Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ビル・エヴァンスとボブ・ブルックマイヤー 「アイヴォリー・ハンターズ」

2010-06-30 08:50:41 | ジャズ
キース・シャドウィック「ビル・エヴァンス ミュージカル・バイオグラフィー 」シンコーミュージック (2010/2)
を書店で立ち読みした.
写真のアルバム「アイヴォリー・ハンターズ」を意外に大きく取りあげていた.1959年の「ポスト・モダン」だそうだ.

ボブ・ブルックマイヤーはヴァルブ・トロンボーン奏者で,多くの人にはジェリー・マリガンやジミー・ジュフリーのサイドマンとしての印象しかないだろう.
その彼がビル・エヴァンスとピアノ・デュオという異色盤.発売当時は,ブルックマイヤーがいない方が良いというのがおおかたの評判だった.でも トロンボーのカルテットよりこちらのデュオがよかったと思う.ブルックマイヤーの音楽家としての懐の深さが感じられる.

じつは一曲目の Honeysuckle Rose を iPod でよく聴いている.テーマは輪唱ならぬ輪奏で,2台目のピアノが1台目から忠実に4小節ずつ遅れる.高級に言えばカノン,フーガだが,「静かな湖畔の森の影から...」の要領.ピアノの音色はふたりでだいぶ違うが,ビル・エヴァンスのほうは「手癖」から判断できた.
その後パーシー・ヒース b ,コニー・ケイ ds が活躍するが,MJQ のときよりリラックスしていて,ときどき 後年のラファロ - モチアンのエヴァンス・トリオを思わせる瞬間がある.

もっともぼくの評価では,ジャジーに面白いのはこの一曲で,あとは悪くないという程度.前から腹案があってのアルバム作りだったとは思うが,急ごしらえのバンドではやはり限界があるのだろう.ちなみに,ピアノデュオ中心で行くことはレコーディングの時に決めたらしい.

ビル・エヴァンス - ジム・ホールの Undercurrent でも,面白いのは My Funny Valentine だけだったと思う.
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ジミー・ヒースの自叙伝

2010-06-28 16:01:19 | ジャズ
Jimmy Heath: I Walked With Giants: The Autobiography of Jimmy Heath, Temple Univ Press (2010/1/28).

ジャズサックス奏者ジミー・ヒースはヒース三兄弟のまんなかで,兄はベースのパーシー,弟はドラムのアルバート.他のふたりに比べると背が低く,Shorty と呼ばれている.彼が作曲した曲,Big P はパーシー兄ちゃんのこと,好んで演奏する Prince Albert (ケニー・ドーハム,All the Things You Are と同じコード進行) はアルバート坊やというところか.
息子はマイルスのバンドにいたムトゥーメ.

現在はCUNY ニューヨーク市立大学? クイーンズカレッジの教授.この本もハードカバーの学術書と見まがうような装幀で,大学出版会から出ている.

自叙伝のタイトル I walked with giants は,パーカー,マイルス,コルトレーン等と同時代を生きて来たという意味.
ジミー自身の文章と,彼と交流があったジャズメンなどからの聞き書き?で構成されていて,どこから読んでもおもしろい.

たとえば,リー・モーガンが女の子に撃たれた場面とか.

たとえば,若かりしミルト・ジャクソンはヒースの家に遊びに行くと,「餓鬼とも静かに聴け」といってパーシーSr すなわちジミー達の父親がチャーリー・パーカーのレコードをかけてくれた...とか.

50 年代後半は麻薬でほとんど人生を棒にふっている.麻薬を止めた後も監視されていて,マイルスに誘われてもツァーに参加できなかったり,である.この経験が活かされたのか,それとも麻薬にはまらなかったらもっと順風満帆だったのか,それはわからない.

外からみれば,そろっておとなしく,出しゃばらないヒース 3 兄弟で,ジャズメンのなかの評判はとても良い.
でも兄弟でバンドを作ったとなると話はべつ.この当時の兄弟の確執については,ドラマー アキラ・タナがわりとあけすけに語っている.結局パーシーは面倒なことは全部ジョン・ルイスに任せるのがいちばん楽 (ギャラも4等分だし?) と考え,やはりバンド経営が面倒くさくなったミルト・ジャクソンと MJQ に復帰,Heath Brothers は終わってしまう.

彼のテナーは音は派手だがフレーズは正統的.ビッグコンボくらいの規模のアレンジが得意.On the trail, Really big など,彼の CD はメンバーも曲もその並べ方も,どれもよく考えられている.
巻末にディスコグラフィなどのデータがそろっている.作曲では組曲構成のものも多いが,Gingerbread Boy, Cloak and Dagger, Bop again などの短い曲がぼくは好き.
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御堂筋線江坂の田圃

2010-06-26 11:02:02 | エトセト等




大阪の地下鉄御堂筋線江坂駅から徒歩2分の田園風景.このたんぼだけが孤塁を守っている.
ちなみにうちの近所 - 山陽本線白市駅 - では,たんぼがつぶされてスーパーになるらしい.
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早く弾けば聴こえて来るもの...

