真は〝晒し刑〟にあたる…河野義行さんは…
     「メディアは今も、警察が被疑者を逮捕したら犯人で決まりだ
     テレビ報道では、人相が悪い写真を選んで伝え、怪しい人という
     情報しか報じない。…速報性の競争をやめるべきだ」と提言》

   『●「殺すなかれ…」…「彼らを処刑することが「社会正義」なのだろうか」?
   『●オウム死刑囚大量執行…アベ様や上川陽子法相は
       「前夜祭」を催し、死刑さへも「サーカス」に使う悪辣さ
    《九四年の松本サリン事件で当初、容疑者扱いされた河野義行さん
     …は四月の本紙の取材に「麻原死刑囚は否認しているが、
     控訴審もしていない真実に迫るためには控訴審が必要だった
     
のではないか。(起訴内容が)本当に事実かと疑問が出ても不思議
     ではない」と述べた。
     「命は大切なものだから死刑そのものには反対だ」とも話していた》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/336223

<社説>松本サリン30年 「ペンを持つ警官」の悔恨
2024年6月27日 07時52分

 松本サリン事件から27日で30年になる。長野県松本市の住宅街で1994年6月、オウム真理教幹部らが猛毒のサリンをまいて8人が死亡、約600人が重軽症を負った大惨事。報道機関としては、県警の捜査に沿って、第1通報者の河野義行さん(74)を容疑者扱いしてしまった、悔やんでも悔やみきれない事件その反省を忘れず、事件報道のあり方を常に問い直していかねばならない

 県警は事件の翌日、サリンがまかれた駐車場隣の河野さん宅を容疑者不詳の殺人容疑で家宅捜索。捜索場所として河野さんの実名を発表した。本紙など報道各社は「薬品調合中に発生」「第1通報者が関わっていたとは」など河野さん=容疑者のように報道した

 河野さんは自身がサリンを吸った被害者だったが、入院中も県警の事情聴取を受けた。妻はサリン中毒で倒れ、意識不明のまま2008年に亡くなった。河野さん宅や弁護士の事務所には、無言や嫌がらせの電話がやまず、誹謗(ひぼう)中傷の手紙も数多く届いたという。

 本紙の取材では、長野県警は事件翌月にはオウム真理教の捜査を始めていた。だが、河野さんへの厳しい取り調べと河野さんを疑う報道は続いた。1995年3月の地下鉄サリン事件で教団幹部が一斉逮捕されて初めて、捜査や報道の誤りを認め、国家公安委員長、長野県警本部長や、本紙を含む報道各社が河野さんに謝罪した

 30年の節目を前に、河野さんの長女(当時高校生)は「(何があっても日常の維持に努めた」と語り、次女(同中学生)も「学校では全くいじめはなく、日常を保てた」と振り返ったが、家族への影響は小さくなかったはずだ捜査や報道を厳しく批判していた河野さんも後年、「人を憎んだり、恨んだりしない」境地に達したと語るようになったが、捜査や報道の罪深さが減じることはない

 死刑執行後、再審が請求された福岡県の「飯塚事件」(92年)を取り上げたドキュメンタリー映画「正義の行方」(今年公開)に、当時、件を取材し特ダネを連発した地元紙記者が悔恨とともに、こう述懐する場面がある。「自分はペンを持ったお巡りさんになっていた」。事件報道に携わる記者なら思い当たる部分があるのではないか。捜査の動きを追うのは職責だが一体化はしない。冷静な報道者としての判断力を磨きたい。
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●『自然と人間』(2014年2月号、Vol.212)についてのつぶやき

2014年02月07日 00時00分04秒 | Weblog


自然と人間』(2014年2月号、Vol.212)の最新号について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge。

 最も注目の記事は、秋山豊寛氏【京都竹やぶ日記 第26回/ガレキの山に蠢くヤカラに鉄槌を下す年】と斎藤貴男さん【人間がケータイを持つのは百年早い!】。

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①『自然と人間』(2014年2月号、Vol.212) / 森達也さん【第95回つぶやくニッポンの街角 誰が誰に何を言ってんの?】、「メディアは民意の合わせ鏡・・・参院選・・・「ねじれ解消」のフレーズは新聞各紙が一面の見出しに使い・・・政治とメディアがダメならば国民がダメなのだ」。救えないかも(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/11bce74b5e46796ea365780985e68620

②『自然と人間』(2014年2月号、Vol.212) / 前田哲男さん【“戦争できる国家”への見取り図=防衛政策3文書】、「「秘密保護法」廃止の世論と国会論戦をつよめ “暴走する安倍政治”を止めよう!」「文民統制が音もなく形骸化する兆候」「武器輸出が〝平和への寄与〟であるかのよう」。憲法が泣いているhttp://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/237410d1ba170d66ecd8447f01eae975

③『自然と人間』(2014年2月号、Vol.212) / 【緊急インタビュー! 国のかたちが変わる!?(後編) 靖国、歴史問題、メディアリテラシー 室田元美×森達也】、「国民の多くが政策に熱狂し政権を支持したとき、国家は大きな過ちを犯す。つまり国家と国民の相互作用」

④『自然と人間』(2014年2月号、Vol.212) / 志葉玲氏【不十分な新規制基準で原発を再稼働させてはいけない】、「川内原発再稼働反対に1800人」「事故データを隠したままで再稼働するのか?」。原子力「推進」委員会という大問題(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/f7e19300df63651978b1c2e36238af3b

⑤『自然と人間』(2014年2月号、Vol.212) / 編集部【JR浦和電車区事件 民事裁判で高裁が解雇を認める逆転判決】、「安倍政権のめざす「戦争のできる国」にむかう諸政策とからまり、労働運動や市民運動への規制が強まる・・」。公安絡み(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/69f994239f7044d13e4ac97c42c3292b

⑥『自然と人間』(2014年2月号、Vol.212) / 山際永三氏【冤罪の過酷な現実】、「三浦和義さんの想い」「恵庭事件和歌山カレー事件北陵クリニック事件は冤罪」「報道が冤罪をつくる」「司法のリンチ化煽る報道」。冤罪が多すぎる(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/da3cfb571178e3a38746fc3aa3af954c

⑦『自然と人間』(2014年2月号、Vol.212) / 斎藤貴男さん【人間がケータイを持つのは百年早い!】、「フェイスブックに踊る日本の首相」「ケータイが大嫌いな理由(ワケ)」「見てはいけない罵詈雑言の洪水」。必読『消費税のカラクリ』(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/d435ba4950c1d381994c047fc001d0d9

⑧『自然と人間』(2014年2月号、Vol.212) / 【大谷昭宏の言いたい放題/2014年は「荒れる年」 焦点は普天間辺野古と原発再稼働 やりたい放題の政権与党 国民の不満爆発】、「靖国参拝に「失望している」とアメリカ」「原発再稼働、各地で大規模抗議行動か」

⑨『自然と人間』(2014年2月号、Vol.212) / 秋山豊寛氏【京都竹やぶ日記 第26回/ガレキの山に蠢くヤカラに鉄槌を下す年】、「・・・瓦礫の山で酒宴を楽しむ魑魅魍魎に鉄槌を下すことです。これは国会で、立法によって、原発の設置と操業は電力会社にとって「ワリが合わない」ことを思い知らせる法律の整備をするしかないのです」
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●「日本を売る秘密交渉 TPP」 『週刊金曜日』(10月18日、964号)についてのつぶやき

2013年10月21日 00時00分33秒 | Weblog


週刊金曜日』(2013年10月18日、964号)について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge。

 今週のブログ主のお薦めは、片岡健氏【和歌山カレー事件に冤罪の可能性 「ヒ素は別物」か!? 中井鑑定に疑義唱える論文の波紋】と明石昇二郎さん【特捜チーム編成で、本腰操作となるか 福島県警、告発状を正式受理】。

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■①『週刊金曜日』(2013年10月18日、964号) / 「日本を売る秘密交渉 TPP」。明石昇二郎さん【特捜チーム編成で、本腰操作となるか 福島県警、告発状を正式受理】、「強制捜査も視野」「検察審査会での審査に〝追い風〟」。もはや犯罪(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/b708c5d7e03c776fc0cff5e1012bff09) 

■②『週刊金曜日』(2013年10月18日、964号) / 渡部睦美氏【帰還迫られる福島・田村市で放射線調査 除染道路の4割が効果なし】、「・・きれいな部分だけ縫って歩くように生活しろということになる」。不可能・・?(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/70ea694eaba6c83b3973a0be001acbca

■③『週刊金曜日』(2013年10月18日、964号) / 【さらん日記 by さらん】、安倍首相・・「状況はコントロールされています」「作業員のいる所が非汚染地域です」。笑えない・・。その小泉純一郎氏がいまや反原発派・・複雑な心境(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/091a616455465e404a8e248e93708b77

■④『週刊金曜日』(2013年10月18日、964号) / 藍原寛子氏【福島で松川事件無罪確定50周年集会】。国鉄三大謀略「事件が、一九四九年の七月から八月にかけて立て続けに起きた」http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/e848ac49e72ce1f445810e32d40bb9b0

■⑤『週刊金曜日』(2013年10月18日、964号) / 宇都宮健児さん【風速計/国を亡ぼすカジノ解禁】、「二〇二〇年東京五輪・パラリンピックに向け、カジノ解禁を目指す動きは活発になっている」そうだ。他にやることあるでしょうに(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/07968cccb4abad0a01affdd3c37e0b4e

■⑥『週刊金曜日』(2013年10月18日、964号) / 【西川伸一の政治時評/消費税の逆進性は「顕微鏡的」格差で実は公平な税なのか 「望遠鏡的熟議」が必要では?】。いろんな考え方の学者がいるものである・・

■⑦『週刊金曜日』(2013年10月18日、964号) / 植草一秀氏【かんぽ生命に見る米国の日本支配の策動 安倍首相の公約違反を許してはならない】、「国民皆保険が危ない」「「六つの公約」も破棄か」。「ウソはつく。TPP交渉参加。ブレる。」「日本を壊す!? 自民党」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/4095fb5e2bf2816951de8c47e28d227b

■⑧『週刊金曜日』(2013年10月18日、964号) / 内田聖子氏【「結論ありき」で中身はボロボロ TPP「年内妥結」声明も綻びはじめた米政府と財界】。横田一さん【公約違反の〝西川発言〟に党内対立は確実 自民、突然の方針〝転換〟 やはり裏切られた「聖域五項目」】 

■⑨『週刊金曜日』(2013年10月18日、964号) / 岩月浩二氏【国民主権から外国投資家主権へ ISD条項は憲法を破壊する】、「基本的人権を蹂躙し多国籍企業の利益優先」「憲法の基本原則の侵害は許されない」。「「高度なレベルでの協定締結」が何をもたらすのか?」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/ffeb37f2332f233ad4b25e13236e914d

■⑩『週刊金曜日』(2013年10月18日、964号) / 猪熊弘子氏【待機児童問題、保坂展人世田谷区長バッシングに異議あり 認可保育所の「質」の確保こそ大切】。そんな問題が起こっているとは知らなかった・・(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/191c9a1189110383040769a382fc976d

■⑪『週刊金曜日』(2013年10月18日、964号) / 石川文洋(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/6825289b60b19442e4ab8d25aab34a58)さん【オスプレイ強行配備から一年 米軍機が飛ばない沖縄の日へ】、「米軍機のない光景」「軍隊は住民を守らない」「若い世代への期待」

■⑫『週刊金曜日』(2013年10月18日、964号) / 片岡健氏【和歌山カレー事件に冤罪の可能性 「ヒ素は別物」か!? 中井鑑定に疑義唱える論文の波紋】、「この鑑定論争は、人一人の命を左右しかねない。誇大表現や事実の歪曲がないフェアな議論が望まれる」。ようやく週金でも記事化(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/2d453d51ac165ff784049f039ae886b4
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●和歌山毒カレー冤罪事件: 「正しい」鑑定結果が冤罪を生んだ

2013年09月03日 00時00分13秒 | Weblog


神保哲生さんのvideonews.comの記事【和歌山カレー事件の鑑定ミスはなぜ起きたか】(http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002926.php)。

   『●和歌山毒カレー冤罪事件: 安田好弘弁護士と林眞須美被告

 和歌山毒カレー冤罪事件の三つのヒ素試料が異なることについては、上記で既報の通り。ようやく今回の記事で背景が理解できた。当初の鑑定結果は「正しく」、「誤っていはいなかった」のだ。検察の鑑定依頼の内容に不備があった訳である。誤った鑑定依頼内容に、正しい鑑定結果が報告され、裁判所は見抜けず、マスコミはそれに便乗して冤罪を生み出してしまった。

 したがって、この冤罪を晴らす「カギ」となる人物は東京理科大学の中井泉教授かも。当初の鑑定者・中井教授が、自身の誤解(検察に誤解させられた)と検察の依頼内容の(意識的?)不備について、さらなる踏み込んだ証言・提言をしてくれるかどうか?

