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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

問題だらけの女性たち

2025-05-09 15:35:54 | 読書

ジャッキー・フレミング, 松田青子 (まつだ あおこ) 訳「問題だらけの女性たち」河出書房新社 (河出文庫 2025/5).

 

Amazon の紹介***** 女の脳は小さい? 女が考えると生殖器がダメになる!?

19世紀の女性たちがいかにバカバカしい迷信と固定観念に苦しめられたか、ユーモアと皮肉炸裂で描くイギリス発ジェンダー絵本! 笑うに笑えない、19世紀ヴィクトリア朝の「大問題」な女性観。

何をするにも「問題」があると決めつけられ、「歴史のゴミ箱」に捨てられた女性たちをすくい上げる -- 松田青子

【各紙大絶賛! 】 なんて面白く、冴えている絵本だろう! 人間の本質を突き、あらゆる世代の男女、子どもまで読める。--「サンデー・タイムズ」

歴史上の偉大な男性たちをめった斬りにして、足げにされてきた女性たちの姿を描き出す! --「インディペンデント」

未来のフェミニストたちにとって、パーフェクトな贈り物になるだろう。--「ビックイシュー」 *****

 

新聞広告を見てネット購入.「なんだこりゃ」と少し後悔.最初から最後まで同じ調子.本書の主旨に反対はしないが,このユーモアにぼくは共感できない.
10 ページほどの立ち読みはこちらで可能

うえの画像のように見開き一対で完結しているようだ.
表紙のイラストは「当時の女性たちは「家庭の玉」の中で生きていました」というキャプションとともに本文に現れる.「女性たちは玉の中で.育児・床磨き・シーツやカーテンの洗濯,ボタン付けなど,たいして大変じゃない仕事をしていました」というベージをめくると,下の2葉.このあたりは上手い !

装丁・本文デザイン 名久井直子

タイトルの「問題だらけの女性たち」という訳にちょっと違和感がある.

 

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蓼食う人々

2025-05-07 10:31:19 | 読書
遠藤ケイ「蓼食う人々」山と渓谷社 (2020/5)

出版社による紹介*****
野兎やカラス、トウゴロウ、ツチクジラなど、かつて私達が享受した自然の恵みと原風景

「蓼食う虫も好き好き」。
蓼の葉や実は苦く、多くの動物は除けているが、それを好んで食べる虫もいる。
転じて「好みは人それぞれ」、「普通には食べないものを食べること」の意として使われる。

本書では「人は何をどう捕って、どう食ってきたのか」をテーマに (中略 : 目次参照) その狩猟採集シーンを描き、また民俗学的な考察を加える。

日本各地の猟師・漁師による手に汗握る狩猟場面や軽妙洒脱な採集場面、
さらに各食材には著者による「民俗学的考察と独断的私見」が加えられ、
自然の豊かな恵みと人間の食材への慎み深い向き合い方を考える狩猟捕獲ノンフィクション。
日本人が生きてきた歴史に触れられる。
*****

著者には「こども遊び大全」という名著がある.本棚から消滅して久しいが,ヤマケイ文庫としてこの2月に復刻された.買おうかと思ったが本棚の肥やしになるだけか...就活を意識すると こういうことになる.「...大全」は紙面の半分以上はイラスト,文章も手書き (文庫版は手書き風フォントかも).でも本書は各扉にスケッチがあるだけで,あとは活字で硬質な文章.ただし写真も少しはある.

蓼食う虫というタイトルに「鮎」なんかは矛盾しているんじゃないの?_ と目次を見て感じたが,著者もこれに関してはいろいろ述べていいる.塩焼きに付きものの蓼酢は鮎の臭みを消す成分だが,この蓼を用いた鮎の「毒流し漁法」もあるんだって.
トウゴロウ,スガレ,ザザ虫などの虫類が ぼくには「蓼」の典型に感じられた.
槌鯨,海馬などおいそれとは狩猟に参加できない対象もある (ツチクジラはながらく土鯨と思っていた).

「熊」の章が長く力が入っている.学生時代には民宿で熊や野兎の肉に与ることが多かった.今は,と思ったらジビエがブームかも.でも「自然との慎み深い向き合い」の影は薄れつつある.
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君のクイズ

2025-05-04 10:51:25 | 読書
小川 哲「君のクイズ」朝日新聞出版 (朝日文庫 2025/4) .

