Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

he/him と she/her

2016-09-30 09:48:18 | ジャズ


一杯機嫌の爺さんたちのテネシーワルツ.おばさんのフィドル入り.これがオリジナルのカウボーイ・ソングに近いと思う.

歌詞は

I was dancing with my darling to the Tennessee Waltz
When an old friend I happened to see
I introduced him to my loved one
And while they were dancing
My friend stole my sweetheart from me

だが,3行目の him を,パティ・ページも江利チエミも小川ひとみ (下の Youtube 動画) も her に変えて歌っている.
森進一や五木ひろしなどの,いわゆる女歌や,その逆の坂本冬美などの男歌,言うなれば cross-gender song は,あちらにはあまり例がないらしい.
ふつうの歌では,歌い手の gender に応じて,歌詞の he/she をいちいち入れ替える.

半世紀ほど,前初めてこの常識を認識した.タイトルがイパネマの娘から the boy from Ipanema に変換されていたのだった.




中学校で英語を習い始めた頃

She is a boy.

と発音する東京生まれの東京育ちだがいた (「ヒ」と「シ」の区別が難しかったのだ) .
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NHK クローズアップ現代 “軍事”と大学 ~岐路に立つ日本の科学者たち~

2016-09-29 09:14:30 | 科学
学生時代に,よくつるんでいた友人の長年の研究が NHK で紹介されるという情報が入った.「夢の扉」的アプローチを期待したのだが,豈図らんや,大学における軍事研究の一例にあげられたのだった.9/28 の放映で,dailymotion ではじめからおわりまで視聴できる.

もっとも出演 ? したのは友人ではなく,共同研究した北大の村井 祐一教授で,防衛省の「水中移動を高速化する流体抵抗低減」という課題に大学から応募し採択されたという.研究テーマは.乱流境界層にマイクロバブルを入れて摩擦抵抗を減らすことで,船舶の高速化と燃費向上をもたらす.軍事利用に限らず,釣り船であろうとフェリーであろうと,全ての水中移動に応用できる.研究成果は公開である.

きな臭い (硝煙の匂いがする) 研究費に手を出さざるを得ないのは,大学に降りてくる研究費の削減である.
研究費削減どころか,同じ北大について,「教授 205 人相当カットの大規模リストラ発表~ノーベル賞とか世界大学ランキングどころでない」というニュースが流れたばかり...でも地方大学への締め付けはもっとシビア.北大は旧帝大の一翼だから,まだマシな方なんじゃないの? というのは僻みだろうか.

番組ではノーベル賞の先生が精神訓話を垂れておられた.しかし金がなければ研究はできない.大学では,外部から研究資金を取ってこない理工系教授は無能というレッテルを貼られるのが常識である.学術会議も歯切れが悪い.
防衛省の助成はゼロとして,その分だけ文科省の予算を増やすべしと,なぜ発言しないのだろうか.文科省経由の研究費を頭打ちとし,代わりに軍事研究費に誘うのはある種のインボーだが,野党が頼りないのが困ったところ.

さて「乱流境界層にマイクロバブルを入れて摩擦抵抗を減らす」技術については,友人 (大学人ではない) の名前は番組に出なかったが,彼は実船に着けた実船実験により数式化したのだそうだ.この段階では防衛省とは無縁だったと推察する.論文はこちらです.村井教授はそれを物理実験により再現したとのことである.
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お灸と放射線治療

2016-09-28 09:01:25 | エトセト等


がんの放射線治療とは,要するにがん細胞を焼き殺すわけで,がんにお灸をすえるということだろう.熱くは感じないが,それなりの損傷は当然である.もっとも灸は火傷させることが目的ではなく,自律神経などに作用して内分泌に影響を与えて効果をもたらすのだそうで,ある意味 放射線照射より間接的にして文化的である.

昭和 10-20 年代の幼少時代には,悪いことをするとお灸をすえるよといわれるのが恐怖だった.
銭湯では,背中に賽の目の六の配列の火傷跡・化膿跡 すなわち灸の跡を自慢する年寄りがいた.

テレビのない時代にはラジオで落語を聞いて喜んでいたのに,父親は「寄席で見なければつまらん」とよく水を差した.たしかに,「蒟蒻問答」もそうだが,この「強情灸」もビジュアルでこそ面白い.