   『●和歌山県警科学捜査研究所の鑑定結果捏造事件と
                     和歌山毒カレー冤罪事件、そして死刑制度
   『●『創(2009年7月号)』
   『●『創(2009年6月号)』(2/2)
   『●『冤罪File(No.06、2009年6月号)』

 それにしても、安田好弘弁護士の主張からすでに3、4ヶ月・・・・・・この重要な主張や鑑定結果についてマスコミは沈黙を続けているように見えるが?

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http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002926.php

ニュース・コメンタリー (2013年08月31日)
和歌山カレー事件の鑑定ミスはなぜ起きたか
報告:神保哲生

 事件に使われたヒ素の再鑑定によって、既に死刑が確定している和歌山カレー事件に冤罪の疑いが出てきていることは、4月にこの番組で報道した(マル激トーク・オン・ディマンド 第628回・2013年04月27日「やはり和歌山カレー事件は冤罪だったのか」)ところだが、このほどなぜそのような問題が起きてしまったのかがより鮮明になってきたので、改めて報告したい。

 夏祭りの炊き出しで出されたカレーに猛毒のヒ素が混入し、4人の死者と63人の負傷者を出した「和歌山カレー事件」は、林眞須美被告が否認・黙秘を続ける中、2009年4月に最高裁で死刑が確定している。4月の番組では、その裁判で林氏の犯行と断定される上での決定的な証拠となっていた「亜ヒ酸の鑑定」において、新たな事実が明らかになったことを、林氏の弁護人である安田好弘弁護士をスタジオに招いて、お伝えした。
 その内容はこんなものだった。この事件では犯行に使われたとみられる現場付近で見つかった紙コップに付着していたヒ素(亜ヒ酸)と、林氏宅の台所のプラスチック容器についていたヒ素、そしてカレーに混入されたヒ素を鑑定にかけた結果、その組成が同じものだったことがわかり、それが林氏の犯行と断定する上での決定的な、そして唯一の物証となっていた。判決でもこの「組成が同じものだった」とされていたが、京都大学の河合潤教授が、鑑定のデータを再評価するために不純物をより詳細に調べた結果、実際はこの3つの資料の間には重大な差違があることがわかった。
 犯行が林氏によるものとした最高裁の判断は、林氏以外にヒ素を入れられる者がいなかった、氏が鍋の中を覗くなど怪しい動きをしていたといった、状況証拠やあやふやな証言に基づくものが多く、3つのヒ素が一致したとする鑑定結果は林氏の犯行と断定する上で決定的な意味を持っていた

 今回の取材で明らかになった問題は、東京理科大学の中井泉教授による当初の鑑定が間違っていたのではなく、そもそも検察が依頼した鑑定の依頼内容とその依頼に対する中井教授の理解そしてそれが報道や裁判で誤った形で一人歩きしていってしまったということだった。中井氏は、依頼された鑑定の内容は、林氏自宅のヒ素と紙コップのヒ素とカレーのヒ素の3つにどれだけの差違があるかを証明することではなかったと、雑誌「現代化学」の中で述べている。中井氏は検察から依頼された鑑定の内容を、3つの資料の差違を見つけることではなく、3つの資料を含む林氏の周辺にあったヒ素のすべてが同じ輸入業者の手を経て入ってきたものだったかどうかを調べることだと理解し、それを鑑定で確認したに過ぎなかったという。
 目的をそのように解釈した中井教授は、有罪の決め手となった3つの資料の差違を詳細に分析はせず、3つの資料を含む10の資料のヒ素がすべて同じ起源を持つものであったことを確認するための鑑定しか行っていなかった。しかし、実際に林氏が自宅にあったヒ素を紙コップでカレーに入れたことを裏付けようというのであれば、その3つのヒ素の起源が同じであることを証明しただけでは明らかに不十分である。その3つがまったく同じものでなければならない

 弁護団から鑑定結果の再評価を依頼された河合教授がその点を疑問に思い、3つの資料について不純物を含めてより詳細にデータを再評価したところ、そこには大きな差違があることがわかったのだという。

 どうやら問題の本質は中井氏の鑑定そのものにあったわけではなく、検察から依頼された鑑定内容に対する中井氏の解釈と、中井氏の鑑定結果は3つの証拠が同じものであったことを証明しているわけではないにもかかわらず、あたかもそのような報道がなされ、実際に裁判でもそのような解釈が行われていたところにあるようだ。
 和歌山地検から中井氏に送られた鑑定嘱託書には、中国の鉱山で採掘された亜ヒ酸の輸入ルートに沿って1から10まで資料に番号が振られ、その1から10までのヒ素の「異同識別をして欲しいとしか書かれていなかった。これを受けて中井氏は、1から10までのすべてが同じ起源の亜ヒ酸であると判断できるとの鑑定結果を出した。しかし、これは林氏の自宅にあったヒ素と紙コップに付着していたヒ素とカレーに入っていたヒ素が、不純物まで含めてまったく同じの組成を持つものであり、よって林真須美氏がそのコップを使って自宅に保管していたヒ素をカレーに入れたといする仮説を裏付けるものとはなり得ない。河合教授は論文の中で、それらは「別のものであったと結論できる」としている。

 河合教授は8月26日に京都の龍谷大学で開かれたシンポジウムで、鑑定嘱託書に鑑定の目的が書かれていなかったために、中井氏が鑑定すべき内容を誤解してしまったとの見方を示した。何の目的で鑑定を行うかによって鑑定の内容は当然変わってくるからだ。すべてのヒ素が同起源であることを証明するための鑑定と、その中の3つが不純物を含めて全く同じものだったかどうかを確認するための鑑定では、当然鑑定の中身は変わってくる。後者を証明するためには、不純物を含め、より詳細な分析が必要となる。林氏を有罪にするための証拠集めのための鑑定と、無罪の可能性を探るための鑑定の違いと、言い換えることもできるかもしれない。

 長らく自白偏重主義がまかり通ってきた日本の刑事司法の下では、捜査当局は確かな物的証拠の積み上げにより被疑者の犯行を立証する手法に疎いことが次第に明らかになってきている。取調室内で当たり前のように横行する自白の誘導や強要などを隠したいがために、検察は取り調べの全面可視化に頑なに抵抗しているようにも見える。
 今回の事件でも、鑑定結果が林氏の犯行を裏付ける確たる証拠にはならなくても、メディアがそれをもっともらしく報道すれば、被疑者もいずれは自白するだろうし、裁判所も納得してくれるだろうという甘い計算があったのではないか。
 しかし、林氏が最後まで否認を貫いたために、中井氏の鑑定結果の証拠としての有効性が問われる事態となった。ところが、今回の鑑定はあまりにも専門性が高いものだったために、それが林氏の犯行を証明する上で不十分な内容のものであることが、別の専門家である河合教授が再評価をするまでわからなかった。これが今回の問題の顛末ではないか。
 こうなると次なる課題は再審である。安田弁護士は最高裁判決の直後から林氏の裁判の再審を求めているが、今回明らかになったヒ素鑑定の結果を追加した再審補充書を早速提出したという。確かに、今回明らかになった新事実を前にすると、最高裁が判決で述べているような「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度に証明されている」と言えるかは非常に疑わしい唯一の物証だった「ヒ素の同一性」が崩れてしまったのだ

 しかし、日本では再審の壁はとても厚い。日本の司法界の構造として、裁判官が検察の訴えを退けてまで無罪判決を下すのには相当な重圧がかかるからだ。
 またこの事件は元々メディアが主導した劇場型事件の性格も有していた。捜査当局が動く前にメディアが林夫妻の自宅を取り囲み、当初から夫妻がカレー事件の犯人であるかのような報道が乱れ飛んでいた。そのため、ここに来て、冤罪の可能性が現実のものとなってきているにもかかわらず、この問題に対するマスメディアの動きは至って鈍い事実上自分たちが犯人に仕立て上げ、最終的に死刑判決まで受けた人物が、実は無罪だったかもしれないというニュースを、その可能性段階で報ずるのは、難しいと見える。
 和歌山カレー事件で死刑判決の決め手となった鑑定結果をめぐり見えてきた日本の刑事司法の根本的な問題点と、今回の問題の中に、遠隔操作ウィルス事件とも共通した「司法と高度技術」の問題が見て取れる点などについて、ジャーナリストの神保哲生の報告を受けて、神保と社会学者の宮台真司が議論した。


関連番組
マル激トーク・オン・ディマンド 第628回(2013年04月27日)
やはり和歌山カレー事件は冤罪だったのか
ゲスト:安田好弘氏(弁護士・林眞須美死刑囚主任弁護人)

マル激トーク・オン・ディマンド 第420回(2009年04月25日)
和歌山カレー事件はまだ終わっていない
ゲスト:安田好弘氏(弁護士・林真須美被告主任弁護人)

インタビューズ (2009年04月25日)
「ヒ素は自分で呑んだ。真須美はやっていない」
真須美被告の夫・健治さんが最高裁判決の不当性を訴え


ニュース・コメンタリー (2013年07月13日)
遠隔操作ウィルス事件続報
検察の証拠には「拍子抜けするほど中身がなかった」
遠隔操作ウィルス事件・佐藤博史弁護士記者会見
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●和歌山毒カレー冤罪事件: 安田好弘弁護士と林眞須美被告

2013年05月15日 00時00分05秒 | Weblog


神保哲生さんのvideonews.comの記事(http://www.videonews.com/on-demand/621630/002750.php)。

 林眞須美林真須美)氏に関して、警察・検察・裁判所・マスコミが一体となって「「目撃」証言も非常に恣意的、曖昧であるにもかかわらず、そんないい加減な「状況証拠」だけで」死刑にしようとしている。

   『●『冤罪File(No.06、2009年6月号)』
   『●『創(2009年6月号)』(2/2)
   『●『創(2009年7月号)』
   『●『ドキュメント死刑囚』読了(1/2)
   『●『創(2009年11月号)』読了
   『●『創(2010年4・5月号)』読了
   『●『創(2010年8月号)』読了
   『●『創(2010年9・10月号)』読了
   『●冤罪(その1/2): どんな力学が働いているのか?
   『●和歌山県警科学捜査研究所の鑑定結果捏造事件と
                   和和歌山毒カレー冤罪事件、そして死刑制度

 一方、元大阪〝ト〟知事に罵声を浴びせられ、マスコミから死刑廃止論者と烙印を押され、警察や検察に忌み嫌われている『死刑弁護人安田好弘さん。

   『●ドキュメンタリー『死刑弁護人』:
         バッシングされ続ける「死刑弁護人」安田好弘さん
   『●『死刑弁護人~生きるという権利~』読了(1/4)
   『●『死刑弁護人~生きるという権利~』読了(2/4)
   『●『死刑弁護人~生きるという権利~』読了(3/4)
   『●『死刑弁護人~生きるという権利~』読了(4/4)
   『●『特捜検察の闇』読了(1/3)
   『●『だまされることの責任』読了(1/3)
   『●木下昌明さん、『死刑弁護人』映画評
   『●政治的なトドメかな・・・・・・マスコミや裁判所によるこんなことが許されていいの?

