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ザ・インタープリター 2005年 イギリス

2010-06-29 | ミステリー&サスペンス
国連会議の通訳者シルヴィアは、アフリカ、マトボ共和国大統領の暗殺計画を偶然耳にしてしまう。
その囁き声は、彼女の出身地で聞くことのできるクー族の言葉であった。

故米原万里氏がロシア語通訳者であった頃、国際会議で同時通訳をしていたときの悲喜こもごものエピソードを記した著書を前に読んだことがある。
言葉から言葉への変換というのはとても奥深い作業であり、中でも同時通訳という技術は、相当な訓練を要する。
通訳のエキスパートを今回演じたのが、ニコール・キッドマンであった。

陶器のような肌合いをもっていそうなニコールは、インテリっぽい容貌もマッチする。
だが容貌とは別に、演技としてみると、ミスマッチなのであった。
シークレット・サービスのケラーにショーン・ペン。
思えば、アカデミー受賞者同士の共演だったんだが、どうもペンの方が頑張っちゃってて、同等の演技には見えないんだよね。
特に終盤近くの、彼女が大統領に銃をつきつけるシーン。
緊迫感がまるでなくて、ペンだけが踏ん張ってた感じすらある。
ニコールが演技派に見えないのは、やはりあのヒヤリと冷たそうな美によるものなのだろうか。
『めぐりあう時間たち』では、ある意味、“変装”をしたからよかったのかもしれない。
素であの地味さは出せなかっただろうから。

そもそも何故、題名が『ザ・インタープリター』なのだろうか。
事件の発端となる例の会話を聞いてしまったのが“通訳者”だったからか。
それがもし、清掃のおばさんだったらどうだったのか。(クー語がわかったかどうかはわからないが。)
個人的に付けるのなら、『ザ・リスト』とか、『初心忘るべからず』なんていいと思うがなぁ(笑)。


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