Youtube には先代小さんの「若いとき」というコメントがあったが,自分の記憶に残っている小さんはこんなものだ.高座でぶつくさ言っているだけであまり面白くないと思ったが,今見るとなかなかよろしい.
弟子・談志に手を焼いたり,圓生一派に落語協会を離脱されたりしたところをみると,師匠職・会長職はうまくなかったらしい...それにしては,弟子がたくさんいた.
夕食にちらし寿司を出前でとり,「うまかった.明日はいなり寿司にしよう」といって寝たが,翌朝になったら死んでいたという話を聞いたことがある.あやかりたい !
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強度変調放射線治療 IMRT (Intensity Modulated Radiation Therapy)

2016-09-27 09:47:12 | 科学
今月初めから前立腺がん再発の治療中
動画の例では患部は三日月型だが,この部分にもっぱら放射線が集中するように,照射口を体の周りで回転させる.さらに,照射口に取り付けられた MLC (Multi Leaf Collimators) と呼ばれる多分割絞りを同一照射野内で動かし,不均一な線量分布を実現する.
このアメリカ製アニメーションもうまくできている.

準備がけっこうたいへんだった.
照射中に身動きしないように,まず固定具作成.原理は石膏で型をとるのと同じだが,あれほど原始的ではなく,20分くらいで終わった.

この固定具を使用して CT 撮影.
この CT 映像をもとに,もっぱら患部に集中するように,放射線の軌跡.線量分布,MLC 操作などの計算機シミュレーションを行う.
しかし放射線の軌跡は直線だ.直線上に健康な臓器が,なるべく かぶらないように,臓器を配列したほうがよい (配列しなければならない).自分の場合このために照射時に必要なのが 1) 膀胱をいっぱいにすること,2) 直腸を空にすること の2点であると宣告された.
シミュレーションの結果をみて,患者の腹具合を変えて臓器を再配列し,CT を再度撮影し,それをまたシミュレーションにフィードバックするという手順を踏んだ.

治療は1日1回 2Gy ずつ,33 回照射する.土日祭日はなし.
毎回まず臓器の位置確認を行い,MLC を最適化する.放射線は 7 方向から照射.ベッドも微妙に動くが,もっぱらわが胴体を軸に照射装置がぐるぐる回る.

こちらは食事と排便排尿の時間を調整して治療に臨む. うまくいけば 15 分くらいで終了.これまでの経験では,直腸がガスで膨れていてまずかったことがあった.

設計値からの照射位置のずれは 100 ミクロン以下ということだ.しかし設計に際し仮定した場所にがんがいるかどうかは別問題.このあたりは物理の実験と似たところがある.

白血球低下,倦怠感・食欲不振といった副作用とは無縁らしい.2週間目あたり (今頃) から,照射や周辺の膀胱・直腸の損傷による副作用が出る可能性があるというので気が重い.
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世界でいちばん静かな場所

2016-09-26 09:30:48 | 科学

トレヴァー・コックス, 田沢 恭子 訳「世界の不思議な音」白揚社 (2016/5) は,文献リスト完備だが学術的・系統的ではなく,世間話集という感じの本だ.「世界で一番静かな場所」はこの中の一章.音に関する本で,無音に関する部分が面白いというのが面白い.

ここではジョン・ケージの「4分33秒」のことも書いてある.この曲では演奏者は舞台に出場し,楽章の区切りを示すこと (ピアノの場合は鍵盤の蓋を閉めたり開けたりするらしい) 以外はに何もせず,一定の時間が経過したら退場する.ここで16トンが思い出したのは,ジュークボックス中の静寂盤だった.案外,ケージ氏もジュークボックスからヒントをもらっていたりして...