 唯一と言っても良い証拠らしきものも揺らいでいるらしい。
 「カレーにヒ素を混入するために使われたとされる紙コップに付着していたヒ素と林さん宅にあったヒ素をより詳細に検証した結果、両者の間には明らかに異なる不純物が見つかったという。河合教授は両者を「別のものであったと結論できる」としている」。
 「しかし、日本では再審の壁はとても厚い。日本の司法界の構造として、裁判官が検察の訴えを退けてまで無罪判決を下すのには相当な重圧がかかるからだ。/今回の新事実を、司法はどう判断するのか」? 司法の哀しい状況を見れば、再審開始など望めそうもない・・・・・・。冤罪被告を死刑にするようなことがあれば、・・・・・・裁判所やマスコミの責任はあまりにも大きい。

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http://www.videonews.com/on-demand/621630/002750.php

マル激トーク・オン・ディマンド 第628回(2013年04月27日)
やはり和歌山カレー事件は冤罪だったのか
ゲスト:安田好弘氏(弁護士・林眞須美死刑囚主任弁護人)

 和歌山カレー事件で新たな事実が明らかになった。もしかすると、これは決定的な新証拠になるかもしれない。
 夏祭りの炊き出しで出されたカレーに猛毒のヒ素が混入し、4人の死者と63人の負傷者を出した「和歌山カレー事件」は、林眞須美被告が否認・黙秘を続ける中、2009年4月に最高裁で死刑が確定している。今回、その死刑判決の重要な判断材料の一つだった「亜ヒ酸の鑑定」において、新たな事実が明らかになったのだ。
 今回問題となっている証拠は、犯行に使われたとみられる紙コップに付着していたヒ素(亜ヒ酸)と、林氏宅で見つかったヒ素とが同じ組成のものだったとする鑑定結果。林真須美氏の夫の健治さんがシロアリ駆除の仕事をしていたことから、林氏の自宅には普段からヒ素が保管されていたという。この鑑定結果は林真須美氏を有罪とする上で最も重要な証拠の一つだった。
 亜ヒ酸の鑑定については、当時最先端の大規模研究施設「SPring-8(スプリング・エイト)」を使った鑑定によって、科学な裏付けがなされたと考えられてきたが、今回、それを否定する新たな検証論文が京都大学の河合潤教授によって発表された。河合教授が『X線分析の進歩44号』に発表した論文によると、カレーにヒ素を混入するために使われたとされる紙コップに付着していたヒ素と林さん宅にあったヒ素をより詳細に検証した結果、両者の間には明らかに異なる不純物が見つかったという。河合教授は両者を「別のものであったと結論できる」としている。
 この事件はもともと物証に乏しく、犯行に至った動機も解明されていない。林氏の弁護人を務める安田好弘弁護士によると、主な間接証拠も詳細に検討していくと必ずしも信頼性の高いものばかりではないという。安田氏はこの事件は最初から警察による事件の見立てに間違いがあったのではないかと言う。そして、メディアによるセンセーショナルな報道などもあって、捜査当局もそれを修正できないまま殺人事件として突っ走ってしまったとの見方を示す。
 安田弁護士は最高裁判決の直後から林氏の裁判の再審を求めているが、今回明らかになったヒ素鑑定の結果を追加した再審補充書を早速提出したという。確かに、今回明らかになった新事実を前にすると、最高裁が判決で述べているような「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度に(林さんが犯人であることは)証明されている」と言えるのかどうかは明らかに疑わしくなっているように見える。しかし、日本では再審の壁はとても厚い。日本の司法界の構造として、裁判官が検察の訴えを退けてまで無罪判決を下すのには相当な重圧がかかるからだ。
 今回の新事実を、司法はどう判断するのか。事件の新事実をもとに、再審の問題、司法の裏側などについて、ゲストの安田好弘弁護士とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。


関連番組

マル激トーク・オン・ディマンド 第420回(2009年04月25日)
和歌山カレー事件はまだ終わっていない
ゲスト:安田好弘氏(弁護士・林真須美被告主任弁護人)

インタビューズ (2013年04月27日)
裁判所はなぜ決断できないのか
インタビュー:木谷明氏(弁護士)

インタビューズ (2009年04月25日)
「ヒ素は自分で呑んだ。真須美はやっていない」
真須美被告の夫・健治さんが最高裁判決の不当性を訴え



プロフィール


安田 好弘やすだ よしひろ
(弁護士・林眞須美死刑囚主任弁護人)
1947年兵庫県生まれ。75年一橋大学法学部卒業。77年司法試験合格、80年司法修習修了。オウム真理教麻原彰晃被告の主任弁護人、山口県母子殺害事件・被告少年の主任弁護人、和歌山カレー事件・林真須美被告の主任弁護人などを務める。著書に『死刑弁護人生きるという権利』など。
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●「日本社会を蝕むパワーハラスメント」『週刊金曜日』(2013年4月5日、938号)

2013年04月08日 00時00分01秒 | Weblog


週刊金曜日』(2013年4月5日、938号)について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge

 今週のブログ主のお薦めは、片岡健氏【和歌山カレー事件のヒ素鑑定 再分析した京大教授が否定】、畠山理仁さんによる堀潤氏インタビュー、そして、青木理さんの【「片山祐輔被告は間違いなく無実だ」 パソコン遠隔操作事件佐藤博史弁護士が激白】。

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■『週刊金曜日』(2013年4月5日、938号) / 雨の中、今到着。「日本社会を蝕むパワーハラスメント」。小石勝朗氏【「一票の格差」で戦後初の無効判決もどこ吹く風 抜本是正に遠い「0増5減」案】。赤岩友香氏【原発ゼロノミクスキャンペーン立ち上げ 「下からのエネルギー革命を」】

■『週刊金曜日』(2013年4月5日、938号) / 片岡健氏【和歌山カレー事件のヒ素鑑定 再分析した京大教授が否定】。これも酷い裁判でした(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/s/%CE%D3%E2%C3%BF%DC%C8%FE)、冤罪の確率高し。マスコミにも大きな罪

■『週刊金曜日』(2013年4月5日、938号) / 畠山理仁http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/s/%C8%AB%BB%B3%CD%FD%BF%CE)さん【ついにNHK退職 元アナウンサー堀潤氏独占インタビュー これからのメディアを考えていきます Twitterでの「原発発言」がネットで大反響】

■『週刊金曜日』(2013年4月5日、938号) / 青木理さんの【「片山祐輔被告は間違いなく無実だ」 パソコン遠隔操作事件の佐藤博史弁護士が激白】、「母親からの調書狙う」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/965c4b3a27c85886e3d5de6391bf89c2)、「悪魔の証明を要求」

■『週刊金曜日』(2013年4月5日、938号) / 【大森藤子の政治時評/米軍基地あるけど主権回復? なぜいま国民栄誉賞? とか考えない。めでたい。誰が?】、「地位協定は改定できず、地元の反対を押し切ってオスプレイは飛び、それで本当に主権を回復したと言えるのだろうか」

■『週刊金曜日』(2013年4月5日、938号) / 【新連載予告/本多勝一編集委員の写真記録 「俺と写真」がはじまります】(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/s/%CB%DC%C2%BF%BE%A1%B0%EC)、3.11地震と東京電力原発人災で「カラ振りのままになっていた」連載がようやく陽の目を

■『週刊金曜日』(2013年4月5日、938号) / 清水竹人氏【きんようぶんか 本/脱原発に向けた叡智がここに】、『九州原発ゼロへ、48の視点 玄海・川内原発の廃炉をめざして』(木村朗=編、南方新書)の書評。3.11から何も学べない九州電力(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/s/%B6%E5%BD%A3%C5%C5%CE%CF

■『週刊金曜日』(2013年4月5日、938号) / 田島秀樹・小室等・三浦光紀鼎談【日本音楽史の奇跡「ベルウッド40周年」を語る 音楽が政治にモノを言い、社会や生き方に影響を与えた時代】、はっぴいえんど高田渡大瀧詠一細野晴臣、「放送禁止歌

■『週刊金曜日』(2013年4月5日、938号) / 柴山哲也氏【「大本営」へ先祖返りした記者クラブ・メディア】、2013年度報道の自由国別ランキング、なんと日本は53位! 岩本太郎氏【ネット右翼の黄昏? 「反・反韓デモ」結集、関係者の終焉発言も】、在特会(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/s/%BA%DF%C6%C3%B2%F1

■『週刊金曜日』(2013年4月5日、938号) / 浅野健一http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/s/%C0%F5%CC%EE%B7%F2%B0%EC)さん【あるまじき行為でも警官なら仮名 警視庁盗撮巡査長】、警視庁の公表基準とマスコミの実名報道
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●冤罪(その1/2): どんな力学が働いているのか?

2013年02月09日 01時00分16秒 | Weblog


山岡俊介さんのアクセスジャーナルの記事(http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/、2012年12月29日)で、和歌山毒カレー事件の林眞須美(林真須美)氏について。魚住昭さんの『魚の目』(http://uonome.jp/)に出ていた守大助氏の冤罪に関する一連の記事(http://uonome.jp/article/uozumi-wakimichi/2677http://uonome.jp/article/uozumi-wakimichi/2692http://uonome.jp/category/article/uozumi-wakimichi)で、こちらはまだ継続中。

 和歌山毒カレー事件林眞須美林真須美)氏にしろ、仙台の筋弛緩剤混入事件守大助氏にしろ、なぜ有罪が確定しているのか、理解できない。真面目に裁判官は審議しているのか? 妙な力学か、妙な思い込みか? 分析を委託された大阪府警科捜研の酷さ? 守大助氏についての冤罪の背景は魚住昭さんの記事で、今後、明らかになってくると思う。

   『●『週刊金曜日』(2012年10月19日、916号)についてのつぶやき
   『●冤罪: 筋弛緩剤事件の守大助氏
   『●兵庫県警調書捏造など諸々についてのつぶやき

 和歌山毒カレー事件事件の無茶苦茶ぶりは以下の通り。

   『●和歌山県警科学捜査研究所の鑑定結果捏造事件と
                     和歌山毒カレー冤罪事件、そして死刑制度
   『●『創(2009年7月号)』
   『●『創(2009年6月号)』(2/2)
   『●『冤罪File(No.06、2009年6月号)』

  「日本の司法の歴史は、絶え間ない冤罪の歴史」であり、それをそれを修正する力があまりに弱い。

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http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/、2012年12月29日】

2012/12/29
<記事紹介>「和歌山カレー事件に新展開!?  鑑定担当者が『証拠捏造』で退職」(『週刊朝日』1月4・11合併号)
執筆者: Yamaoka (6:40 pm)

