Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

高校の学園祭

2024-07-22 09:01:09 | お絵かき
安井一隆 氏によるパステル画「戸山祭の正門風景」(2023/9).
東京都立戸山高校同窓会誌の表紙.安井さんは昭和 51 年卒とある (ぼくは昭和 35 年).本文には「パステル画と似顔絵の二刀流」と題するエッセイも載せておられた.似顔絵は大学卒業時からだが,パステル画は 50 の手習いとのことである.

正門からの道が長く遠いように美化してある.賑わしさも増幅されているようだ.
左の木々が隣接する女子学習院と区切っている.右側にも並木があり,いちいち描かれたその影が煩わしいようにも思う.

この高校は受験校だったが,どこかに戦前ののんびりした雰囲気を残していた.ぼくが認識している有名人な卒業生は,東條英機と浜口庫之助である.
この学園祭の演劇で死神を演らされて,イヤだった.
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神と黒蟹県

2024-07-21 11:02:31 | 読書
絲山 秋子「神と黒蟹県」文藝春秋 (2023/11).

出版社による長ーい紹介
*****「黒蟹とはまた、微妙ですね」
微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。
県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山 (すこし省略)。県庁や裁判所を有し、新幹線も停まる県のビジネス拠点の役割を担う紫苑市と、かつての中心地で歴史的町並みや重要文化財・黒蟹城を擁する灯籠寺市とは (省略) 仲が悪い。 (省略) 巨大な敷地を持つショッピングモールの先には延々と荒れ地や牧草地が続き、廃業して解体されて (省略) 今はもう (省略) どこだかわからない百貨店に由来する「デパート通り」はいつまで経っても改称されず、同じ姓を持つ住民ばかりの暮らす村がある。

つまり、わたしたち皆に馴染みのある、日本のどこにでもある「微妙」な県なのだ。
この土地に生まれ暮らす者、他県から赴任してきた者、地元テレビ出演のために訪れた者、いちどは故郷を捨てるもひっそり戻ってきた者、しばしば降臨する神(ただし、全知全能ならぬ半知半能の)。そういった様々な者たちのささやかでなんてことないが、ときに少しの神秘を帯びる営みを、土地を描くことに定評のある著者が巧みに浮かび上がらせる。*****

8編の連作.黒蟹の県名こそあり得ないが,出だしに登場するのはどこにでも居そうな人たち.しかし2編目・第4編目と「神」が現れ,次第に連作の常連化し,物語もねじれてくる.
最後の「神と提灯行列」から4行ほどを縮めて引用すると*****
傍に緑色のワンピースを着た女が立っているので,神が小声で「あの,もし」と囁くと,にこりともせずに「妻である」と答えた.*****
この妻の正体は ?

冒頭に海に面し,宝来県・棚元県に囲まれた黒蟹県り地図.各編の末尾には「黒蟹辞典」.見出し語に続く,四角に「架」は架空のもの,四角に「実」は実在するもの... などと遊んでいる.
ぼく的ベストは「赤い髪の男」.

白けつつ楽しんで書いているらしい著者のスタンスが良い.06 年の芥川賞受賞作とやらも読んでみようか.
図書館で借用した.


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音楽の本の翻訳

2024-07-19 10:09:40 | 読書
若い頃は原著を輪読した.記憶に残っているのは V.D. Shafranov "Review of Plasma Physics" の英訳 (オリジナルはロシア語)・海賊版である.もっとも文章そのものはそっちのけで,式の導出にばかりエネルギーを注いだ.

定年してから,何か音楽書の翻訳でもと思って,まず手に取ったのが H. Helmholtz "On the Sensations of Tone".持っていたのは英訳本だったが,ドイツ語源本からの翻訳を企てている方がおられると聞いてやめた.
しかし英訳した A.J. Ellis による付録をぼくは高評価している.この部分が翻訳されていないのが残念だ.

それでは,と,手がけたのが Harry Partch "Genesis of a Music" だが,先日書いたようなわけで挫折した.