もっとも,「世界の不思議な音」は科学の本で,サブタイトルは「奇妙な音の謎を科学で解き明かす」である.
ギネスによれば,世界一静かな場所はどことかの研究所の無響室で,背景音は -9.4dB だそうだ.しかし無響室でも何も聞こえないわけではない.自分の血液が体内を流れる音が聞こえるとか,音を聞こうとしても何も聞き取れないために脳がアイドリング・ノイズを生じ,これが耳鳴りとして実体化するという記述がある.
地球上では生物がいると静かな自然環境は得られない,その意味で南極大陸は静寂を聞ける場所である.ここの,地球上で最も不毛な干からびた谷間で過ごした体験者は「生命も存在しない,流れる水もなく,風の音も聞こえない,あの原始の「気配」はまぎれもなく衝撃だった」と語っている.無響室との違いは,閉塞感がないことだそうだ.
「フローティングタンク」という,外部の刺激から遮断された真っ暗なスペースで,濃い塩水に体を浮かせて感覚遮断を体験させる商業施設も紹介されている.この2ページ弱の体験記は読んでいただくしかないが,著者は後で時計を見て2時間も塩水に浮かんでいたことに驚愕し,脱水症状で虚脱感と吐き気を覚えたそうだ.
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芸術新潮 特集 こんなに凄かった! 長谷川町子と「サザエさん」

2016-09-25 09:09:55 | エトセト等

10 月号が出ると,この9月号が書店から消えてしまうので,あわてて購入.

単行本未収録の「サザエさん」が22編.これが面白い.今の新聞漫画がつまらないことを実感した.

長谷川町子は極度の人見知りだったそうだが,若いときの写真はとてもかわいい.

姉妹三人で戦後,闇市で紙を調達して出版社「姉妹社」を立ち上げサザエさんを出版...というのは,「とと姉ちゃん」とそっくり.この姉妹社のおはなしも熊谷真実主演で「マー姉ちゃん」として 1979 年に朝ドラになっている.タイトルも含め,「とと姉」は二番煎じ...というより,これが常套手段.好意的に言えば,同じコード進行で幾多の名曲迷曲があるブルースのようなものかもしれない.

単行本のサザエさんの画面が新聞のときに比べ横長なことを,長年不思議に思ってきた.下の図のように「版型にあわせるために」単行本用に書き足しているのだそうだ.窓の中が新聞らしい.助手がいたわけではないので,町子さんは忙しかったことだろう.



町子さんがこっそり書き溜めた純粋絵画があるとのこと.長谷川町子美術館に行けば拝めるのだろうか.
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1945年±5年 広島現代美術館 特別展

2016-09-24 09:45:15 | お絵かき
自分の年齢に換算すると,「0歳+10歳」.「戦争と復興:激動の時代に美術家は何を描いたのか」というタイトルが付いている.展示品 210 点で,とても疲れた.

この絵はチラシなどにも出ていて,
 小早川秋聲「国之盾」1944年(一部1968年改作)京都霊山護国神社蔵(日南町美術館寄託)
だそうだ.いやなタイトルだ.しかしこのように手を組んでもらったり,日の丸をかぶせてもらったり,おまけに絵に描いてもらった戦死者は幸運だろう.大多数はジャングルなどで泥と糞にまみれて餓死病死したが,そういう人たちは「美術」として残されない.
ここに展示された,多数の戦地風景にはキャンプみたいにのどかな絵が多い.
フジタには,もっとえげつない,劇画的な戦争画があるのに,それがない.香月泰男の場合も,戦地から内地の家族へ送った,ほのぼのとした絵入り葉書が展示されているが,シベリアの絵はない.

戦争に関しては,展示はきれいごとで,タイトルに対する答えは,「美術家はたいしたものは描か (け) なかった」と受け取られそう.

「原爆の図」の再制作版の展示が話題になっているが,ここで展示されているのは第一部だけ.どうせならオリジナル版と一緒に比較しながら見たかった.
でも赤松俊子 (丸木俊) メーデーのスケッチ等,原爆以外をテーマとする絵を見ることができた.

展覧会の解説は兵庫県立美術館のページが詳しい.印象に残ったのはこの,ピカソの「ゲルニカ」を思わせる山本敬輔「ヒロシマ」.

