Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「ヒルダ・アダムスの事件簿」

2021-12-20 09:10:40 | 読書
M・R・ラインハート, 金井真弓 訳,論創社 (論創海外ミステリ 2020/11).

しばしばアメリカのアガサ・クリスティと称されるという著者 (1876 - 1958)だが,ぼく的には初体験.HIBK <- Had I But Known (もし、わたしが知ってさえいたら) 派の創始者だそうだ...浅学にして,そんな流派は知らなかった...

ヒルダ・アダムスは個人営業の看護婦 (今の言い方では看護士) で,依頼があった家庭に住み込みで働く.こういうシステムは日本にもあるのかな ? 職業がら いやでも家庭の内情に接してしまうことから,警察に頼まれて内偵をつとめることになる,いっぽうでは依頼先の秘密を守ることが職業倫理だから,葛藤を感じている.刑事とのロマンスもほのめかされている.

A5 200 ページに『バックルの付いたバッグ』『鍵のかかったドア』の2中編.どちらにも悪意のある犯罪者は登場せず,殺人も起きない.でも結構ハラハラドキドキ場面もある.その目に見えない恐怖はコロナ ウイルスにも通じる,というのは良い宣伝だが,ネタバレにも通じる.
1959 の原著刊行だが,スマホがなかった時代ののんびりした空気感が快い.

原題 Miss Pinkerton, Adventures of a Nurse Detective について,訳者あとがきに記載がない.Wikipedia によれば 1932 制作の Miss Pinkerton なる,看護婦が殺人事件に巻き込まれるという喜劇映画があったという.遡れば,1850 年代に設立されたピンカートン探偵社に行き着くようだ.

図書期で借用.



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