 自治会の夏祭りに出されたカレーを食べた住民4名が死去したこの事件、林眞須美(51)の死刑が確定している(再審請求中)が、未だ謎が多いのも事実。
 林死刑囚は一貫して無罪を主張しているが、その最大の証拠とされるヒ素の鑑定を担当した科学捜査研究所の主任男性研究員が12月17日、証拠品の鑑定結果を捏造したとして書類送検されると共に、懲戒3カ月の停職処分を受け、同時に、依願退職したと『週刊朝日』が報じている。
 誤解のないように断っておくが、書類送検などの対象になったのは2010年5月以降の7件で、和歌山カレー事件のものは含まれていない。
 しかし『週刊朝日』は、この研究員は一連の捜査で、カレー事件の捜査時期に当たる98年から03年にかけての19件でも捏造があったことが発覚しているとして疑義を呈している。

・・・・・・。
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http://uonome.jp/article/uozumi-wakimichi/2677

わき道をゆく第11回
2013 年 1 月 10 日 魚住 昭

 仙台の筋弛緩剤混入事件を読者は覚えておられるだろうか。
 00年ごろ、仙台市の北陵クリニックで点滴溶液に筋弛緩剤が混入され、入院患者ら十数人の容体が相次いで急変したとされる事件である。

 宮城県警は01年1月初め、北陵クリニックにひと月前まで准看護師として勤務していた守大助氏(41)を逮捕。仙台地検は5人の患者(うち1人死亡・1人意識不明の重体)に対する殺人・殺人未遂罪で守氏を起訴した。
 この間、テレビはもちろん新聞も「背筋凍る“恐怖の点滴”」「20人近く容体急変 うち10人が死亡」などと大々的な報道を繰り返し、前代未聞の病院内無差別殺人に日本中が騒然となった。
 守氏は逮捕当日、犯行を認める調書に署名し、「待遇に不満があった 」「副院長を困らせたかった」と動機も供述したとされるが、3日後から全面否認に転じた。
 彼は裁判で一貫して「僕はやってない」と訴えたが、1審の仙台地裁、2審の仙台高裁ともに有罪を認定。08年2月、最高裁の上告棄却で無期懲役が確定した。
 それから4年後の今年2月、守氏の弁護団は新証拠を携えて仙台地裁に再審請求した。弁護団長の阿部泰雄さん(仙台弁護士会)は「この再審は勝てる。私たちが新たに出した科学的データで守君の無実を証明できる」と語る。
 もともとこの事件には不審な点が多かった。犯行の目撃者がいない。動機もはっきりしない。そして何より、患者の血液や点滴液から筋弛緩剤を検出したとする鑑定に重大な疑問があった。
 私は再審請求書を読んで 強い説得力を感じた。新証拠には有罪判決を揺るがす力がある。日本の司法の歴史は、絶え間ない冤罪の歴史だ。今も獄中で身に覚えのない罪科に呻吟する人が数多いはずだ。筋弛緩剤事件の真相を問い直す作業も無意味ではないだろう。
 何はともあれ新証拠の内容をご説明したい。が、その前に裁判で浮上した鑑定の疑問点を2つ挙げておこう。1つは筋弛緩剤を点滴ボトルに混入させるやりかたで果たして人を死に至らしめることができるのかという疑問だ。
 筋弛緩剤(マスキュラックス)は手術時などに静脈注射するもので点滴投与を想定していない。そのうえすぐに血中から排泄される(半減期11分)から、点滴でゆっくり投与した場合に効くかどうか、実際にはわからない。仮に効くとしても、膨大な量が必要だと専門家は指摘する。
 だが、裁判所は東北大名誉教授の「効くと思いますの証言だけで効果を認定した。本来なら効果が出るのに必要な量と時間の科学的立証がなされるべきだろう。
 もう1つの疑問点は鑑定のやり方そのものだ。宮城県警の依頼を受けた大阪府警の科学捜査研究所は「患者の血液や点滴液からマスキュラックスの成分・ベクロニウムが検出された」と鑑定した。
 その根拠はベクロニウムの標品(標準サンプル)と、血液・点滴液を比較分析した結果、どちらからも同じm/z258イオンが検出されたからだという。
 だが、専門家たちはベクロニウムからm/z258イオンが検出されるはずがないと断言する。科捜研の鑑定は科学の常識からかけ離れたも のだというのである。
 そんな時は血液や点滴液の残りを再鑑定すればシロクロがはっきりする。だが、科捜研は鑑定で全量を使い切って再鑑定をできなくしていた。血液や点滴液は鑑定に必要な量の何十倍、何百倍とあったにもかかわらずである。捜査の常識では考えられないことだ。
 弁護団は2審でベクロニウム標品の鑑定を求めた。m/z258イオンが検出されないことを立証するためだ。だが、裁判長はそれを却下し、わずか4回の公判を開いただけで結審させてしまった。
 今回の再審請求で弁護団が出した新証拠の柱の1つが、そのベクロニウム標品の鑑定結果である。
 志田保夫・前東京薬科大薬学部中央分析センター教授に依頼して実験してもらったところ、どういう条件下でもベク ロニウムからm/z258イオンが検出されることはあり得ないという結論が出た。
 つまり守氏の犯行の決定的証拠とされた鑑定結果が誤っていることが明らかになったのである。
 新証拠の2つ目は、00年10月末、北陵クリニックで点滴後に意識不明になった小学6年の女児についての長崎大医歯薬学総合研究科・池田正行教授の意見書だ。
 池田教授は女児のカルテや母親の供述などを詳しく分析した結果「容体急変の原因は筋弛緩剤の投与ではなく、ミトコンドリア病メラスである」と診断した。
 ミトコンドリア病は、細胞中のDNAの異変によって起きる急性脳症で、中でもメラスは脳卒中のような症状などを伴う。ただこの病気が知られるようになったのは90年代以降のことで、01年当時はまだ北陵クリニックや、女児が転送された仙台市立病院では知られてなかったという。
 女児は腹痛を訴え、嘔吐を繰り返したため北陵クリニックで受診した。その後、「物が二重に見える」と言って目をパチパチさせ、ろれつの回らないしゃべり方をするようになった。そして頭を左右に振り、手足の痙攣を起こし、脈が遅くなって心肺停止状態になった。
 これらの症状を全部説明できるのはミトコンドリア病メラスしかなく、目のパチパチや痙攣、心肺停止などはマスキュラックスの薬効と明らかに矛盾するという。
 池田教授はこの女児の症状について医師1000人にアンケート調査した。その結果、7割近くがメラスと答え、筋弛緩剤と回答したのはわずか3人だったという。
 阿部弁護団長は「北陵クリニックは当時、赤字穴埋めのため高齢者や重症患者を次々と受け入れていた。そのうえ救命措置ができる医師が辞めたので、容体が急変する患者が増えたのは当然のこと。その責任をすべて守君にかぶせた」と指摘し「この事件は、事件性のない冤罪なんです」と言った。
 私は千葉刑務所で服役中の守氏に会おうと思った。「無実の守大助さんを支援する首都圏の会」事務局長の藤沢顕卯さん(39)に頼み込んで手配してもらった。
 当日朝、JR千葉駅に国民救援会千葉県本部の岸田郁さん(42)が車で迎えに来てくれた。約10分で千葉刑務所に着き、古い煉瓦造りの門をくぐって中に入った。守氏との面会の模様は次号でお伝えしたい。(了)

(編集者注・これは週刊現代連載「わき道をゆく」の再録です。

参照文献・「人権と報道 連絡会ニュース第280号」「無実の守さんを支援する首都圏の会」サイト)
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http://uonome.jp/article/uozumi-wakimichi/2692

わき道をゆく第12回 
北陵クリニック残影
2013 年 1 月 18 日 魚住 昭

 千葉刑務所の面会室はとても狭かった。縦横1・5㍍前後のスペースしかない。
 そこに日本国民救援会千葉県本部の岸田郁さん(42)と岡山県本部の中元輝夫さん(75)と私が入るとすぐ、透明なアクリル板の向こうに元准看護師の守大助氏(41)が姿を見せた。
 緑色のズボンに灰緑色の作業服。頭髪は黒々としたスポーツ刈りで、顎の線がやや尖っている。
 十数年前の写真と比べると、痩せて引き締まったようだ。
「どう、元気?」と、岸田さんがまず声をかけた。
「ええ、元気です」。彼は椅子に腰を降ろしながら笑顔で答えた。
 顔は青白いが、声には張りがある。笑うと目尻に皺が何本か寄る。
 彼が仙台筋弛緩剤事件で逮捕されたのは01年のことだ。法廷で無 実を訴えたが、08年に無期懲役判決が確定した。現在、新証拠をもとに再審請求中である。
 許された面会時間は20分。しかも今回の面会の主役は岡山から来た中元さんだから、私は邪魔にならぬよう、彼らの会話に耳を傾け、守氏を観察することにした。
 中元さんが「いま一番やってほしいことは何ですか」と聞いた。
「全国の人たちに真実を広めてほしいんです。僕はやっていない。やっていないからこうして皆さんに会えるんです。やっていたら(後ろめたくて)会えませんよ」
 守氏は少し早口で言った。だが、声に刺々しさや苛立ちは感じられない。滑らかで落ち着きがあった。
 中元さんは「(新証拠で)冤罪が明白になったのに、日弁連はまだ守君の再審支援を決定していない。 対応が遅すぎる」と憤った。
 日弁連の支援は再審の成否にも影響する。いつになったら決まるのかと、守氏も気が気ではないだろうと思っていたら、違った。
「日弁連もたくさん冤罪事件を抱えて大変なんでしょう。それに日弁連の支援なしで再審開始決定が出た事件もありますから。もちろん僕は早くここから出たい。だけど、焦らず、ゆっくりやろうと自分に言い聞かせているんです」
 と、中元さんをなだめるように言った。優しげな笑顔を時折浮かべながら、相手の目をまっすぐに見る。これが、あの「恐怖の点滴男」だろうか?
 事件当時の集中豪雨のようなマスコミ報道でつくられたイメージと、目の前に座っている生身の人間との落差が大きすぎて、どうにも1つに重ならない。
 制 限時間が終わりに近づいたころ、彼は私の方を見て、
「いちばん悔しいのは、検察が証拠隠しをしていることです」
 と言い、こうつづけた。
東電OL殺害事件では被害者の爪のDNA鑑定をして最終的にマイナリさんの無実が証明され、検察もようやく無罪主張せざるを得なくなったでしょう。僕の事件でも検察が証拠を全部開示するよう裁判所が命令してほしい。そうすれば真実が明らかになる」
 確かにこの事件には「証拠隠しと疑いたくなることがいくつもある
 その1つは、守氏が犯行に使ったとされる筋弛緩剤の空アンプル(検察は19本あると主張)の開示を検察が拒んだことだ。替わりに出してきたのは8本、6本、5本に分けて撮った写真で、しかもロット番号が見えない角度から撮影されている。これでは本当に19本あるかどうかも分からない。
 そもそも裁判で犯行に使われた凶器(空アンプル)を開示しないことが許されていいはずがない
 もっとひどいのは鑑定である。北陵クリニックで容体が急変した患者5人の血液や尿、点滴液の鑑定は、宮城県警の依頼で大阪府警の科学捜査研究所が行った。
 科捜研は筋弛緩剤の成分・ベクロニウムの標準サンプルと、患者の点滴液や血液などを比較分析した結果、双方から同じm/z258イオンが検出されたから、点滴液に筋弛緩剤が混入されたのは間違いないと結論づけた。
 だが、法廷に証拠として提出されたのは、結論だけを書いた鑑定書のみだ。通常ならその結論に至るまでの様々な分析データを記録している はずの実験ノートは作ってない(科捜研)の一言で提出されずに終わってしまった。
 本当にまっとうな鑑定が行われたのか。意識不明の重体になった小学6年生(当時)女児から1週間後に採取した尿の例を見てみよう。科捜研は尿から1㍉㍑あたり20・8ナノグラムの高濃度でベクロニウムが検出されたと言う。
 しかしベクロニウムは投与後24時間以内に尿中に排泄されるから、7日後に20・8ナノグラムもの高濃度で尿中から検出されることは科学的にあり得ない。それだけで鑑定の信用性は瓦解する。
 しかも科捜研は患者らの血液など全量を使い切って再鑑定を不能にしていた。これは「犯罪捜査規範」186条の「鑑識に当たっては、なるべくその全部を用いることなく一部をもって行い、残部は保存しておく等再鑑識のための考慮を払わなければならない」という規定を無視した行為である。
 さらに今回の再審請求で、ベクロニウムの標準サンプルからm/z258イオンが検出されたという科捜研鑑定の前提そのものが誤っていたことが立証された。
 なぜ、こんなデタラメな鑑定が行われたのか。弁護側の意見書を書いた長崎大の池田正行教授は「司法事故を考える」という自らのサイトでこう指摘している。
 いま世界標準となっているベクロニウム検出法は事件当時、確立されておらず、まともな鑑定は不可能だった。そのうえ試料の保存条件の悪さなど悪条件が重なり、「結局彼ら(=科捜研)はそれまでに自分たちで手探りで組み立てた『独自の方法』(略)しかなく、自分たちの方法でも実験条件を検討する十分な時間さえ与えられずに、とにかく結果を出さざるを得ない立場に追い込まれて、パニックになり、後でどうにも説明できない報告を出してしまった
 池田教授は5人の患者の症状から見て「ベクロニウム中毒」は誤診だとはっきり言い切っている
 だとしたら、北陵クリニックで患者の容体急変が多発したのはなぜか。あるいは裁判所がそれほど明白な欠陥鑑定を根拠に守氏に有罪を言い渡したのはなぜか。その理由をきちんと示してくれと、読者は言われるだろう。
 守氏に面会して数日後、私は仙台市郊外の北陵クリニック(01年3月閉鎖)の元敷地に立った。
 JR仙台駅から北北西に約10㎞。閑静な住宅街の外れで、周囲に林や田畑が広がっ ている。
 ここに91年、ベッド数19床の北陵クリニックが開業した。その経緯まで遡ると、事件の謎を解くカギが1つ見えてくる。(了)