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ブロッケン現象

2016-09-23 09:10:21 | お絵かき


CD ケースに内側からアクリル絵の具.背景は裏蓋.
しめった感じを出したくて,間にプチをはさんでみた.実物はなかなかよろしいのだが,写真にしたらつまらなくなった.
虹の部分は,薄く溶いた絵具を置いて乾くまで待つという気の永いやりかた.
虹の中心と CD の中心をずらしたのが,良かったのか悪かったのかわからない,

三角山は Wikipedia から拝借した.ここの御嶽山王滝頂上の図は是非ご覧いただきたい.
でも,ぼくの絵のほうは全体としては心象風景.ブロッケンの虹は学生時代に見たきりだ.
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あっちの(元)会長 春風亭柳橋

2016-09-22 10:28:39 | エトセト等


J 子が「笑点」がご贔屓で,その影響で落語番組をテレビで探したり,Youtube でつまみ食いしたりしている.きのうは BS で襲名したばかりという橘家文蔵の「夏泥」.この方は文左衛門時代にバンドを演っていると聞いた.

寄席芸人の団体に落語協会と落語芸術協会 (かっては芸術協会) がある.学生時代にオチケンの友人がいて,こっちの協会,あっちの協会と区別していた.サークルがこっちの協会から指導されていたという義理もあって,あっちの協会は一段下に見下しているようだった.そのころのあっちの協会の会長が六代目春風亭柳橋であった.Wikipedia では好意的とは言えない書き方もされているが,たぶん落研 OB の執筆だろう.

あのお経を歌うような喋り方がなつかしい.
当時の芸術協会は新作落語中心とされていたが,ぼくが寄席に行くようになった頃は,柳橋は古典落語をきちんとしゃべっていた.蒟蒻問答も柳橋で初めて観た.自分がご幼少のみぎり,ラジオで落語を落語と認識したのはこの柳橋と三代目三遊亭金馬からだった.
しかし柳橋は数年のうちにみるみる しわくちゃになり,寄席では小話をみっつよっつ喋って引っ込むようになった.歳をとるとはああいうことなんだ,と今になって思い当たっている.

柳橋は NHK のとんち教室のレギュラーだった.この番組は大喜利の変形だが,笑点と違ってメンバーで落語家は他には桂三木助だけだった.

ところで Youtube で志ん朝の声だけを聞いたら,(あまりそっくりではないのだろうが) 志ん生とそっくりだと思った.晩年の志ん生がラジオを聴いて,息子 (志ん朝) もうまくなったと感心したが,実は放送されていたのは志ん生の録音だったと聞いたことがある.
小学生時代は古今亭ではなく「ぽこんてい」で,タヌキのようなオヤジが落語を喋っていると思ってラジオを聞いていた.
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にぎやかな落葉たち -21世紀はじめての密室-

2016-09-21 09:52:06 | 読書
辻真先,光文社 (2015/2).

Amazon の内容(「BOOK」データベースより)引用*****
北関東の山間にたつグループホーム「若葉荘」。世話人は元天才少女小説家。居住者は自在に歳を重ねた高齢者たちと、車椅子暮しながら筋骨隆々の元刑事と、身寄りのない彼の姪。賑やかで穏やかな日々は、その冬いちばんの雪の日、とつぜん破られる。密室に転がった射殺死体の出現によって―ホーム最年少の少女スタッフは、隠された因縁を解き明かし、真相に迫ることができるのか!?半世紀を超える筆歴を持つ日本一やんちゃな巨匠が、稚気と叙情と茶目っ気を縦横に駆使して描く、本格ミステリ長編! *****

普通に健全なミステリが読みたいと思っていたところ,図書館で手にとったら著者が 83 歳ということにも興味がわいた.老齢の作家のストーリー造りは,とかくつじつまが合わなかったりするものだが, これは期待を裏切り,期待通りに普通に健全なミステリであった.しかし悠揚とした展開,グループホームを舞台とすることなどは,このお歳の作家らしくもある.
「にぎやかな落葉たち」はグループホームの入居者たちのことらしい.「 21世紀はじめての密室」はちょっと...

本格ものの慣例に従いまず間取り図があるが,ダメ図面.中二階や屋根の構造がストーリーでは重要なのだが,一枚の平面図ではさっぱりわからない.つづく登場人物リストには死んだはずの人物が「生きていれば年齢」で載っていてミスリーディング.
はじめから殺されてもいい人物はそのように描かれていて,犯人そのものはバレバレだが,その後明らかになる因果関係はおもしろかった.密室造りには作為が目立つ.

日本語入力には (作家が) 最適と信ずる親指シフト・キーボードで書かれたとのこと.
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