山本史郎 「翻訳の授業 東京大学最終講義」 朝日新書 (2020/6) の山本先生によれば,翻訳議論の対象となりうるのは「文学翻訳」である.理工学の解説・論文などの翻訳は「実用翻訳」であって,今後「実用翻訳」は AI に任せればよい.
Chat GPT で拙著「音律と音階の科学」の英訳を試みたときは,山本先生のおっしゃるとおりであると痛感した.Helmholtz の本も AI 実用翻訳でいけたのではないか?

Parch の本で ぼく 16 トンの興味は純正律のくだりであって,そこまでいけば翻訳はまぁサクサクと進んだと記憶している.この部分は実用翻訳の対象だったのだろう.第 1-2 章の翻訳には文学翻訳の素養が必要で,ぼくには難しかったということか.

Parch 翻訳が難航したときに,アメリカの大学で学位を取った友人に相談したことがある.やはり原文には辟易したらしく,彼の助言は「とにかくざっと日本語に直して,あとは原文なんか顧みずに,とにかく訳文の意味が通るように直してしまえ」であった.真偽のほどはあやしいが,与謝野晶子がとった源氏物語の現代語訳のやり方なんだそうだ.

この「ざっと日本語に直す」部分は ChatGPT にやらせ,後の手直しを人間がやれば,(一見ではなく) 一読それらしい翻訳が短時間でできるだろう.すでにこういう翻訳が行われているのかもしれない.

でも余生が短いのにそんなことで時間を潰すのは気が進まない.
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ハリー・パーチの著書の翻訳

2024-07-17 08:40:32 | 新音律
ハリー・パーチと言えば,十何年前に Harry Partch "Genesis of a Music" の翻訳を思い立ったが,半分くらい済んだあたりで,そのままになってしまった.なぜか ?

原文の,とくに最初の2章は気取った悪文の連続.
全体に自己宣伝に閉口.言葉を勝手に作ったり,ふつうと違う意味に使ったり.
フーリエ変換はおろか,対数も敬遠し,ひたすら整数比だけを追求するのは,究極の純正律オタク.数字遊び・数秘法めいている.
要するに嫌になったと言うのが正直なところ.

でも AI なら,原文が嫌だとは言うまい.ChatGPT に英文和訳を頼んでみた.先日の拙著を例にとった和文英訳テストの逆である.

CHAPTER I  American Musical Tendencies の冒頭の段落.

THEFUNDAMENTAL stimuli that are the reasons for the music of these United States are intriguing to ponder.  First, does Abstraction continue to guide us in the uniting of words and music? Have the Germanic traditions in the Abstract, enhanced in coming to us by way of the well-known English devotion to them, taken full possession of our educational and creative endeavors in music?  Is there any evidence of a drift away from the general assumption that music, to merit comparison with the "best," must be Abstract?  Does popular music, either in tendencies or intrinsic characteristics, offer any hope of relief from the iniquities in the usages of "serious" music?  Can our American leanings in the "big business" of the concert system come to any good end?  Finally, will the American genius for per- verting a spark of individual imagination into a commodity for nationwide distribution permit us-ever-to hope for a significant evolution in American music? These questions suggest a few of the drives; there are others.

以下に3つの翻訳を示す.A は ChatGPT の最初の訳.B は A の日本語にいくつか注文をつけた結果の ChatGPT の改訳.C は十何年前の拙訳だが,今になってすこし手を入れた.
今回はデータを示すだけとし,考察はいずれ,としたい.

訳 A 
このアメリカ合衆国の音楽の理由となる基本的な刺激は、考察するのに非常に興味深いものです。まず、抽象性は言葉と音楽を結びつける際に私たちを導き続けているのでしょうか。ドイツ的伝統が、イギリス人の有名な献身を通じて強化され、私たちの音楽教育や創造的努力を完全に支配しているのでしょうか。音楽が「最良」と比較されるに値するためには抽象的でなければならないという一般的な仮定からの逸脱の証拠はあるのでしょうか。ポピュラー音楽は、その傾向や本質的な特性において、「真剣な」音楽の不公平な使用からの救済の希望を提供しているのでしょうか。コンサートシステムの「大企業」へのアメリカの傾向は、何らかの良い結果をもたらすのでしょうか。最後に、アメリカの個人の創造力の火花を全国的な商品に変える天才は、アメリカ音楽の重要な進化への希望を私たちに許してくれるのでしょうか。これらの質問は、いくつかの動機を示唆していますが、他にもあります。