(編集者注・これは週刊現代の連載「わき道をゆく」の再録です)
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http://uonome.jp/category/article/uozumi-wakimichi

わき道をゆく第13回 
Back to 91
2013 年 2 月 6 日魚住 昭

 仙台・筋弛緩剤事件の真相を探る旅をつづけている。
 今回は、事件の舞台となった北陵クリニック(仙台市泉区)の生い立ちをたどってみたい。
 クリニックの生みの親は、FES(機能的電気刺激)療法の権威として知られた東北大医学部のH教授(当時)である。
 FESは、脳卒中や脊髄損傷で動かなくなった手足に細い針金状の電極を埋め込み、そこにコンピューター制御の電気刺激を与えることで手足が再び動くようになるという“夢の治療法”だった。
 H教授はそのFES研究・開発の母体となる世界初の医療機関として91年、北陵クリニックを開設した。地域医療にも応じられるよう小児科、内科、整形外科などの診療科目も設けた。教授は国家公務員なので表には出ず、代わりに妻のI子医師(小児科)を副院長に据えて経営にあたった。
 FES治療の研究は98年、科学技術庁(当時)が進めていた「地域結集型共同研究事業」に認定され、国と県から巨額の補助金を得た。事業が成果を挙げれば、新産業が創出されるというので地元銀行・電力会社・医師会などの名士たちが病院理事に名を連ねた。
 ところが、地元の期待を集めたFES療法の開発はうまくいかなかった。保険が効かないので患者は1人200万円もの治療費を負担し、全身麻酔の手術にも耐えなければならない。
 そのうえ電極を埋め込んだ患部の衛生管理が難しく、治療効果もあまり思わしくなかった。このため電極の抜去を希望する患者が相次ぎ、当初は年間50例ほどあった手術数も年々減っていった。
 それに加えてFES以外の一般患者の数も多くなかったので、クリニックの経営は悪化した。97年8月に薬剤師がリストラされて不在となり、98年末には勤務条件などをめぐる経営側との対立で多数の看護婦が辞めた。99年度には、開設時の設備投資から累積した負債が13億円余に達した。
 後に患者5人の点滴に筋弛緩剤を混入させたとして殺人罪などに問われる元准看護師の守大助氏(41歳、無期懲役が確定。再審請求中)がH教授にスカウトされて北陵クリニックで働くようになったのは、ちょうどこの時期の99年2月のことである。
 翌00年4月、北陵クリニックで患者の生命に影響する重大事が起きる。常勤医のなかではただ1人、救命処置に熟達していた整形外科のT医師が退職したことだ。そのきっかけもFESである。北陵クリニックの看護師だったFさん(49歳)が語る。
「当時はもう(FESの電極を)埋め込む手術をする人は年間3~4人ぐらいしかいなかった。あとは患部が化膿したので(電極を)抜きたいとか、機械の動作が不良になったとかいう患者さんの方が多かった。そんな時にFESの手術を希望する(下半身麻痺の)女性が入院してきたんです」
 その女性はカヌーが好きだった。だが、手術を受けると電極が身体から露出した状態になる。そこに川の水が触れると、化膿する恐れがあった。T医師は「手術するとカヌーができなくなるよ」と彼女に言い、FさんもFESのリスクをきちんと説明した。女性は結局、手術を取りやめた。
「それ以前からFESの手術をあえてする必要があるのかと疑問に思うケースがあったんです。T先生も私も、患者から訊ねられると正直にリスクを話したので手術をやめる人が何人か出た。最終的にはカヌー好きの女性の件で厳しく詰問されたあげく、私は解雇通知を受け、T先生は解雇はされなかったが、退職せざるを得なくなった」とFさんが言う。
 救命処置に長けたT医師がいなくなり、北陵クリニックの医療態勢は急激に弱体化した。残った小児科のI子副院長は、ぜん息が重症化したときなどに気道を確保する気管内挿官ができなかった。
 T医師の退職直後の00年5月から容体急変で仙台市立病院に搬送される小児患者が相次ぐようになり、同年9月にはぜん息の5歳男児が死亡した。北陵クリニックの総婦長(当時)はその後、市立病院の小児科医からこんな電話を受けた、と後の公判で証言した。
「北陵クリニックから小児患者で突然に呼吸停止を来すような急変患者が続いているけれども、北陵クリニックの状況はどうなんだろうか」
 これに対し総婦長が「救急蘇生の上手な先生が辞めてしまったので」と答えると、その小児科医は「訴訟になったらクリニックとしても大変な状態になるんじゃないか。救急患者はあまりひどくならないうちに連絡をくれれば市立病院でいつでも診るから」と言った。
 その際、総婦長は「市立病院の救急外来辺りで研修という形で(I子副院長に気管内)挿官の方法を教えてほしい」と相談したと法廷で証言している。
 T医師とともにクリニックを去ったF看護師は5歳男児の死亡後、守氏から電話で「ついに死んじゃった子が出ちゃったんだよ」と聞かされた。I子副院長の日ごろの治療ぶりから推測して「ぜん息でしょ」とFさんが言うと、守氏は「エッ、もう誰かから聞いてるの?」と驚いたという。
 一方、北陵クリニックではその前年の99年7月から高齢者の容体急変・死亡例が増え始めていた。しかし、それにはまた別の理由があった。もともとクリニックは複数の特別養護老人ホームと提携し、医師が訪問して治療に当たっていたが、高齢の重症患者の入院は受け入れていなかった。
 だが、経営改善のため19床のベッドを極力満床にもっていきたいというH教授の指示もあって、高齢の重症患者も受け入れるようになった。親族の同意のもとに容体が悪くなっても転院させず、延命治療せずに最期を看取る方針に変わった。その結果、高齢患者の急変や死亡が増大した。
 看護師のFさんが言う。
「(北陵クリニックの非常勤の)院長先生と、(老人ホームを担当していた)内科の先生が2人とも立派な人格者だったので、『先生に最期を看取ってもらいたい』と言う高齢の患者さんがいたほどだったんです。そこにきて(経営方針の転換で)重篤な患者さんを多く受け入れるようになったから当然そうなっただけで、誰もおかしいとは思っていなかった」
 こうしてFESという金看板の下で経営難にあえぐ北陵クリニックの実情を知ると、守氏が患者たちの点滴に次々と筋弛緩剤混入したという事件は、やはり幻だったのではないかという根本的な疑問が湧く。彼はなぜ犯人として断罪されなければならなかったのか?その謎をさらに追いかける。(了)

(編集者注・これは週刊現代連載『わき道をゆく』の再録です。)
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●兵庫県警調書捏造など諸々についてのつぶやき

2013年01月15日 00時00分31秒 | Weblog


 兵庫県警調書捏造など諸々についての最近のつぶやき。脈絡無し。

 リツイートを受け、和歌山カレー事件林眞須美林真須美)氏についてもつぶやく。

 中谷宇吉郎博士・・・ついでなので、東京新聞のコラム「筆洗」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013011302000089.html)を末尾に。キルヒホフの名前から、全く意味は無いのですが、ハーバーや、また、ニセ科学との関係でファラデーの名前が思い出されました。

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■『英キャスター退去の請願認めず 表現の自由は「根本原則」』(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013011401001401.html)/「ホワイトハウスは・・・小学校で子供ら26人が死亡した銃乱射事件・・・個人の武装の権利を認めた合衆国憲法を攻撃したとして英国人キャスターの国外退去を求めた請願を採択しない・・・」

■『河口慧海の日記帳発見 中くりぬき遺書入り箱の鍵隠す?』(http://www.asahi.com/culture/update/0110/OSK201301100066.html)/「・・・19世紀末、鎖国下のチベットに日本人として初めて入った堺市出身の禅僧、河口慧海(えかい・・・)・・・。・・・研究者は「命がけの旅と覚悟していた慧海の心境がわかる資料だ」」

魚住昭さんの『魚の目』(http://uonome.jp/)に『橋下政治資金の不可解』という記事が3本出ている。「8割強がパーティー券あっせん 」、「秘書一族がパーティー券大量あっせん 」、「橋下市長特別秘書の奥下氏 業務内容記録ゼロ」

■『[CML 022051] 本日1/13(日) 第94回街頭行動:新宿アルタ前 午後3時 のお報せ:長岩』(http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-January/021884.html)/「・・・2013年、初アピールです。「原発廃炉」「戦争放棄」そして「子供たちの日本を取戻す」・・・」

■『[CML 022044] 「つながろうフクシマ!さようなら原発大行動」』(http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-January/021876.html …)/「・・・落合恵子さん、鎌田慧さん、澤地久枝さん・・「つながろうフクシマ!さようなら原発大行動」についての記者会見・・・http://sayonara-nukes.org/2013/01/130110/