舞台化で紹介されたストーリー*****
生放送のクイズ番組に出場した三島玲央は、対戦相手・本庄絆が、問題も読まれぬうちに正解し、優勝を果たすという不可解な事態をいぶかしむ。
真相を解明しようと本庄について調べ、決勝戦を1問ずつ振り返る三島はやがて、自らの記憶も掘り起こしていくことになり-。*****

面白かった.種明かしにも納得.
突っ込むとすれば,問題も読まれぬうちに正解し,番組がそれを優勝と認めてしまうこと.でもそうしないと小説が成り立たない,か...
「クイズ番組は参加者の人生を肯定する」的な哲学はどうかと思う.

早押しクイズには必勝法と言うべきものがある.深い知識は必要ではない.
テキスト中の例では「1,2,4,...という数列の第10項 (第4項でもいいかも) は何か」で始まる問題.問題はまだ続くが,とりあえずまずボタンを押し,やおら考える.等比数列 1,2,4,8,16... かもしれないし,差がひとつずつ増えていく1,2,4,7,11,...という数列かもしれない.可能性は無限である.回答者は出題の意向.どのくらい捻った問題にするか,過去の出題傾向は,番組進行中の位置を勘案して (始まったばかりか・終わりに近いか,文系の問題に挟まれているか否か) どの程度の難易度にするか... と言うことをとっさに判断し,答えを計算しなければならない.

深い知識は不要.こうした問題に対する対処は AI がもっとも得意とするところと思うが,単行本刊行の 2022/10 の時点では AI はまだ幼稚な段階だった.
また,田村正資の解説は「日本のテレビにはずっと,クイズ番組があった」で始まる.クイズ番組といっても早押しクイズのこと.これにマニアックに賭ける人種のストーリー.しかし解説は「...番組はずいぶん減ってしまったが...」と続く.将来 番組も この小説も 生き残れるかどうかは微妙.登場人物のひとり,本庄はテレビから YouTube に鞍替えするらしいが…

文庫化を機会に購読.


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クレーとマルク

2025-05-02 09:01:03 | 読書
新藤真知・高橋文子 編「クレーとマルク 動物たちの場所」みすず書房 (2025/4).

出版社による紹介
*****パウル・クレーと、クレーの同年の友でよき理解者であり、その才能を誰よりも早く見出した〈青騎士〉の画家フランツ・マルク。第一次大戦の戦場でマルクが斃れるまで、二人は家族ぐるみで交流し、多数の手紙や葉書を交わして絵画論や近況を伝えあった。そしてそこには、互いを思い遣るあたたかな絵が添えられていた。
二人が残した絵葉書、動物をテーマとする二人の作品を一冊に編み、ドイツ絵画史に残るひそやかな交感に光をあてる。

〈マルクがもしクレーに出会わなかったとしてもマルクはマルクであり続けただろうが、もしクレーがマルクに出会っていなければ、色彩画家への飛躍が同じ途を辿っていただろうか〉
――本書「マルクとクレー」より

〈マルクにとって抽象とは、動物たちの感じている世界だったのではないか、と思われてくる。動物たちを人間の見る世界に引き出すのではなく、動物たちの世界にそっと包んでおくような優しさが、マルクの絵からは感じられる〉
――本書「フランツ・マルクの生涯」より

パウル・クレーとフランツ・マルク。
交わされた絵葉書と描かれた作品のなかに響き合う
二人の画家の友情。*****

パウル・クレー (1879-1940), フランツ・マルク(1980-1916).
上記「マルクとクレー」は新藤真知 (しんどうまこと) ,「フランツ・マルクの生涯」は高橋文子による文章で,紹介に引用された部分がそれぞれのエッセンスと言えそう.影響という点ではマルクからクレーへの一方通行だが.生年ではクレーが1年早い.ぼくにとっては (そして多くの日本人には) マルクはクレーほど馴染みがない.しかし高橋によれば「今日のドイツで,画家の名を聞いてその絵が思い浮かぶ,あるいは絵を見て誰のものかわかる,そういう画家のひとりがフランツ・マルクなのである」.
でも「動物たちの場所」というサブタイトルにはもうすこし立ち入った説明が欲しかった.

ふたりの文章が 「クレーとマルク-絵葉書」「パウル・クレー」「フランツ・マルク」という三つの画集を挟んでいる.