訳 B
このアメリカの音楽の根本的な刺激について考えるのはとても面白いです。まず、抽象的な考え方はまだ言葉と音楽を結びつけるのに役立っているのでしょうか? ドイツの抽象的な伝統が、イギリスの影響を受けて、私たちの音楽教育や創作活動を完全に支配しているのでしょうか? 音楽が「最高」とされるためには抽象的でなければならないという考え方から離れる兆候は見られるでしょうか? ポピュラー音楽は、その傾向や特性から、「真面目な」音楽の問題を解決する希望を持っているでしょうか? コンサートビジネスの「大企業」的な運営が良い結果をもたらすでしょうか? 最後に、アメリカ人の独創的なアイデアを全国的な商品に変える能力が、アメリカ音楽の進化に希望を持たせてくれるでしょうか? これらの質問は、いくつかの動機を示していますが、他にもあります。

訳 C
アメリカ合衆国の音楽について熟考すればするほど好奇心をそそられるのは,基本的に刺激的だからだ.第一に,抽象化はわれわれを導いて言語と音楽を結合させるか?  ドイツ流の抽象の伝統にご存知のようにイギリス人が傾倒し,さらに高揚してわれわれのところに来たが,われわれの音楽教育と創造的試みを占有していると言えるのか?  「ベスト」なものと比較する必要があるとしたとき,音楽は抽象的でなければならないという一般的な仮定から漂い出る兆候が見えているのか?  ポピュラー音楽は,傾向としてあるいは絶対的特性として,「シリアスな」音楽の使用と言う非道に,救いの手を差しのべ希望を示すことができるのか?  われわれアメリカ人はコンサートシステムという「ビッグ・ビジネス」にもたれかかっているが,この状態はハッピーエンドをむかえるのか?  最後に,アメリカ人は個人個人の創造的ひらめきを国家的商品に堕落させることに関しては天才的だが,これで -果たして- アメリカ音楽の重大で意味をもった改革が許されるのか?  こうした疑問で,いくつかかの駆動力を思い浮かべることができる.他にも駆動力はある.
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ザリガニの鳴くところ

2024-07-16 08:57:37 | 読書
ディーリア・オーエンス,友廣 純訳「ザリガニの鳴くところ」早川書房 (2020/3,
ハヤカワ文庫NV 2023/12).

出版社による紹介*****
ノースカロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。

6歳で家族に見捨てられたときから、カイアはたったひとりで生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女を置いて去ってゆく。

以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。
しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく...

みずみずしい自然に抱かれた少女の人生が不審死事件と交錯するとき、物語は予想を超える結末へ──。
*****

このミステリーがすごい 2021 海外 第2位  / 週刊文春ミステリー 2020 第2位 / ミステリ・ベスト・ランキング  海外 第3位 / ...
この手のランキングで本書を意識していたのが,今になって図書館で単行本を借り読.
本書の価値はミステリとしてではなく,もっと一般的なところにあると思う.2021年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位が妥当だろう.

ちなみに単行本には目次がない.最終章を除き章タイトルは年号で始まり,死体が発見される 1969 年から (a) と,幼いヒロインが母親に見捨てられる 1952 年以降 (b) を行きつ戻りつしながら進む.

(a) の部分は「湿地の少女」の成長物語.
舞台は湿地・沼地とその生物相.著者の専門は動物行動学だそうだ.作品には瀕死の仲間にいっせいに襲いかかる七面鳥,交尾相手のオスをむさぼり食うメス カマキリ,といった記述があり,こうした視点から登場人物たちの言動を観察する場面も多い.
貧乏白人 white trash への差別,人種差別,ジェンダー問題と DV といったバックグラウンドが物語に社会性を与えている.