冤罪 死刑執行飯塚事件についてCMLの記事。やはり飯塚事件について黒塗りでしか公開されず。やましいことが満載なのでしょう!! 『[CML 022031] 過去5年間に執行された死刑について朝日新聞が法務省に情報公開請求したところ・・・』(http://list.jca.apc.org/public/cml/2013-January/021864.html

ニセ科学としての「水伝」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/s/%BF%E5%A4%AB%A4%E9%A4%CE%C5%C1%B8%C0)を思い出す  「東京新聞コラム「筆洗」」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013011302000089.html)/「・・・中谷宇吉郎博士の名言だ▼雪の結晶の美しさに魅せられた博士は、どんな温度や湿度で、どういう結晶ができるかを調べ上げた・・・」

■アオコや赤潮植物プランクトンには応用できないのかな?? 『プラスチック主原料にミドリムシ 家電製品などに利用へ』(http://t.asahi.com/9cqf

■一体どういう発想なの?? 『国支払いの除染事業 健診・講習費 作業員持ち』(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013011302000086.html …)「・・・採用の際に健康診断や講習を受け、その場で費用を自分で支払ったり、いったんは業者が支払った後に「立て替え金」として給料から天引きされた人が多くいた・・・」

■これまでの原発推進の責任は? 単に原発推進したいがため! 『首相、宮城の被災地視察 復興加速へ決意』(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013011201001316.html …)/「亘理町の仮設住宅入居者ら約30人と懇談し、復興の加速化へ重ねて決意・・・首相就任後の被災地訪問は昨年12月29日の福島県に続き・・」

■常態化? 何でもやっていいと勘違い?? 『家宅捜索狙い調書捏造か 警部補らの動機解明へ』(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013011301001106.html …)/「・・・調書捏造事件で、虚偽有印公文書作成容疑で逮捕された容疑者・・・が、捏造した調書を基に暴力団関係者の関係先を家宅捜索しようとしていた・・・」

■「・・・書類送検などの対象になったのは2010年5月以降の7件で、和歌山カレー事件のものは含まれていない・・・」(http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/ 、2012年12月29日)

■「・・・しかし『週刊朝日』は、この研究員は一連の捜査で、カレー事件の捜査時期に当たる98年から03年にかけての19件でも捏造があったことが発覚しているとして疑義を呈している・・・」(http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/ 、2012年12月29日)」

■『●和歌山県警科学捜査研究所の鑑定結果捏造事件と和歌山毒カレー冤罪事件、そして死刑制度』(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/d41aa6ea58527c073c25b924c2ad55b5 …) 「・・・2010年5月以降の7件で、和歌山カレー事件のものは含まれていない・・・」(http://www.accessjournal.jp/ ・・・)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013011302000089.html

【コラム】
筆洗
2013年1月13日

 「雪は天から送られた手紙である」とは、中谷宇吉郎博士の名言だ▼雪の結晶の美しさに魅せられた博士は、どんな温度や湿度で、どういう結晶ができるかを調べ上げた。それにより、雪の結晶を見れば、遥(はる)か上空の様子が分かるようになった▼雪が天からの手紙なら、星からの手紙は光だ。光をプリズムに通すと、虹色の帯が見える。科学者はこの帯を読み解くことで、星はどんな物質でできているか、どう動くかを解き明かしてきた▼英国の作家サイモン・シンの好著『宇宙創成』によると、十九世紀ドイツの物理学者キルヒホフは、太陽の大気に金など重金属があることを確かめようとした。だが、取引先の銀行家は研究に理解を示さない。「地球にもって来られないというのに、太陽に金があったところで、何の役に立つのです?」。後に、その成果で金メダルを贈られたキルヒホフは銀行を訪れ言ったそうだ。「太陽から得た金です」▼宇宙創成理論の権威・佐藤勝彦さんが率いる自然科学研究機構が、ハワイに巨大な望遠鏡を造って地球外生命体の探査に乗り出すことになった。地球と似た環境の惑星を探し出し、その星が反射した光を分析すれば、そこに光合成をする生物がいるか分かるのだという▼惑星からの手紙は、宇宙のかなたで生命が育まれていることを知らせてくれるだろうか。便りが、待ち遠しい。
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●『ふたたび、時事ネタ』読了

2011年01月15日 00時00分22秒 | Weblog

『ふたたび、時事ネタ』、12月に読了。斎藤美奈子著。中央公論社。2010年6月、初版発行。
 全編、とにかく面白かった。想像以上の面白さ! 小田嶋隆さん的ユニークな視点。
 
自民党政権崩壊から政権交代後まで激動の3年間。帯から、「安倍首相のもと自民党が参院選で大敗した2007年、福田・麻生政権迷走の2008年、鳩山連立内閣が誕生した2009年、そして・・・・・・」。『DAYS JAPAN』のエッセイでおなじみの著者。

 安倍晋三氏についてしつこいくらいに(p.32、43、63、66、67、71、83、156、256)。
 麻生太郎氏(p.158、163、171、174、186、257)。自民党や国民のセンスの悪さ。
 石原慎太郎氏(p.49,136)。
 橋下徹府知事(p.108)。「・・・ああいう都知事を三選させた東京都民の私がいうのもなんだけど、懲りてません大阪も」。「大阪府知事の思いつき語録」(pp.141-143)プチ小泉改革、民尊官卑。
 
新自由主義路線(p.165)。
 
「検察の暴走と「小沢問題」」(pp.189-192)。
 
古賀選対委員長との対話での、東国原氏の「日本中があきれた瞬間」(p.216)。「土建化せんといかん」。

 
タウンミーティングのやらせ問題(p.11、38、64)。

 
「大悪」でなく「中悪叩きの法則」(p.22)。原発検査偽装事件など「大悪」をメディアが報じることはない。

 
「米下院も敵に回した意見広告の墓穴の掘り方」(pp.55-58)。「火に油を注いだ」意見広告。「・・・事実のねじ曲げ方以上に「墓穴の掘り方」「火事の広げ方」を学ばせて頂く格好の教材といえる」。ここら辺の発想や表現の仕方だたまらない。広告主には、愛知和夫・稲田朋美・河村たかし・西村眞悟・平沼赳夫氏らが。

 
原発推進派のアル・ゴア(p.84、86)。英国の裁判所では、あの映画『不都合な真実』について、「・・・科学的な誤りがあるとし、学校で見せる場合は、内容の偏りについて説明しなければばらないという判決・・・」。「あの映画は科学的というより、政治的なプロパガンダに近い、ともいえるのである」。
 一方、日本では、「原発は安全だといいきる裁判所の大胆不敵」(pp.87-90)。柏崎刈羽原発。東電批判、電力会社批判は、この国のメディアの大きなタブー。「安全性はもちろん、コストの面から考えても、事故が起こった際のリスクが大きい原発が有効な代替エネルギー源とはとうていいえない」。

 ロス疑惑の狂騒(pp.115-118)。推定無罪の原則なんてクソクラエの検察・警察・裁判所・マスコミ。この件に関して、こんなまっとうな論にはほとんど巡り会えない哀しい状況。
 「断固拒否したいです、裁判員制度は」(p.121)。
 「死刑制度が「プレゼン力」で決まる恐怖」(pp.126-129、132)。山口県光市母子殺人事件。「だとすれば一、二審の供述の方がむしろ「虚偽」だったのではないか」。綿井健陽さん、安田好弘弁護士。
 「和歌山カレー事件の判決は妥当か」(pp.200-202、208)。「・・・物証なし、動機も不明状況証拠だけで下された異例の死刑判決」。これも推定無罪の原則なんてこれっぽちも、誰もマスコミから声は上がらない。まさに「暗澹たる気持ち」。
 飯塚事件、「本人が否認したまま死刑が執行」(p.209)。

 田母神〝論文〟のお粗末さと「トップがこんなアホとバレては・・・」(p.167)。
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●『創(2010年9・10月号)』読了

2010年10月17日 04時54分29秒 | Weblog

『創』(2010年9・10月号)、9月に読了。

 「鈴木邦男さん顔面殴打出血!/7月3日、渋谷映画館前で「ザ・コーヴ」上映めぐる乱戦」(p.13)。「主権回復を目指す会」の弱い者イジメに対しての攻防。

  上杉隆氏、「『週刊ポスト』大反響キャンペーンの舞台裏/“タブー中のタブー”マスコミ官房機密費問題の闇」(pp.30‐38)。「マスコミが受け取ることの深刻な意味合い」、「「メモ上げ」など記者クラブ問題と直結」。野中広務さんの暴露。

 篠田博之編集長、「無事に全国上映開始/「ザ・コーヴ」上映中止騒動のその後の経緯」(pp.40-43)。
 鈴木邦男綿井健陽安岡卓治・針谷大輔・吉岡逸夫さん「公開日の夜、右翼も交え白熱応酬/「ザ・コーヴ」公開初日の怒号激論」(pp.44-55)。 

 佐高信さん「タレント文化人筆刀両断!/木村剛をさんざん持ち上げた田原総一郎ら」(pp.80-81)。「・・・木村を金融庁の顧問に抜擢した竹中平蔵である」。

 鈴木邦男さん「言論の覚悟/再審請求中!」(pp.82-85)。「和歌山カレー事件」の林眞須美さん。鈴木さんは「林眞須美さんを支援する会」代表。森達也さんの『死刑』安田好弘弁護士。

 森達也さん「極私的メディア論/第54回 ザ・ベストテレビとローカル局」(pp.90-93)。「たとえ賞を取ったとしても、ローカル局のドキュメンタリーは、なかなか陽の目が当たらない。・・・ゴールデン枠で放送したっていいはずだ。でもそんな英断はめったにない。/・・・視聴率獲得のコンテンツとして評価されていないことに加えて、・・・大スポンサーであるトヨタを強く批判した毎日放送の「夫はなぜ、死んだのか ~過労死認定の厚い壁~」(「地方の時代」映像祭08年度グランプリ)や日本中から批判された光市母子殺害事件弁護団のドキュメンタリー「光と影 ~光市母子殺害事件弁護団の300日~」(08年日本民間放送連盟賞報道番組部門「最優秀」賞)などのように、放送しづらい作品が多いからだ。/・・・間違いなく一つの要素だ。/志ある作り手たちは、まだまだローカル局には大勢いる。彼らを応援してほしい。彼らの作品を見て欲しい。/きっと、まだまだテレビは捨てたもんじゃないと思えるはずだ」。

 山本直樹・長岡義幸さんら「反対運動の当事者たちが一堂に会して/「非実在青少年都条例改定をめぐる大議論」(pp.98‐109)。

 星川淳さん、「[グリーンピース裁判]特別寄稿/「クジラ肉裁判」判決間近/税金ドロボーはどっちだ!?」(pp.122-127)。「・・・若い検察官(・・・志布志事件の担当・・・)は「NPOの分際で捜査機関さえ令状がなければできないことをやったのは絶対に許せない!」と啖呵を切った。私は〝正義の番人〟のはずの検察官が民主主義の真逆を口にする司法教育の崩壊ぶりに驚き呆れ、心の中で徹底抗戦を誓った」。「・・・青森地裁、仙台高裁、最高裁の全てが証拠開示の必要なしと判断した。原告側・弁護側が対等に争う条件である証拠の全面開示なしに、どうして公正・公平な裁判が可能だろう? 国策扱いの調査捕鯨を国家ぐるみで必死に守ろうとする姿勢は戦前・戦中を思わせる」。「・・・国際人権(自由権)規約に基づき、おおよそ次のように立論する。民主社会において一般市民やジャーナリストやNGO職員が公共の利益のために政府などの不正を明らかにしようとする際、やむを得ず法律の枠を踏み越えた場合は、その行為によって得られた公共の利益と、失われた法益とを秤にかけ、前者の方が大きければ許容(違法性阻却)されるべきだし、かりに形式上の罪を問うとしても過重な懲罰を与えてはならない。なぜなら、不均衡で過重な懲罰は市民による政府監視を委縮させるからだ、と―――。・・・西山事件や立川・葛飾ビラ入れ事件などについても同様なことがいえる」。