マルクは第1耳大戦で 36 歳にして戦死.彼は狐が好きだったらしい.
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思い出列車が駆けぬけてゆく 鉄道ミステリ傑作選

2025-05-01 09:40:22 | 読書
辻真先「思い出列車が駆けぬけてゆく 鉄道ミステリ傑作選」東京創元社 (創元推理文庫 2022/9).

カバー裏の紹介*****新婚旅行で伊豆を訪れた、トラベルライターの瓜生慎・真由子夫妻。修善寺発、東京行きのお座敷列車に偶然乗車することになった二人は、車内で大事件に巻き込まれてしまう……(「お座敷列車殺人号」)。他にもブルートレイン、α列車など、いまでは姿を消した懐かしい車輛、路線が登場する、“レジェンド”辻真先の鉄道ミステリから評論家・戸田和光がチョイスした珠玉の12編。*****

著者の長編ミステリはわりに気に入っているが,短編をまとめて読むのは初めて.
初出は 1983-2011 の「問題小説」など.2000 年代に入ってからの作品の出来がよい.ぼく的ベストは最後の「轢かれる」.でもその前の「東京鐡道ホテル 24 号室」も良かった...ルパンにホームズが紛れ込むのとちょっと趣向が似ている.

全世紀の作品の大部分は大量生産作家の「いっちょ上がり」作らしく,つっこみどころ満載.
でも,北海道をカニ族としてうろついた日々,名古屋に就職して愛用した大垣止まりの準急・東海 xx 号,東京鐡道ホテル転じて東京ステーションホテル...,自分のことを国鉄の最盛期やそのごの衰退にからめて思い出して,ノスタルジーにひたるのも悪くはなかった.

著者の父は自民党の代議士だが,ご本人は共産党支持とどこかで聞いた覚えがある.
図書館で借用.
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フレンチシェフの引き算レシピ

2025-04-19 11:32:57 | 読書
中村 和成「フレンチシェフの引き算レシピ」世界文化社(2025/4).

著者は日本橋 LA BONNE TABLE のシェフにして,J 子の親友のお嬢さんのパートナー.本の最後のページには Special Thanks として愛妻の名前があった.

すぐにできる家庭料理の本.シェフという人種は家に帰ったら厨房には立ち入らず,奥さんの出すものを黙々と食べているのかと思っていたが,そういうイメージはもう古いらしい.

AMAZON の紹介より*****
時間、材料、手間――引き算するからおいしく仕上がる全60品。

時短料理だから、おいしさはあきらめる?
材料が少ないと、物足りない味になる?
本書には、そんな料理の思い込みをくつがえす、
フレンチシェフならではの調理テクニックが満載。

「ラタトゥイユ」は煮込まず、野菜それぞれの味を輝かせる。
「オニオングラタンスープ」はブイヨン不使用。炒めず蒸し焼きで20分 …等。

最速、最小限の材料と手間で、
食材本来の味わいを最大限に生かすレシピの数々は、
日常の料理をごちそうに格上げしてくれます。
料理がもっと自由に、楽しく、そしておいしくなる1冊です。*****

「野菜ひとつで主役級 前菜のレシピ」の章の「白菜のステーキ」に挑戦.いただきものの白菜を割ってみたら傷んでいたので,可食部分だけを使用.本の写真のようにカッコよくはなかったが,美味しかった.最後にバターを乳化させるところ,J 子には抵抗がありそうなので黙っていた.
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句読点 / マルハラ

2025-04-17 21:13:13 | 読書
著名な書家 (たぶん石川九楊だったと思うが...) の「墨と筆で書いている限り句読点は必要ない」と言う発言を覚えている.筆勢,字の大小,字の配置などで,喋る息遣いをそのまま「書」として視覚化できるという主張と記憶している.

句読点も括弧類も,各 文字をフォントとして画一化・標準化した結果,必要になったのだろうか.
木版印刷は書き文字とフォント印刷の中間の存在だろう.画像は東海道中膝栗毛 1802-1809 の印刷だが,「。」が用いられているようだ (完璧に読めるわけではないので,自信はありません).
もっと系統的な記述もネットに見つかった.
そういえば外人著になる くずし字入門書に手を出したことがあった.

ところが,LINE などの SNS で中高年から送信される文書で,「承知しました。」のように文末に句点がつくことに,昨今の若者は恐怖心を抱くのだそうだ.「マルハラ(マルハラスメント)」というんだと.若者と言っても 10 代に顕著な現象で,わが交友範囲で話題になったことはない.かっての 10 代もみな分別がついてしまったということか... いっぽうコロナ以来ジャズ研の現役さんたちとは縁が薄くなってそれきりではある.