2010-06-25 08:00:43 | 新音律
これは
W.A. Sethares "Rythm and Transforms" Springer (2007)
による,ポリリズムの説明図.ふたつの同心円が打楽器を打つタイミングを示す.

(a)は外が3拍子,内が2拍子.これをゆっくり♩=30くらいで一緒に刻むと,ガムランには良くあるはぐらかされる感じ.ところが倍くらいのテンポにすると「ぽんぽぽぽん ぽんぽぽぽん」とリズミカルな繰り返しが聴こえる.
(b)は3拍子2拍子のくみあわせは同じだが,すこしずらしたもので,これも早く打てば「ぽぽんのぽんのぽぽんだよ」の繰り返し.
(c)は4拍子3拍子で,「ぽんのぽぽんぽのぽぽだよ」の繰り返し.

もっと単純化すると,2拍子1拍子になるが,それでも早さを変えてみるといろいろな効果が見えてくる.
http://www.brl.ntt.co.jp/IllusionForum/a/rate/ja/index.html


次のTop 10 Incredible Sound Illusionsというページ
http://listverse.com/2008/02/29/top-10-incredible-sound-illusions/

の 9 番目の例は,リズムではなくメロディ,Phantom Melodies にあるふたつの mp3 は,ゆっくり弾いては分からないが (ピアノのつまらない練習みたい),早く弾くとメロディが浮かび上がって来ることを示している.

脳の中でどのくらい前のことまで関連づけて認識するか,という問題だろうか.
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長谷川潾二郎「猫」

2010-06-23 08:20:44 | お絵かき
この安心しきって眠っている猫の絵は記憶していた.NHK の日曜美術館で画家がわかった.回顧展がこの近くでは下関であるそうだが,図録を Amazon から購入.

画家は4人兄弟で,兄は丹下左膳の作者・海太郎(牧逸馬=林不忘=谷譲二),すぐ下の弟・濬はロシア文学者で詩人,末弟は長谷川四郎だそうだ.

画集を見て J 子も,その絵描きのおともだちも,「ルソーみたい」と言ったが,ルソーにくらべはったりがなく,ずっとまともに思えた.

もう1枚の「猫と毛糸」の猫も,きかん気でかわいい.

風景画の人物はみな静止しているようだ.

初期のものを別とすれば,どの絵もキャンバスの地肌が見える描きかたで,抑制された感じ.

たいてい数号の小さな絵だが,それに何年もかけるというのが凄い.

巻末の「写生を見る人々」と「タローの思い出」という長めの随筆が,達意の文章.
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波の会 展

2010-06-21 08:26:05 | お絵かき
県民文化センター地下 6/21-27.

私の CD ケース絵も展示していただくことになった.

「犬・猫・ヴァイビストたち」
右中央のストレッチポーズさんは A・U さんと同居しているらしい.

ヴァイビストのひとりは Milt Jackson の若いときの写真.あとはご近所のお子さんなど.似すぎて肖像権問題がおこったらまずいと思ったが,取り越し苦労であったようだ.

額縁を作るのに苦労した.
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カラオケと絶対音感

2010-06-19 09:13:32 | 新音律
ダニエル・J. レヴィティン 著, 西田 美緒子 訳「音楽好きな脳―人はなぜ音楽に夢中になるのか」白揚社(2010/03)
に記述されていた,著者 (認知心理学者) 自身による実験の結果.

音楽を専門としない40人に好きな曲を記憶だけで歌ってもらい,そのうち良く知られたレコーディングがひとつだけあるスタンダードな曲を歌った例について,被験者のピッチとテンポをしらべたところ,レコーディングとほとんど一致した.

この実験に出てきたスタンダード曲とは,ベイシア「タイム・アンド・タイド」,ポーラ・アブドゥル「オポジット・アトラクト」,マドンナ「ライク・ア・ヴァージン」,ビリー・ジョエル「ニューヨークの想い」等で,実験の TPO を反映している.被験者たちは歌手独特のかすれ声,シンコペーションなどのこまかいニュアンスもそのまま再現する傾向があり,元の歌手によるものとと被験者の歌をステレオの両チャネルで聞くと,一緒に歌っているようだったという.

日本でカラオケファンを対象に同じ実験をすれば,北島三郎や小林幸子の歌についても,同じ結果が出そうである.

自分の記憶を遡ると,「何時の時報」というのはラジオで一時間毎に放送されていて,たいていの子が時報のものまねができた.あれはぴったり周波数があった声を出していたのだろうか.