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]ぢぢ放談/第15回 常識なん知らない!」(pp.128-135)。「本質を衝かない大相撲賭博報道」。「矢崎 オレが気になったのは、川田龍平なんだよね。・・・みんなの党に入党しちゃった。/永さんもオレも彼が無所属だから応援したのに、一種の変節ですよ。彼が立候補したときに掲げた理念って、みんなの党の渡辺喜美とは絶対合わないはずなのに・・・。/ だいたい、みんなの党の「みんな」って押しつけがましいよね。「あんたの党」でいいんじゃないの(笑)/矢崎 みんなの党って、理念的には市場原理を重視する新自由主義でしょう。・・・おれからすると、ああいう漁夫の利で伸びてくるのが気持ち悪いナチスが誕生したときに似ている」。

 浅野健一さん、「本紙8月号鼎談をめぐって/「記者クラブ解体論」は過激すぎる!?」(pp.146-149)。「本多勝一さんは、記者クラブに入れない人たちが、人種差別、職業差別だと主張して、記者クラブと官庁を集団提訴しようという話があったが、実現しなかった」。
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●『官僚とメディア』読了(2/3)

2010年04月04日 07時07分14秒 | Weblog

魚住昭著、官僚とメディア

 耐震強度偽装事件(p.56)。小嶋進や篠塚明らに「ぬれぎぬを着せていることになる」(p.58)。姉歯氏の設計について、「今回の事件は、勉強不足のあほな建築士がきちんと検討されている合理的な設計の結果を真似しただけです。何故そうなるのかの技術的な裏付けをせずに形だけ真似をした(所謂偽造ですが)だけのことです。・・・。構造的なセンスが悪すぎます。・・・鉄筋が多ければいいという訳ではないのです」(p.80)。「ヒューザーと木村建設のマンションづくりが回を重ねるにつれ「経済設計のできる有能な構造設計者」として姉歯の評価を高めていった。実際には彼は荷重や地震力の入力値を減らして「熟練」を装ったにすぎなかったのだが、誰もそのからくりに気付かなかったらしい。ブラックボックス化した計算プログラムと、形骸化した建築確認システムが偽装を覆い隠してしまったからである」(pp.83-84)。
 「構造の専門家たちからの不信の声が上がった。・・・国交省に対する厳しい批判が相次いだ。・・・「国交省が『震度五で倒壊のおそれ』と発表したが、なぜそんなことが言えるのか? もし間違っていたら、国交省がやったことは計算書偽造よりもはるかに大きな犯罪になる」/「・・・まったく根拠がない。・・・耐震補強で対応できるものがたくさんあるはずだ」」(p.87)。オーバー、センセーショナルに走り過ぎ。マスコミバカ騒ぎ思考停止。「・・・自ら煽った偽装パニックの沈静化を図ろうということだろう。これではまるでマッチポンプである」(p.94)。
 「国策捜査」。「・・・なぜ、姉歯だけでなく、小嶋や木村建設の幹部たち、それにイーホームズ社長の藤田らが逮捕されなければならなかったのか・・・。/そう、彼らは事件の被害者であって、姉歯の犯行にはまったく荷担していない。あれほど大胆な耐震データ偽装が行われているとは夢にも知らなかったのである。もちろん・・・社会的あるいは道義的責任がある。だが、それは刑事責任とは別の位相のものだ。/・・・当初の見込みが大幅に外れ、大上段に振りかぶった太刀の降ろしどころが分からなくなった捜査員達・・・。ある意味では彼らもマスコミ報道の被害者だったのである。・・・/つまり事件関係者の身柄を拘束して、見せしめにするためのあからさまな別件逮捕である。言い方を換えれば、彼らが事件に関係して世間を騒がせたこと、あるいはマスコミ世論の指弾を受けたこと自体をけしからんとする「ケシカラン罪逮捕」である」(pp.97-100、101)。
 誤り、ウソ、ヌレギヌ、イメージによる当局の罪人作り(p.106)。「生贄として差し出されたのが小嶋であり、木村、篠塚であり、藤田たちだったというわけだ」(p.107)が、では「誰がトクをしたのか」。国交省の官僚たちの情報操作。「・・・流された情報の大半は国交省を発信源としている。国交省の担当記者たちはそれと気づかぬまま、(たぶんいまだにそうだろう)官僚たちの生き残り戦略に加担させられたのである」(p.108)。

 先日時効を迎えた國松孝次警察庁長官狙撃事件オウム元幹部が関与という〝特ダネ〟を放ったのは産経新聞(p.110)。警視庁公安部の捜査、東京地検の処分保留による釈放、「つまりこの事件の捜査は惨憺たる失敗に終わった・・・」(p.113)。「反省の弁はひと言もなし。過去にこれほど惨めな敗北」を「勝利」と言いくるめることができたのは戦時中の軍部だけだろう。もっとひどかったのは東京地検次席検事・・・被疑者の人権を尊重しなければならないという意識のかけらもないオウム信者は人間じゃないんだから煮て食おうが焼いて食おうが当局の勝手なんだと言わんばかりである。/警察検察にもまして惨めだったのは、公安当局のリークに踊らされた新聞テレビだった。素人でもデタラメだと分かる「・・・実行犯・・・・指揮官」説をさも真実であるかのように実名で報じてしまったのだから」(p.113)。大谷昭宏さんは「・・・なんて珍妙な捜査があるか」(p.114)。
 「客観報道主義は無責任主義の別名・・・。・・・河野義行さんのケース・・・」(p.118)。「地下鉄サリン事件和歌山カレー事件など重大事件が起きるたびにメディア・スクラム集団過熱取材)が繰り返される・・・」(p.119)。「・・・記者クラブ制度・・・。/・・・記者たちはいつのまにか権力との距離感を見失い、最も大事な批判精神をなくしてしまう」(p.120)。
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●『ドキュメント死刑囚』読了(1/2)

2009年12月15日 05時09分46秒 | Weblog

『ドキュメント死刑囚』、12月に読了。篠田博之著。ちくま新書。2008年8月刊。

 殺して何になる。平和の象徴どころか・・・。「・・・宮崎勤死刑囚に突然、刑が執行されたのだった。・・・大臣就任後、異常といってよいほどのペースで死刑を執行している鳩山邦夫法相の意向がなければ、こんなに早い執行はなかったはずだ。/・・・朝日新聞のコラムで死に神と皮肉られたことに怒り、・・・こう語ったという。「死刑囚にだって人権も人格もある」「(表現は)執行された人への侮辱でもある」/この人はいったい、自分がやっていることがわかっているのだろうか。死刑囚の人権や人格を究極に否定する行為が、死刑執行ではないか。/・・・こんな対症療法的なやり方が、本当に凶悪犯罪の防止につながるのだろうか」(pp.8-9)。
 小林薫被告について、「・・・恐らく彼は、家庭環境が違っていたら、あのような犯罪者にはならないですんだ人間ではないかと思う」(p.97)。これは3人に共通。特に宮崎死刑囚は「乖離家庭」だった模様。宅間守死刑囚の家庭にも問題があったようである。家庭と、倒錯した3人の心の闇。
 「「法で定められた〝控訴〟という手続きすら、一殺人犯の死刑判決を受けた身は非難の対象となり、してはいけない手続きなのか」/・・・弁護士宛ての手紙・・・文面には「なんで、あんな奴弁護するんや!」「死ね!」「金もうけやから弁護するんか!」・・・」(p.167)。無茶苦茶である。小林薫被告が「小学・中学と受けたいじめとなんら変わらない・・・」。

 宅間守死刑囚の悲惨な事件で、「・・・宅間の側に自分を投影して事件を受けとめた人がいるのを知って、私が驚き、認識を新たにしたのだった。/・・・弁護士に聞くと、・・・3割ぐらいは彼に共感を寄せたものもあったのだという。・・・/世間を恨み、復讐のためにあの残虐な犯罪を犯した宅間守に、自分を投影してみた人が少なからず日本社会に存在するというこの事実は、深刻に受けとめねばならない事柄だった」(p.177)。

 和歌山カレー事件の林眞須美被告(p.219)、「来年こそは、死刑執行のないことを願います」。安田好弘弁護士(p.223)。

 家族殺害に加担させられてしまった、北九州監禁殺人事件の緒方純子被告(p.224)。「・・・彼女を処刑することなど何の意味もないことを、最高裁は理解してほしい。/・・・鳩山法相の話などを聞いていて私が苛立つのは、その言葉に死刑という人間の生き死の決定に自分が関わることへの重たさが感じられないからだ」(p.229)。スイッチを人に押させて平気でいられる神経が理解できない。
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●『創(2009年7月号)』

2009年07月22日 07時53分45秒 | Weblog

『創』(2009年7月号)、7月に読了。

 篝一光さんの写真シリーズ「東京street!/第21回 東京の坂」(pp.12-15)。野清志郎さんの葬儀後数日の「たまらん坂」(多摩蘭坂)にも多くのファンが。

 佐高信さん「筆刀両断!/戦争ごっこボケの道化 田母神一座」(pp.86-87)。「・・・花田紀凱。『朝日新聞』批判で食っているが、ナントカの一つおぼえでそれをやってきた花田が一時、『朝日』の出している雑誌に入ったのはおそまつだった。呼ぶ方も呼ぶ方なら、入る方も入る方。タカ派で売っているが、・・・節操は、この男にはおよそないらしい」。「・・・曽野綾子を最大限に持ちあげている。しかし、・・・保守派を自認する・・・が、大江の『沖縄ノート』を曽野は「ものの見事に誤読」していると論証し、それに乗っかった秦郁彦や渡部昇一のいい加減さも暴露しているのである」。「要するに田母神らには、最初から「国民の生命」など頭にないのだが、私たちは、少なくとも、それは「ある」だろうと「誤解」しているから、話がこんがらがってくる」。

 鈴木邦男さん「言論の覚悟/よど号症候群」(pp.88-91)。「あさま山荘事件の時、解放された・・・さんは「犯人は紳士的だった」と発言した。・・・それ以来、・・・さんは一言も発言していない。・・・/ただ、シンパシーが生まれたのも事実だ」。「・・・こうした「共感・一体感」は当事者でないと分からない。日野原さんも、テレビで喋ろうとすると、遮られたという。・・・視聴者のイメージ(思い込み)に沿った<物語>を作りたいのだ。/こうした「ストックホルム症候群」と相反する言葉として、「リマ症候群」という言葉がある。これは、人質側に犯人側が共感し、影響を受けるのだ。・・・/・・・ゲリラは人質に銃を向けることができず全員が殺された。銃を捨てて投降した子供のゲリラ兵まで軍隊は皆殺しにした。この時、僕はTBSの「ニュース23」に呼ばれたので、「これは虐殺だ!」と言ったら、抗議の電話が殺到し、電話回線がパンクしたという。/・・・さんは「鈴木さんの言う通りです」と言っていた。人質を解放し、ゲリラは投降する交渉をしていた。それが実行される寸前に、軍隊は突入し、ゲリラ全員を殺した」。