自分の場合 :
LINE はリターンするとそのまま送信されてしまう.はじめのうちは,句読点不在のブツギレ文を何回も何行も送ると言う不細工をやらかした.SNS の句読点不在はこのあたりにも原因があるんじゃないの ?
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群猫

2025-04-14 08:57:05 | 読書
先日の 和田誠「物語の旅」.子供向けの本たちに始まり,次第に大人向けが混じり,やがて知る人ぞ知る短編も現れるようになる.雑誌連載なら自然とこうなってしまうかもしれないが,書きおろしなので,意識しての構成なんだろう.

「群猫」はむかし雑誌で読んだとき,とても怖かった.代々下水道に住み着き,脱色し盲目となった猫たちと,やはり白い盲目の大鰐との闘いである.この本で,著者が筒井康隆で,1963 年別冊「宝石」に発表されたことを知った.

「霧笛」については,このブログに書いたことがある.和田さんもこの短編がお好きなようで,週刊文春の表紙にもしている.恐竜が抱きついて灯台を壊すという筋しか覚えていなかったが,「物語の旅」によれば登場人物がふたりいたのだった.

「踊る小人」には「村上春樹の小説を初めて読んだのは,「中国行きのスロウ・ボート」だった.同じ題名のスタンダード・ナンバーになったアメリカの歌があるから,それで興味を持ったのかもしれない」という文章がある.ぼくが村上のこのタイトルで連想したのはやはりロリンズの On a Slw Boat to China だった!
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「波の会」展より

2025-04-11 20:53:39 | 読書

終了してしまった 第34回「波の会」展より.上手いもあれば下手もあったが,上手い作品だけが印象に残ったわけではない.
トップの作品は「金婚を祝う」.

アップしたら全部同じような大きさになってしまったが,トップとこの猫と絵手紙は小品.

「ロンド」.
下は貼り絵によるハガキ大の絵手紙 (巳年賀状) 2点.

「SOIEILの詩」.手すりから右下に伸びたハシゴの行方は ?

「時は過ぎて」わが街の一角ではこのように時が過ぎている.

正方形の点による点描でした.とりあえず7点で,,,

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物語の旅

2025-04-08 14:48:05 | 読書

和田誠「物語の旅」フレーベル館(2002/1).書きおろしだそうだ.

画像はカバーと表紙.

*****子どもの頃に初めて読んだ「かちかち山」から、現在に至るまでの読書体験の数々。本好き・装丁好きの和田誠さんが選りすぐった 54 作品についてその思い出を振り返る。1つ1つに挿絵も入れた楽しい読書案内。*****

54 作品は多岐にわたる.
カチカチ山,ライオンのめがね,クマのプーさん,...
ビルマの竪琴,杜子春,月夜のでんしんばしら,...
豹 (ジャガー) の眼,血の収穫,...
813,黄金虫,そして誰もいなくなった,...
半七捕物帳,甲賀忍法帖,最後の仇討,...
これらが順不同に現れる.
松本清張の「点と線」を再読したくなった.あらすじの書き方が雑誌やプログラムでの映画のストーリー紹介を思わせた.

著者は「ぼくが面白がった物語は,挿画を描きたくなった物語」と書いている.
意外にも「旧約聖書」の挿絵は宮殿をぶっ壊すサムソン.高校時代に映画部にいたせいもあるらしい.ヴィクター・マチュアの「サムソンとデリラ」はぼくも観た.
「麻雀放浪記」の俯瞰図も和田さんには珍しい.

和田さんは1936生,ぼくは1941生なので,けっこう読書体験も映画体験も重なっている.
和田さんが「ビルマの竪琴」を読んだのは雑誌「あかとんぼ」上だったそうだが,ぼくは完結編までを雑誌「少年少女」上で読んだ.大学院時代 竹山道雄の右翼的 ? 発言に「ビルマの竪琴」との食い違いを感じた.でもこの本にはそんなことは書いてなかった.

「トム・ソーヤーの冒険」は,和田さんにとってはスリラーだったそうだが,ぼくが覚えているのは塀にペンキを塗る場面だ.でも,「ハックルベリー・フィンの冒険」のほうが印象が強い.トム...は単に子供向きだが,ハック...はそうではない.今考えると,前者は小学,後者は中学時代に読んだので,それを感じることができたのだと思う.

古書で購入したが,持ち帰るのが重かった !!

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