(b) 部分がミステリ.アメリカ映画によくある裁判場面がやはりおもしろい.最終章 2009 年,ヒロインの死後 殺人の真相が明かされるが,ミステリとしては意外性がない.
でも白状すると,ぼくの場合 (a) が続くとだれてしまい,年号が 1969 以降で始まる章 (b) になると読書のスピードが上がった.

文中で少年テイトが少女カイアに「ザリガニの鳴くところ」を「茂みの奥深く,生き物たちが自然のままの姿で生きてる場所」と説明している.
Kindle 英語版を買ってみようかな.
原題 Where the Crawdads Sing の sing は鳴くか,歌うか.英語では小鳥が鳴くのは sing だから,ここでも「鳴く」なんだろう.
作品の構成は,I 湿地 / II 沼地 だが,この2語は英語ではなんと言うんだろう.
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初夏幽荘

2024-07-15 09:57:12 | エトセト等
原 采蘋「初夏幽荘」より.

 わたしを眠りへとさそう飲みさしの一壺 (いっこ) の酒
 ものうく散らかっている読みかけの寝床の本

采蘋 (1798-1859) は江戸時代後期,男装・帯刀の女流詩人,酒好きとして知られる.でもこの詩を書いたときは二十歳そこそこだった.
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畳に団扇

2024-07-13 15:13:38 | エトセト等
NHKラジオ文芸選評 7/18 での 東京都 湯口 昌彦さん 89 の一句.

  蝉よ鳴け畳に団扇ある限り

選者 : 井上弘美 によれば,これは三橋敏雄の句
  戦争と畳の上の団扇かな
が下敷きになっている (この分野でもオマージュと言うのかな).この句を含む句集「畳の上」で,三橋は1989 年に蛇笏賞を受賞したそうだ.
戦争の頃を考えると、畳の上に団扇が転がっている光景はなんと平和であることか と解釈するらしい.
16 トンの目に浮かぶのは,畳の上に団扇が転ってはいるけれど,誰もいない座敷.みんなあわてて防空壕に行った後,解除になって帰ったところと思うと.デジャヴめいている.
「蝉よ鳴け...」は 89 歳湯口さんの平和への祈りなんだろう.

予備知識を与えられる以前にこの句を聞いて,作者の7歳年下の 16 トンが感じたのは,別な意味での,家で寝転んで蝉が聞けるありがたさだった.
去年の夏は入院していたのだが,冷房完備の病室のベッドで団扇なんか思い出したことがなかった.窓の外はかんかん照りだったが,蝉なんか聞こえてこなかった. 

病院にしろ 高層マンションしろ,人工的な環境下では,畳もうちわも遠い昔のことだ.聞こえないけど 蝉よ勝手に鳴いてくれ という,平和ぼけ的な解釈しかできないのでした.
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ハリー・パーチ「手紙」

2024-07-12 14:32:24 | 新音律
この本の中の,柿沼敏江「新しい音律を求めて -  パーチの創作楽器」に,Harry Parch  の The Letter の自筆譜があった.トップ画像はその一部.Voice の他に4つの楽器Pol, Kithara, Bass Marimba, Diamond Marimba が指定されている.

Youtube に演奏例はたくさんあるが,下の動画が楽器がよく視えると思う.
楽器が5つあるが,Pol = Castor and Pollux をふたつに分解しているのかな ?
Voice は速いご詠歌のようでもあり,遅いラップのようでもある.その合間に演奏が入るというパターン.
43 音階を持つ楽器たちだが,それを意識して聴く必要はないだろう.
パーチは楽器の身体性を重視し,演奏者に「華麗に,舞うように演奏する」ことを求めたというが,この演奏はどうだろう.

パーチ自身は自分の音楽を広めようとか,43 音音階を残したいとは考えていなかった.自分の弟子は別の音階を作るべきだと言っていた.パーチの考えを受けついで行こうと思っている人は何人かいるそうだ.
柿沼さんは「楽器を作ることは重要」と結んでいる.
パーチにならってアコースティック楽器を作るにはすごいエネルギーが必要だ.現在では計算機で音色も音階も自由に作れるのだが,そのために早晩飽きてしまい,エネルギーが続かない...と感じるのは,ぼくだけ ?