かってのベストセラー「絶対音感」の帯では,ある音を聞いたときに,ほかの音と比べなくてもラやドといった音名が瞬時にわかる能力を絶対音感と定義していた.
レヴィティンの実験から類推すると,たいていの人は,ある音を聞いたら,自分が好きな曲を胸の中で歌ってみて,そのメロディの中に今聞いた音とおなじ高さを探すことができそうだ.こういう手順を踏めば,(好きな曲があるという程度に音楽好きな人には) たいてい絶対音感があることになる.

絶対音感とは,音の高さを記憶する能力ということになる.実質的には絶対音感があっても,専門的な音楽教育を受けていないから,それをドレミ...に翻訳するできないだけ という人なら多数存在するだろう.
この「無自覚絶対音階のひと」が定量的にどれだけか, レヴィティンの本からは読み取れない.40人という数字はあるが,お手本がはっきりしたスタンダードは何曲で,ピッチが何セントまで合っていたか,などを知りたければ原論文を読む必要がある.でも少なく見積もっても10-20%というところか.

かくいう私は久しくカラオケをやったことがない,
Miles の Bag's Groove をハミングして,キーを CD と比較してみようか.

追記 最近のレヴィティンによるこのテーマの学術スタイルの論文
Daniel J. Levitin and Susan E. Rogers "Absolute pitch: perception, coding, and controversies", TRENDS in Cognitive Sciences Vol.9 No.1 January 2005
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広島市民球場跡をサッカー場に?

2010-06-17 08:20:17 | エトセト等
サッカーでカメルーンに奇跡的勝利 !

じつはサッカー,に限らず,スポーツというもの全般に関心が薄い.
でも 広島市民球場の跡地が公園になって,都心が寂れるのはつまらない.

跡地をサッカー場にしたらどんなもんだろう.
どちらかといえば,正方形の野球場に長方形のサッカー場を押し込むという幾何 ? の問題として面白そう.しかしこの提案はすでにあって,青写真も出来ていた.(カットは http://www.plus-blog.sportsnavi.com/stadiumrenovation/article/22 より転載.)
広島サッカー専用スタジアム構想委員会のHP http://hiroshima-kop.under.jp/wp/?page_id=76にはもっと多彩な案.

もっと宣伝すればいいのに... それとも知らぬは俺ばかり かな.

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ニューヨーク大学 (NYU) のジャズ・クリニック

2010-06-15 08:25:53 | ジャズ
Jazz Master Class Series From ,NYU と称する一連の DVD が Amazon などで売られているが,数年前のものはじつはウェブで公開されている.

Jazz Master Class と言っても,修士の学位と関係はないらしい.著名なジャズマンが学生に実習のかたちでジャズを伝授する,要するにクリニックである.講師として登場するのは,クラーク・テリー,ベニー・ゴルソン,パーシー&ジミー・ヒース,ハンク・ジョーンズ,セシル・テイラー等.

じつは,やたらと長いので,まだハンク・ジョーンズヒース兄弟しか見ていない.この三人で生きているのはジミー・ヒースだけになってしまった.
パーシー・ヒースはこの翌年,骨肉腫 (骨の癌) で亡くなったが,このときも立ったり歩いたりが大変そう.いかにも黒人らしいしゃべりかた.日本では「知る人ぞ知る」存在だが,あちらでは big name だ

大御所と同じ舞台で,学生が御前演奏をしたり,一緒に演奏してもらったり.あとは講師へのインタビュー,学生の感想など.
ハンク・ジョーンズはモンクの Rythm-a-ning をやろう と言い出すが,学生の中には,この曲を知らないのがいたりする.

このサイトを運営しているのは,音楽教育を支援するための非営利法人 Herb Alpert Foundation で,あのティファナ・ブラスでヒットしたトランぺッターが私財を投じて設立したということだ.
アメリカのジャズは懐が深い
アメリカ固有の文化と言えば,ジャズ・ロック・カントリーetcしかない...といえばそれまでだけど.
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あの世への太鼓橋 - 丹波・白毫寺

2010-06-13 09:27:27 | エトセト等
もう ひと月も前になるが,研究室の旅行で行った丹波・白毫寺の太鼓橋.
初めて見たときは水車の下半分が隠れているのだと思った.横から見るとそれほどでもないが,正面からだと,猫でもなければ登れそうもない.

「この世とあの世を結ぶ橋」という意味の看板があった.急勾配は、悟りへの道のりの厳しさを表現しているのだ !
すぐ横にバイパス橋があって,渡ってみたが対岸もやはりこの世だった.

橋に屋根があるところはマディソン郡の橋みたい.

観光に熱心なお寺で,この季節の目玉は九尺藤だった.
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