 森達也さん「極私的メディア論/第44回 日本のメディアの不自由さ」(pp.96-99)。「韓国・・・彼女は言った。・・・「・・・だって捕まったばかりの人はまだ容疑者ですよね。・・・テレビのニュースなどで容疑者の名前や顔を見たことは、ほとんどないです」」。「でも今の日本のメディア・・・当たり前のようにその顔を撮り、名前や住所、職業なども屈託なく明かし、ただし手錠と腰縄だけには、しっかりとモザイクを忘れない。これが定型になっている」。「メディアだけではない。法廷における無罪推定原則も、和歌山カレー事件の判決を引き合いに出すまでもなく、まったく形骸化している。・・・/・・・無罪推定原則は、そもそもの立証責任は検察側にあることを示している。/つまり検察側が被告人の有罪を合理的に立証できないのならば・・・その段階で被告人は無罪となる。ならねばならない。/・・・だからこそ無罪推定原則は、数多くの誤判や冤罪を歴史的に繰り返してきた近代司法が辿り着いた必然であり、罪なき人をできる限りは罰してはいけないとの崇高な決意によって誕生したテーゼなのだ」。「・・・全裸事件から北朝鮮ミサイル問題、新型インフルエンザと、最近の報道の一極集中と過熱ぶりは、あまりに常軌を逸している」。「国境なき記者団が2008年度に発表した世界報道自由ランキング・・・上位を占めるのは、ノルウエーやアイスランド、フィンランドやスウェーデンなどの北欧諸国。これらすべてが、犯罪報道においては匿名報道を先駆的に取り入れた無罪推定原則を守る)国々であることは象徴的だ」。2006年の51位よりは上昇したとはいえ29番目の「日本のメディアの自由度はあきれるほどに低い。それは確か。でもそれは国家権力や企業サイドからの圧力ではなく、メディアが自ら招いた規制であり、自ら招いた不自由さなのだ」。

 「週刊誌編集長とジャーナリストの闘論! 週刊誌がこのままつぶれてしまっていいのか」(pp.104-121)。佐野眞一氏「『週刊新潮』には、櫻井よし子さんや福田和也さんなど、常連の寄稿家が何人かいます。あのコラムを持ちながら、誰も虚報問題を論じていない」。田島泰彦氏「・・・ひどいのが、オリコンをめぐる訴訟です。・・・雑誌を差し置いて、コメントを出した烏賀陽弘道さんというジャーナリストが訴えられた。個人がターゲット・・・」。佐野氏「・・・「出版」というのはパブリッシュ(pubish)―パブリック(pubic)という言葉の語源です。公共のものなのです。社会のものですよ。それを資本の論理で休刊させてしまう。『月刊現代』にしろ『論座』にしろ・・・少しでも闘ったのかどうか。その痕跡すら見えないわけですね。・・・/・・・賠償金高額化の問題ですが、「お前ら、泣きごと言うなよ」というのが僕の意見です。「しっかり調べないからだろ」と」。山口一臣氏「スタッフには常に「・・・訴えられることを前提として、それに負けないような取材をして下さい」とお願いしています」。北村肇氏「ネットがどう頑張ろうとも、新聞、雑誌がジャーナリズム性できちんと勝負すれば負けるはずがない」。

 篠田博之編集長「林眞須美さんは死刑の恐怖を切々と訴えた/確定死刑囚は「死」とどう向きあうのか」(pp.122-131)。「成果が大きかったのは「フォーラム90」が昨年10月に実施したアンケートだ。・・・福島みずほ議員の協力を得て実現したのだが、78人の死刑囚から回答が寄せられた」。

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]のぢぢ対談 第3回/選挙なんて知らない」(pp.126-134)。麻生首相について、矢崎さん「あの人は教養だけの問題じゃなくて、人間としての品性が卑しいでしょう」。城山三郎さん『粗にして野だが卑ではない』元国鉄総裁石田禮助さんを思い出す。
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●『冤罪File(No.06、2009年6月号)』

2009年07月16日 07時59分25秒 | Weblog

冤罪File』(No.06、2009年6月号)、6月に読了。

 巻頭インタビューは森達也さん、「死刑に本音で向き合うことを余儀なくさせた、冤罪死刑囚との「出逢い」」。(p.2-9)。4大死刑冤罪、免田栄さんの熊本での事件、財田川事件・松山事件・島田事件。「・・・存置派も廃止派も、「償い」という言葉をあまりにも安易に考えすぎている。/・・・社会全体がまるで被害者になり代わったような気分になって、加害者を死刑にしろ、と叫ぶ・・・/・・・他人がそんな簡単に共有できる訳がないんです。・・・被害者に対して不遜だし、失礼です」。裁判員制度について、「害悪をまきちらす以外にまったく意味がない制度になりかねないと思います。/・・・改革すべきことは他にいくらでもある。・・・/このまま見切り発車となれば、整備不良の車で高速に入るに等しいことです。/・・・冤罪を防止するための方策には全くなりえていません」。まったく同感。「・・・まず代用監獄から手をつけなければならないと思いますが、それは全く手付かずです」。「・・・公判前整理手続きが密室でおこなわれ、公判が始まれば弁護側の新たな証拠提出も認められない。一方で証拠を握っている検察は、その全面開示の義務はない」。裁判員制度下で死刑判決を出すということは、どういうことなのか? さらにそれにのしかかる守秘義務。冤罪事件であることが間違いのない袴田事件の一審裁判官だった熊本典道さんが、無罪心証を持ちながら死刑判決を出し、何十年も苦しんできたことに関連して、「彼は職業裁判官だったのに・・・苦しんできた。裁判員制度では、それを普通の市民が抱えることになるかもしれない。しかもそのつらさを妻にも夫にも言えないのです」。最後に、メディアも含めた組織的な構造の問題であることが強調。「・・・組織が病理をかかえていることを認識しないと冤罪がなくなる筈はないのです。/・・・悪い警察官や検察官がいるから冤罪がおきるのではない。組織がそういう構造になっているからです。・・・/さらに今のこの国は、メディアを媒介にしながら犯罪者への憎悪が深まることで、冤罪の構造が変わってきています。その典型が和歌山カレー事件の林眞須美さんです。自供もなければ物証も何もない。かつてならこれで死刑はありえなかったと思います」。

 片岡健氏「最高裁は果たして公正な判断を下せたのか!? 不明な動機、作られた目撃証言、疑惑の証拠「ヒ素」/あなたが裁判員だったら死刑判決を下せますか!? 「和歌山毒カレー事件」全真相」(pp.18-31)。

 江川昭子さん「名張ブドウ酒事件/死刑確定から37年・・・裁判所は誤りを正し、ただちに再審開始を決定せよ」(pp.18-31)。「こういう態度からは、裁判官たちの関心は、一人の無辜を救うより、過去に出された判決を維持する方にあると思わざるをえない。/最高裁も、・・・決定を支持。・・・断言した。/・・・裁判官の「常識」は、実にしばしば一般人のそれと異なる」。

 「1954年に山口県で起きた一家6人殺しの仁保事件と呼ばれる冤罪事件があります。岡部さんという当時37歳の男性が別件逮捕され、4カ月にわたる勾留の後に「自白」してしまいます。一審死刑でしたが、最高裁で差し戻しとなり、後に無罪が確定しています。/この事件は、取り調べの録音テープが残っているという点で、人がなぜ嘘の自白をするのか研究する上で貴重な資料です」(p.58)。松下センセの係わった事件。

 里見繁氏、「現役テレビプロデューサーの「取材現場発!」 冤罪・浜松幼児せっかん死事件/検察が隠し続けた自白テープ」(pp.62-81)。リード部、「冤罪に巻き込まれた一人の人間の人生を20年近くに亘って奪い続ける日本の司法制度は機能不全に陥っている。土台から腐っている」。交際中の男性を誤認逮捕。母親の折檻死事件と知りつつ、検察が隠蔽。母親の自白テープが法廷に提出されたにもかかわらず、裁判官は無視し、その後も詭弁を連発。その母親と、捜査に係る刑事との不可解な交際や、免停のもみ消し工作など無茶苦茶の連続。「「疑わしきは被告人の利益に」という刑事司法の建前は今や「風前の灯」だが、最近の科学鑑定について裁判所は「わからない理論は検察の利益に」という姿勢を貫いている。DNA鑑定などに対する裁判所の対応を見ていると、そう考えざるを得ない」。菅家利和さんの足利事件冤罪を見ても明らか。

 柳原三佳さん、「「高知白バイ死亡事件」最新速報/「本件事故は、高知県警の暴挙による重大な謀略事件である」(訴状より抜粋)/獄中で冤罪を訴える元運転手・片岡氏が、ついに県警を提訴!」(pp.92-93)。片岡さんの支援者は、「片岡さんに罪をなすりつけたことはもちろんですが、大人として、子を持つ親として許せないのは、一連の行為が22名の中学生の前で行われたということです。生徒達に警察や司法への不信感を植えつけた責任は問わなくてはなりません。大人として、同じ親として恥ずかしくはないのか!? と彼らに問いかけたいのです」。
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●『創(2009年4月号)』(1/2)

2009年07月15日 07時25分57秒 | Weblog

『創』(2009年4月号)、6月に読了。

 巻頭カラー頁「最高裁判決間近! 和歌山カレー事件の寒々とした風景」(篠田博之編集長、pp.18-19)。バカ騒ぎ・張り込み・覗き見を煽るマスコミ、壁に落書きし続ける不届き者、2階まで落書きがびっしりとされた家・・・。自宅は、その後、放火。結局、安田好弘弁護士の主張に耳を貸すことなしに、最高裁は死刑判決を支持するという誤判。証拠や自白無し、伝聞・噂のみによる死刑判決。動機無き被告にも関わらず。
 news eye、今西憲之さん「この3月に定年退職はするけれど/愛媛県警「裏金告発」仙波敏郎氏の闘いは続く」(pp.28-29)。

 佐高さんの「筆頭両断!/「三百代言」「三百面(づら)竹中平蔵」(pp.82-83)。「・・・竹中が「日本のリーダーとして、最も信頼している」小泉純一郎の庇護の下、郵政民営化ならぬ会社化は強行され、いま、「かんぽの宿」の売却疑惑が暴露されて、私物化が明らかになっている」。耳障り良い『民営化』は、所詮、『私企業化』・『私物化』である。「・・・竹中の行くところ、疑惑が渦巻くのである」。

 香山リカさんの「「こころの時代」解体新書/中川財務相は「心の病」なのか」(pp.84-87)。「・・・「辞任の理由は体調不良」の線で切り抜けようとした。政策がブレることで知られる麻生首相としては、目を見張るほどの一貫性である」。「・・・ひとえに、自分でアルコール摂取をコントロールできないことに、その原因がある。・・・摂取量は増える一方で、・・・いわゆる病的酩酊のレベルに達していたにもかかわらず、飲酒を続けるというのは、これはどう考えてもアルコール依存症と言わざるをえない」。「・・・〝病気の人を責めるな〟式の意見も目につく。/2004年にイラクで人質になった若者たちが、その壮絶な体験がトラウマとなりPTSDに苦しんでいると報じられたときは、自己責任大合唱であったのに、それから5年のうちに日本社会も体調不良や心の病気にずいぶん寛大になったものだ。/ただ、その〝寛大さ〟は今のところ、なぜか権力の担い手やセレブにばかり向けられているようである」とシニカルに。

 鈴木邦男さん「言論の覚悟/報隊の悪夢」(pp.88-89)。『週刊新潮』による、トンデモナイ大誤報・ガセネタによる赤っ恥。阪神支局記者の遺族への侮辱的行為。映画『ポチの告白』についても。
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