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楽譜でわかる20世紀音楽

2024-07-11 20:37:34 | 読書
久保田慶一  (編集代表), 白石美雪, 井上郷子, 森垣桂一  (編者)「楽譜でわかる 20 世紀音楽」アルテスパブリッシング (2020/9).

全 14 章だが,イントロ的な第1章を除き,各章はそれぞれ以下のように作曲家 (あるいはその集団) に割り付けられている :
ドビュッシー,ストラヴィンスキー,バルトーク,ロシア・アヴァンギャルド,ガーシュウィン,シェーンベルク,パーチ,カウエルとケージ,ヴェーベルン,ヴァレーズ,ベルク,ストラヴィンスキー,ヒンデミット.
彼らの音楽を楽譜から読み解こう,という趣向.

タイトルには 20 世紀とあるが,初版発行は 21 世紀に入って 20 年も経ってからだ.でも,このラインアップはすでにクラシックな人たちだ.
ただしもとになったのは,2013 年 国立音大附属音楽研究所における 14 回のセミナー「楽譜を読むチカラ パート 2 - ドビュッシーからウェーベルンまで」である.

第6章に「ジャズのイディオムはどのように楽譜化されたか」.ぼくはジャズの楽譜に関連してリードシート,あるいはコードの成り立ちについて知りたいと思った.しかしリードシートには正当な楽譜としての市民権がないのだろうか ?

本書にあるのは小曽根真のガーシュウィンのシンフォニック・ジャズ解釈であり,それはもとのセミナーの趣旨,ドビュッシーからウェーベルンに忠実ではある.
多くの章では学術的 ? に作曲家が論じられている.しかしここで小曽根真はジャズ・プレイヤー個人の立場でラプソディ・イン・ブルーを論じて我が道を行っている.

セミナーのバルトークの回ではピアノ伴奏でラプソディ第1番が演奏された.他の回でもおそらくパワポで音楽が流されたことと思う.紙の本ではない,視て聴くセミナー記録がもっと普及して然るべきと思うが,なかなかそうはいかないようだ.

各章の終わりにはセミナー出席者と講師との質疑が収録されている.これが本文よりおもしろかったり...

「第1章 20 世紀音楽の楽譜を読む」によれば,J・ケージの「4分 33 秒」には6種類もの楽譜があるという.

編者のひとり・著者のひとりでもある白石氏は美大でも教えている.美大の学生は図形楽譜を楽しむが,音大の学生は図形楽譜を渡されても何も出来なかったという.
美大の学生は楽譜の読み方くらいは知っているが,はじめて楽譜を見たとき音楽が浮かぶわけではない.それは 16 トンも同じことだが,そうした条件でも本書はじゅうぶん楽しめた.

図書館で借用した.でも,蔵書にほしくなっている.
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尾籠な話題 : 大便の成分

2024-07-10 13:52:28 | 病気
ストマーすなわち人工肛門の持ち主は日毎あるいはそれ以上の頻度で自分の大便と対面しなければならない.ぼくの場合 その結果として,人格が哲学的になったように思う.

日本オストミー協会の会誌広島版に,福山市いそだ病院医師 岩川和秀先生が「便を知る」という連載を監修しておられる.以下はその第2回 (2024/7) より.

日本人成人の大便の量は1日あたり 150-200g.
その大部分 80 ± 10%は水分.
残りの固形分で,食べかすは 1/3 にすぎない.
あとは腸内細菌と腸粘膜が剥がれ落ちたものがそれぞれ 1/3 ずつ.知らなかった.

腸内細菌は腸内に総計約 1kg!! が住み着いていて,その一部が出てくるのだそうだ...知らなかった.
腸粘膜は2日周期で !! 生まれ変わる.知らなかった.ちなみに皮膚の場合は1月周期だそうだ.

岩川先生の総括
「いかに便が体の分身であるか 分かっていただけたでしょうか.ご自身の健康状態を評価するには,まず便をよく観察してください.それが健康管理の源となることでしょう」.


まことちゃん を思い出した. 連載開始は 1976年 で,彼は現在 50 台と思われる.
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