この写真はウェブで見つけた福島県富岡町夜の森公園の去年の写真.常磐線に「夜の森」という駅がある.今年は誰も居ない夜の桜の森,だろうか.
核分裂はものすごいエネルギーを出すから,原子炉の中には数グラムのウランがあるだけ...と思っている人が多い らしい.
ウラン (U) でも原発で使用するのは U235 という同位体で,存在比はウラン全体の 0.72% に過ぎない.福島原発には 6 基の原子炉があり,1 基あたりの出力はおよそ 100 万 kW とのことだ.
1 基の原子炉を 1 年間運転するために必要な U-235 の質量を求めよ.ただし U-235 の原子 1 個が核分裂によって放出するエネルギーを 200 MeV =3.2 10^-11 J である,また熱から電気への変換効率を 33 % とする.
なんて,高校の化学 (物理? 総合問題?) の問題にちょうどよさそう.
つぎの段落は,文系の方はスキップして下さって構いません.
アボガドロ数 6 10^23 個の U が 235g だから,グラムあたりの原子数は 6 10^23 atoms/235=2.56 10^21 atoms/g.
U235 1g のエネルギーは 3.2 10^-11 J/atom x 2.56 10^21 atoms/g=8.2 10^10 J/g.
1 W を 1 秒間出すエネルギーが 1 J (ジュール) であるから,原子炉一基分 100万 kW=10^9 W を1年間出し続けるエネルギーは 60x60x24x365 倍で 3.15 10^16 J.
ウランの質量に換算すると 3.15 10^16 J/8.2 10^10 g=384 kg
ここで終わったら減点.核分裂のエネルギーのうち電力になるのは 33 % と,問題に書いてある.従って必要な質量は 384 kg/0.33=1.16 t.
要するに 100万 kW の原子炉 1 基では一日約 3 kg,年に約 1 トンの U-235 を燃やす.
陽子の質量は 940 MeV のエネルギーに相当するので,U-235 の核分裂で生じる質量欠損は陽子 (水素原子) 1 個にも足りない.ほとんど無視できるから,1 トンを燃やして生じる廃棄物もまるまる 1 トンである.
その放射能は ? 手許に資料がないので,
Wikipedia でも参照して下さい.ただし,核分裂しない U-238 からプルトニウムができるのも,もうひとつの問題.
実際に原子炉で使われる燃料はどんなものか と言うことは,少し前までは東電のホームページにくわしく書いてあって.いろいろ計算できた.しかし ばっさり削除されていることをニンシキした.